フィットネス
広島市のランニングコース|デルタの6河川と平和記念公園を走る
「水の都」広島は、川とともに走る街
広島市のランニングは、太田川がつくった三角州(デルタ)の地形を抜きには語れません。市の中心部で太田川は太田川放水路・天満川・旧太田川(本川)・元安川・京橋川・猿猴川の6本に分かれて広島湾へ注ぎ、そのほとんどの川岸に遊歩道や河岸緑地が整備されています。もともと7本だった川は、太田川放水路の完成で6本に整理され、いまの「水の都ひろしま」の姿になりました。信号がなくフラットで、好きなだけ距離を伸ばせる——川を軸にコースを自在に組み立てられるのが、広島ランの最大の魅力です。
気候も走りやすさを後押しします。広島は瀬戸内海式気候で温暖少雨。年平均気温はおよそ16℃、夏の8月でも平均28℃前後、冬の1月でも6℃前後と寒暖差が小さく、中国山地と四国山地に挟まれて雨や雪が届きにくいため、年間を通して晴れの日が多いのが特徴です。梅雨の6〜7月と台風期の9月さえ避ければ、ほぼ通年で快適に走れます。
平和記念公園を巡る2.5kmの「祈りのラン」
広島でまず走っておきたいのが、平和記念公園の周回コースです。園内をたどる約2.5kmはフラットで信号がなく、原爆ドームや原爆死没者慰霊碑、数々のモニュメントの間を抜けていきます。元安川と本川(旧太田川)に挟まれた中州に位置するため、両岸からの川風を感じながら走れるのも気持ちのいいところです。
ここは観光や参拝に訪れる人も多い場所です。人が少なく空気の澄んだ早朝に走るのがおすすめで、祈りを捧げる人の妨げにならないよう、ペースを落として静かに通り抜けるのが地元ランナーのマナーになっています。
6つの川をつないで距離を伸ばす
距離を踏みたい日は、デルタの川沿いを縦横につなぎます。代表格が太田川放水路沿いの「大芝・牛田」コース。アストラムライン白島駅をスタートして橋を渡り、対岸に延びるランニングロードへ。大芝公園で折り返すと往復約5.8kmで、両岸ともウレタン舗装、500mごとに距離表示があるため、脚に優しく初心者でもペース管理がしやすいコースです。途中の牛田総合公園には、春と秋に2,400株が咲く無料のバラ園もあります。
街なかでは京橋川沿いも人気です。広島駅にほど近い京橋川の右岸・左岸には河岸緑地が整い、南側のAコース約0.9km、北側のBコース約1.1kmに分かれた「京橋川ランニングコース」が設定されています。川辺には、2005年に全国初の河川空間の常設店舗として始まった「水辺のオープンカフェ」が並び、走り終わりに川を眺めて一息つけます。
これらは単独でも走れますが、本川・元安川・天満川・猿猴川の遊歩道は橋でつながる区間が多く、平和記念公園から本川を上って広島城へ、さらに太田川へと川を乗り継げば、6km、10kmと無理なく距離を伸ばせます。「今日はどの川を走ろう」と選べるのが、広島ならではの贅沢です。
広島城の外周と中央公園
平和記念公園の北側、お堀に囲まれた広島城の外周も定番のコースです。1周約1.5km(道幅の広い大回りで約1.7km)、300mごとに距離表示があり、信号に止められることなく回れます。お堀越しに天守を望み、春は桜、秋は紅葉と四季の表情が濃いのが魅力。城の西に広がる中央公園を抜ければ、そのまま太田川の河川敷へとつながります。
中央公園には広島県立総合体育館(広島グリーンアリーナ)があり、ランニングステーションとして更衣やシャワーを利用できます。荷物を預けて手ぶらで街なかランを始めたい旅行者の拠点に向いています。
起伏を求めるなら広島市森林公園へ
平坦な川沿いに飽きたら、東区福田町の山あいにある広島市森林公園(ひろしま遊学の森)まで足を延ばす手もあります。中四国唯一の「こんちゅう館」やチョウが舞う温室パピヨンドーム、2haの芝生広場、夏に水遊びできるジャブジャブ川などを備えた自然公園で、山城展望台からは市街地と瀬戸内海を一望できます。園内や周辺の山にはハイキングコースが整い、起伏のある園路やトレイルで脚を鍛えたいランナーにも向きます。デルタの平坦ランとは対照的な、緑のなかの坂トレが楽しめる広島の「もう一つの顔」です。
走る前に知っておきたいこと
広島の街なかランは早朝が快適です。川沿いも平和記念公園も日中は人通りが増えるため、人の少ない時間に走り、歩行者を優先するのが基本。夏場は瀬戸内特有の蒸し暑さがあるので、川風の通る早朝か夕方を選び、水分を携帯しましょう。中央公園のランニングステーションなど市内のランステを起点にすれば、身軽に走り出せます。川を一本選んで上流へ、別の川で下流へ——地図上に走る6本の青い線を、自分の足で一本ずつ塗りつぶしていくのが、水の都・広島の走り方です。
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