グルメ
新潟市の深夜グルメ・夜食ガイド|古町の締めラーメンと冬の温かい一杯
締めの一杯まで含めて、新潟の夜は完成する
新潟市の夜は、信濃川の西側に広がる花街・古町(ふるまち)の飲み屋街で更けていきます。けれどこの街の夜が本当に面白いのは、飲み終えたあとに何を食べるか——つまり「締め」と「夜食」の文化が驚くほど厚いことです。古町通の8番町・9番町には今も現役の花柳界が残り、その周りの小路には、夜だけ暖簾を出して深夜まで湯気を上げる老舗のラーメン店が点在します。一方、信濃川を渡った新潟駅前や万代(ばんだい)には、明け方近くまで灯りの消えない一杯が待っています。ここでは店名ではなく「どの料理を、どのエリアで、何時ごろ食べられるか」を軸に、新潟市の深夜グルメと夜食をたどります。
締めの主役「あっさり醤油」——屋台が生んだ極細麺
飲んだあとの締めとして新潟市民がまず思い浮かべるのが、新潟あっさり醤油ラーメンです。ルーツは昭和初期、古町の堀端に並んでいた屋台のラーメン。屋台は客を長く待たせられず火力も限られていたため、すぐに茹で上がる極細の麺と、それに合うあっさりした和風だしの醤油スープが磨かれていったと伝わります。煮干しなどでとった澄んだスープに、すすった瞬間にほどける細麺——この軽さこそが、酒を入れた体にするりと収まる理由です。古町の小路には、夜のみ営業で深夜まで灯りをともす昔ながらの一杯を出す店が今も残り、「飲んだあとはあっさりで締める」のが地元の作法になっています。価格は一杯700〜1,000円程度が目安で、こってりしたものを欲しない夜にちょうどよい一椀です。
もう一つの夜食「濃厚味噌」と割りスープの物語
あっさり醤油と好対照をなすのが、新潟濃厚味噌ラーメンです。発祥は新潟市西蒲区(にしかんく)の一軒とされ、どろりと濃い味噌スープに、極太のもちもち麺と山盛りの野菜を合わせるのが流儀。最大の特徴は、味を薄めるための「割りスープ」が別の器で添えられることです。この珍しいスタイルが生まれたきっかけは、夜の出来事でした。発祥の店はもともと温泉街にあり、近くの宿へ味噌ラーメンを出前したところ、一杯やったあとの客から「味が濃すぎる」と苦情が出たそうです。そこで主人が薄める用のスープを別に届けたら好評で、やがて店で食べる客も割りスープを頼むようになって定着した——と伝わります。濃い味噌で体の芯から温まり、好みの濃さに割りながら最後まで飲み干せる。雪国の冬の夜食として、これ以上ない一杯です。
深夜の一杯は、信濃川のどちら側かで変わる
新潟市で深夜にラーメンを手繰るなら、信濃川のどちら側にいるかで選択肢が変わります。
古町側は、花街の小路に夜だけ現れる老舗が中心です。あっさり醤油の系譜を引く軽やかな一杯が多く、おおむね深夜2時前後まで灯りがついています。割烹やスナックをはしごしたあと、石畳の路地を少し歩いて締める——花街ならではの落ち着いた締めの時間が流れます。古町には「飲んだあとのアイス」を県産フルーツで出す店もあり、ラーメン以外の締めを選べるのもこの街らしさです。
新潟駅前・万代側は、より遅くまで、よりパンチのある一杯が揃います。背脂をたっぷり浮かべたこってり系や、焼きあご(飛び魚)でだしをとったさっぱり系など店ごとに個性があり、深夜3〜4時、週末は早朝近くまで営業する店もあります。新幹線で着いてそのまま、あるいは終電を逃した夜でも、駅周辺なら熱い一杯にありつけるのが心強いところです。
ラーメン以外の夜食——丼とイタリアン
締めはラーメンだけではありません。がっつり食べたい夜には、薄いカツを甘辛い醤油ダレにくぐらせ、卵でとじずに飯へのせた新潟市生まれのタレカツ丼で締める手もあります。タレの染みた飯は、酔った体にも不思議とするりと入っていきます。
軽く小腹を満たすなら、新潟名物の「イタリアン」も候補です。これは太いソース焼きそばにトマトベースのミートソースをかけたご当地ファストフードで、考案した地元チェーン「みかづき」が万代などで親しまれています。ただし店舗の多くは20時ごろに閉まるため、深夜の締めには使えません。あくまで夕方から夜の早い時間の腹ごしらえ向き、と覚えておくとよいでしょう。一皿はワンコイン前後が目安です。
冬の夜食は、雪国の温かい一椀で
雪に閉ざされる新潟の冬は、体を温める夜食が一段とありがたく感じられます。郷土料理の「のっぺ」は、里芋を主役に根菜やきのこを薄味で煮含め、里芋のぬめりで自然なとろみをつけた一椀。冬は熱々で、夏は冷たくしていただく一年じゅうの常備菜です。雪深い土地で保存の利く根菜を活かす知恵から生まれた家庭の味で、さやえんどうが手に入らない冬には「ととまめ」(鮭の卵を塩漬けにしたもの)を散らして彩りを添えます。居酒屋でも温かい郷土の一品として出され、熱燗を一本つけて締めれば、冷えた体がゆっくりほどけていきます。先に挙げた濃厚味噌ラーメンも、冬の夜にこそ真価を発揮する一杯です。
夜食を楽しむための時間メモ
新潟市で深夜の一杯を狙うなら、エリアごとの「店じまいの時間」を頭に入れておくと迷いません。古町側の締めラーメンはおおむね深夜2時前後まで、新潟駅前・万代側は深夜3〜4時、週末はさらに遅くまで開いている店があります(時間は目安で、店ごとに差があります)。古町から新潟駅周辺へは信濃川を渡る必要があり、深夜はバスの本数が減るため、遅くまで古町で過ごすなら帰りの足を先に決めておくと安心です。タクシーなら古町〜駅周辺がおおむね1,000〜1,500円程度。花街の小路で軽くあっさりを手繰るもよし、駅前でこってりの一杯にありつくもよし——「飲んだあとの締め」までを一晩の組み立てに入れておくと、新潟の夜はぐっと豊かになります。
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