グルメ
松山のB級グルメ・名物料理おすすめ一覧|鍋焼きうどん・三津浜焼き・労研饅頭
松山のB級グルメは「甘さ」でつながっている
松山市の庶民の味には、ひとつの通奏低音があります。それが「甘さ」です。瀬戸内の温暖な気候と、かつて砂糖が貴重だった時代に「甘いものでもてなす」文化が根づいた土地柄から、出汁も、ソースも、酢飯も、どこかやさしい甘みを帯びています。城下町の中心市街地、文学と湯けむりの道後、そして港町・三津浜——三つの顔を持つ街を歩けば、観光名所だけでは見えてこない松山の素顔が、食べ物を通して立ち上がってきます。ここでは特定の店をランキングするのではなく、松山市に根づいたご当地の味そのものを、一覧早見表と相場の目安、エリア別の回り方とともに紹介します。
松山B級グルメ・名物一覧早見表
まずは松山市で出会える庶民の味を一覧で押さえておきましょう。相場はいずれも目安で、店や時期により変わります。
| 名物 | どんな味・特徴 | 相場の目安 | 主なエリア |
|---|---|---|---|
| 鍋焼きうどん | アルミ鍋・甘い出汁・柔らか麺のソウルフード | 600〜900円 | 銀天街・大街道 |
| 三津浜焼き | ちくわと牛脂が決め手の重ね焼きお好み焼き | 700〜1,200円 | 三津浜 |
| 労研饅頭 | 天然酵母で蒸す素朴な郷土蒸しパン | 1個100〜200円 | 中心市街地 |
| 松山鮓(もぶり鮓) | 甘めの酢飯に瀬戸内の小魚を混ぜ込むばら寿司 | 店・催事による | 郷土料理店 |
| 鯛めし(北条風) | 鯛を姿のまま炊き込む松山・北条の郷土飯 | 1,500円前後〜 | 郷土料理店 |
| 五色そうめん | 五色の彩りが美しい松山伝統の麺 | 土産用数百円〜 | 中心市街地・土産店 |
| 醤油餅 | 米粉に醤油とほのかな甘みの郷土菓子 | 1個100〜200円 | 和菓子店 |
| タルト | 柚子餡をスポンジで巻いた「の」の字の和菓子 | 1棹800円前後〜 | 市内各所・土産店 |
| 坊っちゃん団子 | 抹茶・卵・小豆の三色餡の串団子 | 1本100〜150円 | 道後温泉 |
| 蛇口みかんジュース | 蛇口から注ぐ愛媛名物の体験型ジュース | 1杯100〜500円 | 松山空港・道後 |
鍋焼きうどん ― アルミ鍋でいただく松山のソウルフード
松山を語るうえで外せないのが鍋焼きうどんです。一般的な鍋焼きうどんとの最大の違いは、土鍋ではなくアルミ鍋で供されること。そして、いりこと昆布から引いた出汁が透き通った甘めの味であること。麺はコシで勝負するのではなく、噛まずにすするほど柔らかいのが松山流です。具はちくわ、かまぼこ、油揚げ、ねぎ、そして甘辛く炊いた牛肉といたってシンプル。この素朴さこそが、戦後の松山で親しまれてきた所以です。
発祥は終戦直後の昭和20年代とされ、甘いものが貴重だった時代に「ほっとする一杯を」という思いから生まれたと伝わります。市の中心商店街である銀天街・大街道の周辺には、昭和創業の老舗が今も路地で営業を続けています。価格は1杯おおむね600〜900円前後が目安。卵やおにぎりを添えても1,000円でおつりがくることが多く、観光の合間に気負わず立ち寄れます。冷房の効いた夏でも熱々を頼む地元客は多く、季節を問わない松山の定番です。
三津浜焼き ― 港町が育てた重ね焼きのお好み焼き
松山市西部、伊予灘に面した港町・三津浜(みつはま)には、独自に進化したお好み焼き「三津浜焼き」があります。広島風に近い重ね焼きで、薄く伸ばしたクレープ状の生地に、キャベツ・天かす・そばまたはうどんの麺を重ねていくのが特徴です。欠かせない具材とされるのがちくわと牛脂で、この二つが三津浜焼きの風味を決めると言われます。仕上げの甘辛いソースとキャベツの甘みが重なり、ここでも松山らしい「甘み」が顔を出します。
ルーツは大正時代の「一銭洋食」にさかのぼり、水で溶いた小麦粉を焼いてソースをかけた庶民の味が原型です。2022年には文化庁の「100年フード」にも認定されました。三津浜地区を中心に専門店が点在し、地元では「平成船手組三津浜焼き推進プロジェクト」として加盟店マップも整備されています。価格は1枚700〜1,200円前後が相場で、具の組み合わせ(玉子・肉・エビ・イカなど)を選べる店が多いのも楽しいところ。JR三津浜駅や伊予鉄の港山・三津駅を起点に、レトロな港町散策と合わせて味わうのがおすすめです。
