観光・体験
広島市の花の名所と見頃カレンダー|縮景園・平和記念公園・広島市植物公園を四季でめぐる
広島市は「川の街」で花を追う
広島市の花めぐりは、太田川がつくる六つのデルタの上に名所が点在しているのが特徴です。中心部の縮景園、平和記念公園、広島城、比治山公園は徒歩や路面電車・アストラムラインで気軽にはしごでき、少し足を延ばせば佐伯区の丘陵にバラとアジサイの大きな園が控えます。瀬戸内式の温暖な気候のおかげで冬の冷え込みは穏やかで、桜は本州の平野部では早めの3月下旬から咲き始めます。ここでは市内で実際に花を追える名所を、見頃の月とともに整理しました。
春の主役は桜——標本木は縮景園にある
広島の桜の開花を告げるのは、中区上幟町にある大名庭園・縮景園の標本木です。1620年に広島藩主・浅野家が築いた池泉回遊式庭園で、約100本の桜が大きな池(濯纓池)のまわりに枝を伸ばし、水面に映る花とともに楽しめます。例年の見頃は3月下旬から4月上旬。夜桜のライトアップが行われる年もあり、庭園ならではの静かな花見ができます。
川向こうの平和大通り側に渡れば、平和記念公園です。原爆ドームから元安川・本川の川沿いにかけて約300本のソメイヨシノが咲き、平和橋から本安橋(元安橋)にかけての水辺は市民の定番の花見スポット。慰霊の場でありながら、春には穏やかな桜並木が広がります。見頃は同じく3月下旬から4月上旬です。
市内随一の桜の量を誇るのが、南区の小高い丘にある比治山公園です。約1,300本といわれる桜が斜面を覆い、頂上付近からは広島市街と瀬戸内海を見渡せます。マツダスタジアムにも近く、家族連れの花見でにぎわいます。そして堀と天守のコントラストを楽しむなら広島城。内堀の水面に映る石垣と復元天守、そして桜という組み合わせは広島ならではの風景で、桜の時期にはぼんぼりが灯ります。いずれも3月下旬〜4月上旬がピークです。
桜のあとは縮景園の「春の花リレー」
桜が散っても縮景園の春は続きます。庭園内では花が時期をずらして咲き継ぐので、4月から初夏にかけて何度訪れても表情が違います。
- ツツジ — 4月上旬から下旬。濃いピンクが園路を彩ります。
- ぼたん(牡丹) — 4月下旬から5月上旬。大ぶりの花弁を広げる豪華な花で、新緑の庭に映えます。
- ハナショウブ(花菖蒲) — 5月中旬から6月上旬。紫がかった花が水辺に並び、梅雨入り前の見どころになります。
桜の喧騒が去ったあとの縮景園は人出も落ち着き、ぼたんやハナショウブをゆっくり眺められるのが魅力です。冬から早春にかけては梅(1月〜3月上旬)やツバキも咲くので、実は一年を通じて花が絶えない庭でもあります。
初夏のアジサイは佐伯区がにぎわう
梅雨どきのアジサイは、市の西部・佐伯区に名所が集まります。中心部から少し離れますが、株数・品種数ともに見応えは抜群です。
まず広島市植物公園(佐伯区倉重)。約140種・1,800株といわれるアジサイがそろい、原種に近い珍しい品種まで観察できます。見頃は5月下旬から6月下旬で、この時期は「アジサイウイーク」として催しが開かれます。植物園なので雨でも温室があり、天気を気にせず花を楽しめるのも利点です。
もう一つが同じ佐伯区坪井町の観音寺。あじさい祭りで知られ、400種・5,000株ともいわれる大量のアジサイが境内を埋め尽くします。見頃は6月上旬から下旬で、軒先に吊るした風鈴の音とともに花を愛でる初夏らしい風情があります。中心部で気軽に立ち寄るなら、中区江波二本松の江波山公園も園路沿いにアジサイが咲き、見頃は5月下旬から6月中旬です。
バラは広島市植物公園で春と秋に二度
バラを目当てにするなら、行き先は佐伯区の広島市植物公園一択といってよいでしょう。約850品種・1,500株を擁する本格的なバラ園で、四季咲きやつるバラに加え、オールドローズや世界の野生種まで集めています。見頃は春が5月中旬から6月中旬、秋が10月中旬から11月中旬と、年に二度楽しめます。
この園が特別なのは、広島ゆかりのバラを大切に育てている点です。広島の外科医で平和運動家だった原田東岷氏が作出した「ヒロシマ・マインド」、ローマ教皇の広島訪問にちなんで名づけられた「ヒロシマ・アピール」など、被爆都市の歩みと結びついた品種に出会えます。秋バラは花は小ぶりながら香りが強く、ゆっくり開くため色や形がきれいに出るので、写真を撮るなら秋もおすすめです。
晩秋の締めくくりは縮景園の紅葉
一年の花めぐりの締めは、再び縮景園です。園内には約140本といわれるモミジやハゼ、ケヤキが植えられ、池泉をぐるりと囲んで色づきます。見頃は11月下旬から12月上旬と、瀬戸内の温暖な気候を反映して平野部としては比較的遅め。市街中心部で気軽に紅葉狩りができる貴重な場所です。
この時期には「もみじまつり」が催され、夜間の紅葉ライトアップが行われる年もあります。池の水面に映り込む灯りと紅葉は幻想的で、昼とは違う庭園の顔が見られます。
月別・見頃早見
| 時期 | 花 | 主な名所(市内) |
|---|---|---|
| 1〜3月上旬 | 梅 | 縮景園(中区) |
| 3月下旬〜4月上旬 | 桜 | 縮景園・平和記念公園(中区)、比治山公園(南区)、広島城(中区) |
| 4月上旬〜下旬 | ツツジ | 縮景園(中区) |
| 4月下旬〜5月上旬 | ぼたん | 縮景園(中区) |
| 5月中旬〜6月中旬 | バラ(春) | 広島市植物公園(佐伯区) |
| 5月中旬〜6月上旬 | ハナショウブ | 縮景園(中区) |
| 5月下旬〜6月下旬 | アジサイ | 広島市植物公園・観音寺(佐伯区)、江波山公園(中区) |
| 10月中旬〜11月中旬 | バラ(秋) | 広島市植物公園(佐伯区) |
| 11月下旬〜12月上旬 | 紅葉 | 縮景園(中区) |
訪ねる前のひとこと
中心部の縮景園・平和記念公園・広島城・比治山公園は、いずれも広島駅や紙屋町から路面電車・アストラムラインで近く、桜の時期なら一日で複数をめぐれます。一方、バラとアジサイの主役である広島市植物公園や観音寺は佐伯区の丘陵にあり、中心部からはバスや車での移動が現実的です。花の見頃はその年の天候で前後するため、出かける前に各施設の開花情報を確認してから動くと、空振りなく旬の花に出会えます。
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