観光・体験
札幌サイクリングガイド|豊平川・旧鉄道跡から支笏湖の峠まで、自転車で走る大地
札幌は「河川敷」と「旧鉄道跡」で走る街
札幌のサイクリングが面白いのは、碁盤の目の市街地のすぐ脇に、信号で止まらず走り続けられる長い自転車道が何本も通っているからです。中心部を貫く豊平川の河川敷、旧国鉄千歳線の跡地、そして郊外へ抜ければ石狩平野の広大な田園と、走るスケールが内地の都市とはひと味違います。中島公園や大通公園をジョギングで巡る兄弟記事とは対照的に、自転車なら一日で札幌の端から端、さらには支笏湖や定山渓の峠まで足を伸ばせるのが醍醐味です。
ただし大前提として、札幌のサイクリングには明確なシーズンがあります。11月から4月にかけては積雪と凍結で、河川敷も郊外コースも実質的に走れません。快適に走れるのはおおむね5月から10月。本記事で紹介する自転車道や郊外の周回コースは、この雪のない季節を前提にしています。
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街なかをロングに走る:豊平川サイクリング園路
市街地を流れる豊平川の右岸には、豊平川サイクリング園路が整備されています。藻岩上の橋から環状北大橋まで、全長およそ11km。河川敷の専用道なので一般道の信号に分断されず、川面と藻岩山を眺めながら気持ちよく距離を稼げます。中央区・南区側の上流から、北区方面の下流まで、市内中心部をまたいで一本につながっているのが強みです。
走り方は気分しだいです。下流の環状北大橋方面へ向かえば視界が開けた河川敷の直線、上流の真駒内方面へさかのぼれば、緑に囲まれた静かな流れへと表情が変わります。河川敷は風が通りやすく、向かい風と追い風で体感が大きく変わるので、行きと帰りで脚の使い方を考えておくとよいでしょう。市街地のホテルからアクセスしやすく、「まずは札幌の自転車道を試す」一本目としても最適です。
旧鉄道跡をまっすぐ:白石こころーど〜エルフィンロード
札幌のサイクリストに長く愛されているのが、旧国鉄千歳線の線路跡を転用した自転車・歩行者専用道です。正式には道道札幌恵庭自転車道線といい、白石区の札幌コンベンションセンター付近からJR北広島駅近くまで、現在の開通区間でおよそ19.8kmが一本に続いています。
区間ごとに愛称が付いているのも楽しいところで、白石区側が白石こころーど(約7.2km)、厚別区側が陽だまりロード(約4.5km)、北広島市側がエルフィンロード(約8.1km)と呼ばれます。鉄道跡だけあって勾配がゆるやかで線形がまっすぐ。さらに交差点の多くがアンダーパス化されているため、信号や車にほとんど止められずに走り続けられるのが最大の魅力です。初心者がペースをつかむのにも、ロードバイクで巡航練習をするのにも向いた、札幌屈指の快走路といえます。北広島市側はゴール付近が市街地になるので、所在が札幌市外へまたがる点だけ頭に入れておきましょう。
郊外を巡る:モエレ沼から茨戸川、石狩平野へ
札幌の自転車旅のもう一つの顔が、市街地を抜けた先に広がる郊外の広い大地です。
東区のモエレ沼公園は、彫刻家イサム・ノグチが設計した造形美で知られる公園で、園内を約3.75kmで周回するコースを走れます。起伏のほとんどない平坦路なので、レンタサイクルで気軽に一周できるのが魅力。公園には貸し自転車があり、料金は普通車で2時間あたり数百円程度が目安ですが、季節営業のため開園・貸出はおおむね4月下旬から11月上旬までで、冬季は休業します。利用前に最新の営業時間と料金を公式情報で確認してください。すぐ近くには農と緑のふれあい施設「サッポロさとらんど」もあり、東区郊外をのんびり巡るポタリングの起点になります。
さらに北へ脚を伸ばすなら、創成川通沿いを北上した先に広がる茨戸川(ばらとがわ)方面。茨戸川は石狩川から分かれた三日月湖で、水辺と田園が続く開放的な景色が楽しめます。市内の自転車道では、南区の真駒内から東区の東雁来まで総延長およそ56kmに及ぶ真駒内茨戸東雁来自転車道線が、川沿いを縫うように整備されています。
もっと大地を感じたい上級者には、市外へ抜ける石狩・当別方面のロングライドがあります。JRあいの里公園駅あたりを起点に、当別町を経て石狩市の海沿いへ向かう50km級のコースは、内陸の田園と日本海の眺めを一度に味わえる人気ルート。ただしこのあたりは所在地が札幌市外(石狩市・当別町)となり、補給スポットも市街地ほど密ではないので、走行距離と水・補給の計画はしっかり立てて出かけましょう。
峠に挑む:支笏湖・定山渓・朝里峠
体力に自信がついたら、札幌は本格的なヒルクライムの入り口でもあります。いずれも所在は札幌市の南西部や近隣市町にまたがるので、距離と所要を見積もってから出発するのが鉄則です。
定番中の定番が、支笏洞爺国立公園の支笏湖を目指すライド。市内の河川沿いの自転車道で郊外まで出て、そこから国道453号に乗り換えて登っていくルートが知られています。札幌側からの往復はおよそ80km前後と長く、複数の登坂を含むため、走り慣れていない場合は休憩込みでたっぷり時間を見ておくのが安心です。日本一級の透明度をたたえる「支笏湖ブルー」がご褒美に待っています。
もう一つの王道が、温泉地・定山渓を絡めた峠越え。定山渓は札幌市街から南へおよそ26kmの距離にあり、国道5号で小樽方面へ出て朝里峠を越え、定山渓へ下って国道230号で市街へ戻る周回が、約100kmの手応えあるコースとして親しまれています。湖と森林浴、そして登りきった先の温泉という組み立てが魅力ですが、距離・標高ともに本格的なので、装備と天候を十分に確認してから挑んでください。
レンタサイクルと走り方の実用メモ
自転車を持たずに訪れる旅行者には、札幌都心部のシェアサイクル「ポロクル」が便利です。札幌駅・大通公園・すすきの・北海道大学など、都心の各所に多数のポートがあり、好きなポートで借りて好きなポートで返せます。全車電動アシスト付きなので、市内観光のポタリングや大通・北大キャンパス周辺の散策にうってつけ。観光向けの一定時間使い放題パスなども用意されていますが、料金体系やポートの場所は変わることがあるため、料金はあくまで目安と考え、利用前に公式アプリ・サイトで最新情報を確認してください。
走り方のポイントを最後にいくつか。第一にシーズン。雪のない5〜10月が基本で、それ以外は路面凍結のリスクが高く郊外ロングは避けるべきです。第二に補給。豊平川や旧鉄道跡の自転車道は信号がない反面、コース上に商店が少ない区間もあるので、出発前に水分と行動食を用意しておくと安心です。第三に所在の確認。エルフィンロードの先(北広島市)、石狩・当別方面、支笏湖や定山渓・朝里峠は、いずれも札幌市外や市の縁辺へまたがります。地図で所在と距離を把握し、無理のない計画で札幌の広い大地を走り抜けてください。
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