労研饅頭 ― 酵母で蒸す、松山だけの郷土蒸しパン
「労研饅頭(ろうけんまんとう)」は、知名度こそ全国区ではないものの、松山市民が誇る本物のご当地パンです。見た目はやさしい蒸しパンですが、化学的な膨張剤ではなく酵母菌(天然酵母)で発酵させて蒸し上げるのが伝統製法。名前の「労研」は、昭和初期に倉敷の労働科学研究所が中国のマントウを日本人向けに改良した経緯に由来します。1931年(昭和6年)に松山夜学校奨学会が製造販売を始め、夜学生の学資を支えたという歴史を持ちます。
現在、この製法を受け継いで日々蒸し上げているのは、松山市内の専門店と岡山県倉敷市の一軒のみ。あんこ入りのほか、レーズン入りやプレーンなど素朴な味が並び、1個100〜200円程度の手頃さです。ふかふかとした食感とほのかな甘み、そしてどこか懐かしい発酵の香りは、おやつにも朝食にも向きます。お土産にすれば、松山ならではのストーリーごと持ち帰れる一品です。
松山鮓(もぶり鮓) ― 子規と漱石が愛した祝いの味
もう一段ローカルに踏み込むなら、郷土寿司の松山鮓(まつやまずし)を覚えておきたいところ。瀬戸内の小魚から取った出汁を使った甘めの酢飯に、地魚や錦糸卵をちりばめたばら寿司で、「もぶり鮓」とも呼ばれます。「もぶる(もぶす)」は混ぜ込むことを意味する松山地方の方言で、これがそのまま料理名になりました。
松山では祝い事や来客のもてなしにばら寿司をふるまう習慣があり、その代表格がこの松山鮓です。明治期に正岡子規や夏目漱石が親しんだ味としても知られ、子規は故郷の味として句にも詠みました。日常の食堂で常時出会えるとは限りませんが、郷土料理を掲げる店や季節の催しで供されることがあり、見かけたらぜひ。瀬戸内の魚介と甘い酢飯の組み合わせは、松山の食文化の核心に触れる一皿です。
夜の名物料理 ― 北条風鯛めしと居酒屋の瀬戸内魚
夜に松山の名物料理を狙うなら、まず鯛めしです。愛媛の鯛めしには二系統あり、松山市内で出会えるのは鯛を姿のまま米と炊き込む松山・北条風。だし汁を吸ったご飯に鯛の身をほぐし混ぜていただく祝いの飯で、刺身の鯛を生卵入りのタレ飯にのせる宇和島風(南予の味)とは別物です。郷土料理店の夜のコースや御膳で供されることが多く、一人前1,500円前後からが目安。瀬戸内の鯛や穴子、タチウオなど、黒板に並ぶ地魚と地酒を合わせれば、B級の域を超えた松山の夜が完成します。
大街道・銀天街かいわいの居酒屋では、三津浜焼きを肴に出す店や、〆に鍋焼きうどんへはしごできる立地の妙も松山ならでは。「昼はB級、夜は郷土の魚」と使い分けると、この街の食の層の厚さが見えてきます。
五色そうめんと醤油餅 ― 城下町に伝わる麺と餅
派手さはないものの、松山の食卓に長く息づいてきたのが五色そうめんと醤油餅(しょうゆもち)です。五色そうめんは、白に加えて梅・卵・抹茶・そばなどで色をつけた五色の麺を束ねた松山の伝統名物。江戸時代に松山で考案されたと伝わり、その彩りの美しさから城下の味として長く親しまれてきました。彩りの美しさから贈答品としても定番で、土産店では数百円台の小分け品から手に入ります。夏は冷やしで、冬はにゅうめんで、と季節を問わないのも懐の深さです。
醤油餅は、米粉の生地に醤油とほのかな甘みを練り込んで焼き上げた(蒸し上げた)素朴な郷土菓子。かつては桃の節句に各家庭で作られたと伝わる、松山地方ならではの味です。しょうゆの香ばしさと控えめな甘さの組み合わせは、まさに「甘さの街」松山らしい一品。市内の和菓子店で1個100〜200円程度から買えるので、労研饅頭と食べ比べてみるのも一興です。
甘い菓子でしめる ― タルトと坊っちゃん団子
食べ歩きの後半は、松山の銘菓で甘くしめましょう。タルトは、いわゆる洋菓子のタルトではなく、カステラ状のスポンジで柚子の香る餡を巻いたロールケーキ状の和菓子。切ると断面が「の」の字を描きます。江戸初期、松山藩主・松平定行が長崎で出会った南蛮菓子をもとに、餡入りへと工夫したのが起源と伝わり、市内には複数の老舗本舗があります。
