メインコンテンツへスキップ
SOROU.JP日本全国情報ポータルサイト
新潟・水の都を歩く|萬代橋から古町花街へ、港町の歴史散策コース
観光・体験
6分で読める

新潟・水の都を歩く|萬代橋から古町花街へ、港町の歴史散策コース

川が分ける街、橋が結ぶ街

新潟の街歩きは、まず信濃川の存在を頭に入れると一気に分かりやすくなります。日本一の大河が市街地を二つに割り、新潟駅のある右岸が高度経済成長期に伸びた新しい街、対する左岸が江戸時代からの港町・古町を抱える「新潟島」です。関屋分水路の開通で周囲を水に囲まれたこの島には、舟運で栄えた町割りと芸能文化が今も色濃く残ります。幕末には横浜・函館・神戸・長崎と並ぶ開港五港のひとつに選ばれ、北前船と汽船が行き交う日本海側随一の湊町でした。かつての新潟は街なかに堀がめぐる「水の都」で、堀端には柳が並んでいました。その多くは埋め立てられましたが、地名や復元された堀並木に名残をたどれます。両岸を結ぶのが新潟のシンボル・萬代橋。新潟駅万代口から橋を渡って古町までは、およそ2km・徒歩25分ほどの一本道です。これをゆっくり歩くだけで、現代の新潟と港町の新潟を続けて味わえます。

萬代橋を渡って水の都へ

散策の起点は、やはり萬代橋(ばんだいばし)。1929年(昭和4年)竣工の現在の橋は3代目で、御影石をまとった6連アーチが信濃川の川面に映える姿は新潟随一の景観です。橋長306.9m、幅員22m。国道に架かる橋として、東京の日本橋に次ぐ2例目の国の重要文化財に指定されています。中央の二つのアーチが大きいのは、かつて盛んだった川の舟運を妨げないための工夫です。たもとから信濃川やすらぎ堤の水際へ下りれば、橋を真横から見上げる構図に出会えます。春は堤沿いに桜とチューリップが咲き、水上バス「信濃川ウォーターシャトル」が橋の下を潜っていく光景も新潟らしい一場面。右岸の万代シテイから橋ひとつ渡るだけで街の表情はがらりと変わり、渡りきればそこはもう古町の入り口です。

古町花街と雁木の町並みを歩く

左岸に渡ったら、古町通と本町通を貫く商店街の散策へ。明暦元年(1655年)の町建て以来の細長い町割りがほぼそのまま残り、軒先が連なる雁木(がんぎ)の名残が港町らしい奥行きを生んでいます。見どころは、古町通8番町・9番町に明治31年(1898年)に生まれた花街。今も14軒の料理屋と27名の古町芸妓が活動する現役の花柳界で、「鍋茶屋通」「白壁通」と名のついた路地に入ると、黒板塀やお茶屋の佇まいが続き、シャッターを切りたくなる一角が次々と現れます。市民の台所・本町市場の人情商店街「ぷらっと本町」もすぐ近く。観光地化されすぎない、暮らしの匂いのする町歩きが楽しめます。

北前船の豪商がのこした庭園へ

古町から少し西へ歩けば、北前船で財をなした豪商・齋藤家の別荘「旧齋藤家別邸」があります。大正7年(1918年)に砂丘の地形を巧みに生かして造られた池泉回遊式庭園は国の名勝・日本遺産に認定され、滝と石組み、紅葉が織りなす深山幽谷の趣は、平地の市街地にいることを忘れさせます。一帯は砂丘の上に開けた閑静な文化エリアで、周辺には新潟市美術館、坂口安吾ゆかりの「安吾風の館」、旧日本銀行新潟支店長役宅を活用した「砂丘館」が点在。坂道や石塀の続く道筋そのものが、文化施設をはしごする庭園散歩の楽しみになります。

日本最初の都市公園・白山公園

新潟島の南寄りには、明治6年(1873年)に開かれた白山公園があります。太政官布告で全国に25か所定められた、日本で最初の都市公園のひとつ。瓢箪池と蓮池を配したオランダ風の回遊式庭園は、2018年に国の名勝に指定されました。隣接する白山神社は新潟総鎮守で、地元では「白山さま」と親しまれ参拝の人が絶えません。公園とコンサートホール「りゅーとぴあ」を結ぶ「空中庭園」は桜の名所で、川越しに弥彦山や角田山を望む眺めも見事。夏は蓮池にハスの花が開き、四季を通じて表情を変えます。ベンチに腰かけてひと息つくのに格好の場所です。

みなとぴあと港町の名残

信濃川の河口へ向かえば、港町・新潟の原点に出会えます。新潟市歴史博物館「みなとぴあ」の中心に建つ旧新潟税関庁舎は、幕末の開港五港のうち、開港当時の姿のまま唯一現存する建物で、国の重要文化財かつ史跡です。敷地には大正末から昭和初めに建てられ移築復元された旧第四銀行住吉町支店や、柳並木の美しい早川堀が再現され、明治・大正の湊町の景観に浸れます。目の前を流れる信濃川は、ここで日本海へと注ぎます。屋外の園路は24時間開放され、日没後から21時までライトアップされるので、夕暮れ時の散歩にも向きます。

沼垂テラスでレトロな路地裏歩き

右岸に戻り、もう一つの古い港町・沼垂(ぬったり)へ足を延ばすのもおすすめです。城柵・渟足柵に由来するとされる長い歴史を持つこの地で、かつての青果市場の長屋を改装して2015年に生まれたのが「沼垂テラス商店街」。約30軒のカフェやベーカリー、古道具店、陶芸・ガラス工房が肩を寄せ合い、一軒一軒のぞきながら歩く路地裏の時間が心地よい一角です。沼垂とその周辺はかつて40を超える蔵が並んだ醸造のまちでもあり、今も今代司酒造の酒蔵や峰村醸造の味噌蔵が残ります。商店街歩きとあわせて、新潟ならではの発酵文化の香りもたどれます。

足を延ばすなら、散策の実用メモ

もう一日あるなら、郊外の江南区沢海にある「北方文化博物館」へ。越後の大地主・伊藤家の8,800坪の大邸宅で、新潟駅から車で約25分、路線バスでも行けます(市街地からは離れた郊外型の名所です)。市街の散策は、新潟駅を起点に萬代橋を渡る一本道が基本。歩き疲れたら、新潟駅と古町を結ぶ萬代橋ライン(BRT)の路線バスで10分ほどで戻れます。古町・白山公園・みなとぴあはいずれも徒歩圏ですが、河口側は風が強く、冬は足元が滑りやすいので歩きやすい靴で。雁木の連なる古町は、雨や雪の日でも軒先を伝って歩ける港町ならではの構造です。天気を気にしすぎず、新潟島の歴史をゆっくり踏みしめてみてください。

シェアする

Written by

田中 花

和菓子研究家

Related Columns

日本刀×日本文化体験

観光スポットと刀剣文化をつなぐ多言語展開。