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新潟市のB級グルメ食べ歩きガイド|タレカツ丼・イタリアン・バスセンターのカレー
新潟市のB級グルメは「米どころ」と「港町」の合わせ技
新潟市の庶民の味は、コシヒカリの本場という土台と、信濃川河口に開けた港町の歴史が重なって育ちました。だからこそ主役になるのは、ごはんがどんどん進む丼物と、屋台・立喰い・甘味喫茶といった気取らない外食文化から生まれた一皿です。観光客が真っ先に思い浮かべる「のどぐろ」や寿司は確かに新潟市の誇りですが、ここで取り上げるのは、地元の人が日常的に食べ続けてきたソウルフード。古町(ふるまち)の商店街、市民の台所・本町(ほんちょう)市場、そして万代(ばんだい)シテイという三つのエリアを軸に、新潟市で本当に味わうべきB級グルメを整理していきます。
新潟市が生んだ二大ソウルフード
新潟市発祥の名物として、まず押さえたいのが二つあります。県内各地に似た料理が増えましたが、この二つは新潟市から広がったものです。
タレカツ丼 — 卵でとじない甘辛醤油の丼
タレカツ丼は、薄めにのばした揚げたてのとんかつを、継ぎ足しの甘辛い醤油だれにくぐらせ、白いごはんの上に重ねた丼です。卵でとじず、ソースもかけず、カツとごはんだけというシンプルさが新潟流。発祥は昭和初期、新潟市中心部で屋台を営んでいた老舗「とんかつ太郎」の初代が、当時ハイカラだったカツレツを醤油だれにくぐらせて出したのが元祖と伝わります。古町通の界隈には、この系譜を引く専門店が点在し、丼を開けると二枚以上のカツが並ぶのが新潟市スタイル。価格は専門店で一杯がおおむね千数百円前後が目安です。甘じょっぱいタレがしみたごはんは、新潟米のうまさをいちばん素直に感じられる食べ方かもしれません。
みかづきの「イタリアン」 — 焼きそば×ミートソースの一皿
「イタリアン」と聞いてパスタを想像すると、新潟市では裏切られます。新潟市民にとってのイタリアンは、太めのソース焼きそばの上にトマトベースのミートソースをかけ、フォークで食べるご当地ファストフード。考案したのは、新潟市古町の甘味喫茶を母体に持つ「みかづき」で、創業者が上京先で出会ったソース焼きそばにヒントを得て、洋風のイメージを重ねて生み出したと伝わります。みかづきは新潟市を中心に複数店舗を展開する実在のローカルチェーンで、フードコートなどで手軽に味わえます。紅生姜の千切りが添えられ、一皿ワンコイン前後で食べられる気軽さも魅力。なお同じ「イタリアン」でも長岡市には別系統の「フレンド」があり、両者は別物として愛されています。
万代シテイの黄色いカレー
新潟市のB級グルメで近年とくに知られるようになったのが、万代シテイバスセンター内の立喰いそば店「万代そば」が出す黄色いカレーです。1970年代から変わらない、とんこつスープをベースにスパイスを効かせた昔ながらの黄色いルーが、立ち食いのカウンターでどんと供されます。テレビ番組で取り上げられて全国区になりましたが、もとはバスを待つ人や働く人の腹を満たすための一杯。並盛でも食べごたえがあり、ミニから大盛まで選べます。価格は一皿数百円台の手頃なレンジが目安で、新潟県産の豚肉や玉ねぎ・にんじんが使われています。万代は新潟駅から信濃川方面へ歩いたショッピングエリアで、買い物や移動のついでに立ち寄れる立地もこのカレーが市民食として定着した理由でしょう。
新潟市系のラーメンを食べ歩く
新潟県は「新潟5大ラーメン」と呼ばれるほどの激戦区ですが、5系統は発祥地がそれぞれ違います。新潟市で味わうなら、まず市発祥の二系統を狙うのが筋です。
- 新潟あっさり醤油ラーメン:煮干しなどの和風だしを効かせた澄んだスープに細麺を合わせた、新潟市の屋台文化から育った一杯。飲んだあとの〆としても食べ継がれてきた、軽やかで毎日でも食べられる味です。
- 新潟濃厚味噌ラーメン:どろりと濃いスープと、薄める用の「割りスープ」が別の器で付いてくる珍しいスタイル。元祖は新潟市西蒲区(にしかんく)の「こまどり」と伝わり、好みの濃さに調整しながら食べます。
この二つだけでも対照的な体験ができます。残る三系統は、いずれも新潟市ではなく県内他都市が本場です。背脂をたっぷり振りかける燕(つばめ)背脂ラーメンは燕市、寒い土地で体を温める生姜醤油ラーメンは長岡(ながおか)市、5系統で最も歴史が古いとされるカレーラーメンは三条(さんじょう)市が発祥。新潟市内でも提供する店はありますが、本場の空気まで味わいたいなら、それぞれの街を訪ねるのが本筋です。
県を代表する麺・郷土菓子も市内で
新潟市が発祥ではないものの、県を代表する味として市内でも出会えるものがあります。帰属を正しく知っておくと、旅の解像度が上がります。
へぎそばは、つなぎに布海苔(ふのり)という海藻を使い、ツルリとしたのどごしが特徴の蕎麦。発祥は魚沼(うおぬま)地方で、十日町(とおかまち)市や小千谷(おぢや)市が本場として知られます。「へぎ」と呼ばれる木の器に一口ずつ盛り付けられた姿が美しく、新潟市の蕎麦店や物産施設でも味わえますが、深く堪能したいなら中越の本場へ足を延ばす価値があります。
甘いものでは、よもぎを練り込んだ団子をあんで包み、笹の葉でくるんだ笹団子(ささだんご)が新潟みやげの定番。笹の抗菌作用を活かした保存食として戦国期に上杉謙信が用いたという話も伝わりますが、これは伝承の域を出ません。あんを包む形が定着したのは明治以降とされ、現在は古町の老舗和菓子店や市場、駅の売店などで一年を通して手に入ります。
もう一つ、祭りの屋台で出会えるのがぽっぽ焼き。黒砂糖を効かせた細長い蒸気パンのような焼き菓子で、もちもちした素朴な甘さが特徴です。発祥は同じ下越(かえつ)地方の新発田(しばた)市とされ、新潟市の祭りやイベントの屋台でも定番。温かいうちに頬張るのが地元流の楽しみ方です。
食べ歩きの動線メモ
新潟市のB級グルメ巡りは、エリアを意識すると効率よく回れます。古町は白山神社へ続く商店街とアーケード「ふるまちモール」が連なり、タレカツ丼の専門店や老舗和菓子店が集まる中心市街地。隣接する本町市場(ぷらっと本町)は幕末からの歴史を持つ市民の台所で、近海の魚介や地場野菜が並び、丼や定食をその場で食べられる店も入っています。一方、新潟駅から信濃川を渡る手前の万代は、バスセンターのカレーやみかづきのイタリアンを手軽に味わえる買い物エリア。古町と万代は萬代橋(ばんだいばし)を挟んで歩いて行き来でき、間に挟まる信濃川の眺めも新潟市らしい風景です。どの店も気取らない庶民の味ですから、混み合う昼どきを少し外し、米どころ・港町ならではの一皿を肩の力を抜いて味わってみてください。
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