もうひとつが、道後温泉の名物として知られる坊っちゃん団子。緑(抹茶)・黄(卵)・茶(小豆)の三色の餡で串団子を包んだ姿が愛らしく、夏目漱石の小説『坊っちゃん』にちなんで名づけられました。道後温泉本館の界隈には和菓子店が並び、湯あがりに頬張る一本がよく似合います。
なお、じゃこ天は宇和島・八幡浜など南予の名物、焼豚玉子飯は今治の味。鯛めしは前述のとおり松山では北条風の姿炊きが本流です。松山市のB級グルメの核はあくまで鍋焼きうどん・三津浜焼き・労研饅頭・松山鮓だと押さえておくと、食べ歩きの軸がぶれません。
みかん王国の遊び心 ― 蛇口からみかんジュース
「愛媛では蛇口からみかんジュースが出る」という半ば都市伝説だった話を、そのまま形にしたのが蛇口みかんジュースです。松山空港には蛇口から注ぐみかんジュースの体験コーナーが常設されており(有料)、道後温泉街や大街道周辺の土産店・ジューススタンドでも同様の体験ができます。1杯100〜500円程度と手頃で、品種ごとの飲み比べを掲げる店もあるほど。温州みかんから伊予柑、せとか、紅まどんなまで、柑橘王国・愛媛の底力を一杯で実感できます。食べ歩きの締めやバスの待ち時間に組み込みやすい、松山らしい遊び心の一杯です。
半日〜1日で回る食べ歩きモデルコース
半日コース(中心市街地+道後): 昼に銀天街・大街道界隈で鍋焼きうどん→商店街で労研饅頭と醤油餅を買い食い→市内電車で道後温泉へ→湯あがりに坊っちゃん団子→土産にタルトと五色そうめん。市内電車「大街道」電停と道後温泉駅を結ぶだけのシンプルな動線で、松山の甘い味の骨格をひと回りできます。
1日コース(+三津浜): 上記に加えて、昼どきにJR予讃線または伊予鉄高浜線で三津浜へ(所要20分前後)。三津浜焼きを本場で味わい、レトロな港町を散策してから道後へ向かう順路にすると、城下町・港町・温泉地という松山の三つの顔を食で辿れます。
松山のB級グルメでよくある質問
松山のB級グルメといえばまず何を食べるべき?
最優先は鍋焼きうどんと三津浜焼きの二枚看板です。どちらも松山市でしか出会えないローカル度の高さで、合わせて2,000円前後に収まります。時間が許せば労研饅頭を買い足すのが松山通の定番です。
ランチにおすすめの名物は?
昼なら鍋焼きうどんが本命です。老舗の多くは昼時を中心に営業しており、売り切れ次第終了の店もあるため、ランチ帯の早めの訪問が確実。三津浜焼きも昼から開く店が多く、港町散策とセットのランチに向きます。どちらも1,000円前後で収まる、財布にやさしい松山ランチです。
食べ歩きに便利なエリアはどこ?
銀天街・大街道の中心商店街が起点として最強です。鍋焼きうどんの老舗、労研饅頭や銘菓の店が徒歩圏に集まり、市内電車で道後温泉(菓子・ジュース系)にも三津浜方面(三津浜焼き)にも接続できます。アーケードなので雨の日でも回りやすいのも利点です。
予算はどのくらい見ておけばいい?
主要な味を一通り試すなら1人2,000〜3,000円が目安です。鍋焼きうどん(600〜900円)+三津浜焼き(700〜1,200円)+労研饅頭・団子・ジュースの間食(数百円)で収まる、財布にやさしい食べ歩きができます。夜に北条風鯛めしの御膳を加えるなら、プラス1,500〜3,000円を見ておきましょう。
食べ歩きの実用メモ
中心市街地の銀天街・大街道は伊予鉄の市内電車「大街道」電停が起点で、鍋焼きうどんや菓子の老舗が徒歩圏に集まります。三津浜エリアへはJR予讃線または伊予鉄高浜線で20分前後。港町の風情を楽しみながら三津浜焼きを味わうなら、昼どきに合わせて訪れるのが無難です。道後温泉は市内電車の終点側にあり、湯めぐりと坊っちゃん団子をセットにできます。価格はいずれも目安で、店や時期により変わります。松山の味の通底音である「甘さ」を意識しながら一日歩けば、城下町・港町・温泉地という三つの松山が、舌の上でつながっていくはずです。
この記事のエリアでグルメを探す
RELATED COLUMNS
関連するコラム








