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新潟市の旬の食材カレンダー|日本海の魚と越後平野の米・豆を季節で味わう
グルメ
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新潟市の旬の食材カレンダー|日本海の魚と越後平野の米・豆を季節で味わう

新潟市の「旬」は海・平野・砂丘で読み解く

新潟市の食を季節で楽しむなら、市の地形をそのまま地図にすると分かりやすくなります。西に広がる日本海が魚介を、市街地を取り囲む越後平野が米と豆を、そして海沿いの砂丘地が果実や野菜を育てます。信濃川と阿賀野川という二つの大河が運んだ土と水が平野を肥やし、河口の港には日本海の幸が日々水揚げされる——この「海・平野・砂丘」の三層が、新潟市の旬を組み立てる骨格です。機械的に春夏秋冬で区切るより、どの地形が主役になる時期か、という見方をすると新潟市らしい食べ歩きの道筋が見えてきます。

まず旬の現物に出会いたいなら、中央区万代島のピアBandaiに立ち寄るのが近道です。信濃川の河口に面したこの一角には鮮魚センターや青果店が集まり、新潟港や近隣漁協から届いたその日の地魚、季節の野菜・果物が並びます。週末を中心に浜焼きコーナーも開かれ、目の前で焼かれる旬の魚介を味わえます。古町・本町の界隈にも昔ながらの市場の空気が残り、地元の台所として旬の食材が行き交っています。

冬から春へ──日本海が主役の季節

新潟市の食でまず外せないのが日本海の魚介です。水温が下がる晩秋から冬にかけて、海の幸は一年で最も充実します。

代表格が南蛮エビ。正式にはホッコクアカエビという甘エビで、体の色と形が赤い唐辛子(南蛮)に似ることから新潟ではこう呼ばれます。とろりと甘い身は刺身や寿司が王道で、水温の下がる11月から翌2月ごろが身の締まる旬。新潟市でも水揚げされる、まさに地元の味です。

冬の主役は寒ブリ。脂がのった大型のブリは刺身でもブリしゃぶでも濃厚で、寒さが増すほど味が深まります。同じ冬にはマダラ(真鱈)も旬を迎え、産卵期の1〜2月ごろは身がふっくらし、白子(だだみ)が出回るのもこの時期。鍋物や汁物で体を温める、雪国の冬らしい食べ方が似合います。深場に生息する紅ズワイガニも新潟の冬を彩る一杯で、ほぐした身の甘さは格別です。

新潟の高級魚として名高いのどぐろ(アカムツ)も忘れられません。喉の奥が黒いことからこの名で呼ばれ、脂ののった白身は塩焼きや煮付けで真価を発揮します。一年を通して珍重されますが、新潟近海では産卵前に脂を蓄える夏から秋にかけてが特に脂がのるとされ、冬の魚というより通年の贅沢として味わうのが地元の感覚です。

春になると海は穏やかになり、近海ではヤリイカや春の白身魚が出回るほか、平野や山ぎわでは山菜の季節が始まります。こごみ・ふきのとう・たらの芽・わらびといった春の恵みは、天ぷらやおひたしで雪国の春を告げる味覚です。

越後平野の米と豆──夏から秋の主役

海から内陸へ目を移すと、新潟市を囲むのは見渡す限りの水田です。信濃川・阿賀野川が運んだ肥沃な土と豊かな水が育てる越後平野の新米コシヒカリは、収穫期の9〜10月に登場します。炊きたての新米は粘りと甘み、噛むほどに広がる旨みが格別で、新潟市の秋はまず新米から始まると言ってよいほどです。なお同じ新潟県でも魚沼産コシヒカリは南魚沼など山あいのブランド、岩船産は村上方面の米で、新潟市の米はあくまで越後平野・亀田郷などの平野部産という違いがあります。

そして新潟市が全国に誇るのが枝豆です。新潟県は枝豆の作付面積が日本一で、新潟市民の枝豆好きも有名。7月下旬から8月中旬にかけては香りの強い茶豆が最盛期を迎えます。なかでも新潟市西区(旧黒埼町地区)で育つ黒埼茶豆は、さやの薄皮がうっすら茶色がかり、独特の甘い香りとコクで知られるブランド枝豆。2017年には地理的表示(GI)保護制度に登録された、まさに新潟市発のお墨付きの味です。塩茹でにしてビールと合わせるのが、新潟の夏の定番風景になっています。

砂丘が育む果実と野菜

日本海沿いに連なる砂丘地は、水はけのよさを生かした果樹・野菜づくりの舞台です。

秋から冬の締めくくりを飾るのが洋梨ル レクチエ新潟県に最初に導入された西洋梨で、今では県を代表する特産品です。10月下旬から11月に収穫した後、一カ月ほど追熟させて11月下旬から12月中旬ごろに食べ頃を迎えます。とろけるような舌触りと上品な甘い香りから「洋梨の貴婦人」とも称され、新潟市の南区・江南区・西蒲区などが主な産地。冬の贈答や年末の食卓を彩る果実です。

春から夏にかけてはアスパラガスが4月中旬から出始め、5〜6月が盛り。砂地で育つ瑞々しい一本は、さっと茹でるだけで甘みが引き立ちます。6月から8月にはすいかも旬を迎え、暑い盛りの7〜8月が最盛期。砂丘地特有の水はけのよい土壌が、シャリッと締まった果肉とすっきりした甘さを生みます。

季節ごとの楽しみ方の目安

旅程に合わせて狙う旬を整理すると、おおよそ次のようになります。

季節海の幸米・豆・果実
春(3〜5月)ヤリイカ・春の白身魚、山菜アスパラガス
夏(6〜8月)のどぐろ(脂のり始め)枝豆・黒埼茶豆、すいか
秋(9〜11月)南蛮エビ、のどぐろ、秋鮭新米コシヒカリ、ル レクチエ収穫
冬(12〜2月)寒ブリ、マダラ・白子、紅ズワイガニ、南蛮エビル レクチエ食べ頃

秋には信濃川・阿賀野川をさかのぼる秋鮭も水揚げされます。塩をすり込んで寒風に干す「塩引き鮭」は隣の村上市(岩船地方)に根づいた伝統食で、新潟市そのものの名物ではありませんが、同じ県内で味わえる秋から冬の風物詩です。

価格は時期や相場で動くため、旬の魚介や青果はピアBandaiや本町・古町界隈の市場、地元のスーパーで「今日のおすすめ」を覗くのが確実です。海の幸を狙うなら冬、米と豆を楽しむなら夏から秋——新潟市の地形が描く旬の流れに沿って、季節ごとの味を訪ねてみてください。

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Written by

田中 花

和菓子研究家

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