五稜郭タワー
函館の空に高くそびえる五稜郭タワーは、幕末の歴史と自然の美しさが交差する、北海道屈指の観光スポットです。地上107mの展望台から見下ろす星形城郭は、日本の歴史の重みと設計の巧みさを一度に体感できる、ほかに類を見ない絶景を誇ります。
星形城郭・五稜郭の歴史
五稜郭は、江戸幕府が函館の防衛を目的として1864年(元治元年)に完成させた、日本初の本格的な西洋式城郭です。設計を手がけたのは、蘭学者の武田斐三郎。フランスの軍事建築家ヴォーバンが考案した「稜堡式要塞」を参考に、五つの突角(稜堡)を持つ星形の平面構造が採用されました。この形状には優れた軍事的合理性があり、死角をなくして守備を均等に行き渡らせるという機能美が込められています。
築城には約7年の歳月がかかり、完成後まもなく江戸幕府は崩壊。その後、五稜郭は明治新政府への抵抗勢力である旧幕府軍の拠点となり、1869年(明治2年)の箱館戦争における最終決戦の舞台となります。新選組副長・土方歳三が戦死したこの地は、激動の幕末史を語るうえで欠かすことのできない場所として、今も多くの歴史ファンが訪れます。
タワーから見える360度のパノラマ
五稜郭タワーは2006年に現在の建物にリニューアルされ、高さ107mの二層構造の展望台を備えています。第1展望台(地上86m)はガラス張りで明るく開放的な空間が広がり、第2展望台(地上90m)では外気を感じながら函館の街を一望できます。
展望台のハイライトは、なんといっても真上から見下ろす五稜郭の全景です。地上では決して把握できない星形の完璧な輪郭が、眼下に鮮明に広がります。北には函館山と津軽海峡、晴れた日には青森県まで見渡せることも。市街地の碁盤目状の街路と、異国情緒漂う教会や歴史的建造物が点在する函館の全体像を俯瞰できるのも、このタワーならではの体験です。
館内の展望フロアには五稜郭と箱館戦争に関する充実した展示コーナーも設けられており、歴史背景を学んでから眺望を楽しむことで、城郭の形状が持つ意味をより深く理解できます。
春・花見シーズンの特別な姿
五稜郭が最も賑わいを見せるのが、4月下旬から5月上旬にかけての桜の季節です。公園内には約1,600本のソメイヨシノが植えられており、満開の時期にはタワーの展望台から見下ろすと、星形の輪郭がそのままピンク色に染まるという、世界でもここだけの光景が現れます。
この「桜の星形」を目当てに、全国から多くの花見客が訪れます。城郭内の堀に沿って並ぶ桜並木は、散策路としても人気が高く、花びらが水面に舞い落ちる様子は格別の風情。夜桜のライトアップも行われ、昼間とは異なる幻想的な雰囲気を楽しめます。北海道の桜前線は本州より遅く、函館では本州の花見シーズンが終わってから訪れるのがちょうどよいタイミングです。ゴールデンウィーク期間中に見頃を迎えることが多く、旅行スケジュールとも合わせやすいのが魅力です。
秋・冬のシーズンも見逃せない
桜の季節が有名な五稜郭ですが、ほかの季節にも見どころが豊富です。秋には城郭内の木々が黄や赤に色づき、堀の水面に映り込む紅葉がタワーから美しく見渡せます。緑から金色へと移り変わる星形の変化は、春の桜とはまた異なる趣があります。
冬の函館は、12月から2月にかけてイルミネーションイベントが開催されます。五稜郭の外周を彩る光の装飾により、夜になると星形の輪郭が浮かび上がり、幻想的な夜景が楽しめます。函館は日本三大夜景の一つとして知られており、タワーから望む夜の函館市街と光る星形城郭の組み合わせは、旅の締めくくりにふさわしい忘れがたい光景です。
周辺のグルメと観光情報
五稜郭タワーの館内には、函館の食材を活かしたメニューを楽しめるレストランが入っています。展望台のガラス越しに街並みを眺めながら食事ができ、ランチやカフェタイムのひとときも充実しています。函館はイカや海鮮が名物であり、近隣には地元グルメを味わえる飲食店も多く集まっています。
周辺観光としては、徒歩圏内に函館奉行所(復元)があり、五稜郭と合わせて幕末の歴史をより立体的に学ぶことができます。五稜郭公園自体も市民の憩いの場として整備されており、散策路や広場でゆったりと過ごせます。函館山の山頂展望台へは市電とバスを乗り継いでアクセス可能で、夜景観賞との組み合わせコースが定番です。
アクセスと訪問のヒント
五稜郭タワーへのアクセスは、函館市電「五稜郭公園前」電停から徒歩約15分。JR函館駅からも市電で約20分とアクセスしやすい立地です。駐車場も隣接しており、レンタカーや自家用車での訪問にも対応しています。
混雑を避けたい場合は、開館直後の午前中早めの時間帯がおすすめです。特に桜シーズンの週末はたいへん混み合うため、平日や午前中の早い時間を狙うとゆっくりと展望を楽しめます。函館の気候は北海道らしく、春でも朝晩は冷え込むため、薄手の上着を持参するとよいでしょう。タワーの営業時間は季節によって異なるため、訪問前に公式情報を確認することをお勧めします。歴史、自然、夜景と三拍子そろった五稜郭タワーは、函館観光の中心として、一度訪れたらまた来たくなる場所です。
アクセス
函館市電五稜郭公園前電停から徒歩15分
営業時間
9:00〜18:00(季節により変動)
予算内訳
大人
¥1,000
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