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函館サイクリングガイド——大沼湖畔14kmと海岸線を自転車で巡る
観光・体験
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函館サイクリングガイド——大沼湖畔14kmと海岸線を自転車で巡る

函館の自転車旅は「湖」と「海岸線」が主役

函館は坂の街として知られます。元町の教会群へ続く石畳の坂は歩いてこそ美しいものの、自転車にとっては容赦のない上りです。そこで函館をサイクリングで楽しむなら、発想を切り替えるのが正解。市街中心部の坂をこなすよりも、ほぼ平坦な湖畔を一周する大沼、そして海風を受けて走る海岸線こそが、函館近郊の自転車旅の本当の見どころです。駒ヶ岳を映す湖を巡るロングライドから、津軽海峡を望む海沿いの一本道まで、ペダルでしか出会えない景色がそろっています。坂の街での電動アシストの使いどころも含めて、起伏とレンタサイクルの実際を正直にお伝えします。

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駒ヶ岳を映す湖を一周——大沼湖畔サイクリングロード(約14km)

函館の自転車旅で外せないのが、大沼国定公園の湖畔サイクリングです。ひとつ注意したいのは所在で、大沼は函館市内ではなく隣の七飯町(ななえちょう)にあります。JR函館本線で函館駅から大沼公園駅まで、特急を使えば30分ほど。輪行か現地のレンタサイクルで向かうのが一般的です。

この湖畔周遊道路が素晴らしいのは、一周約14kmがほぼ平坦なこと。普段あまり自転車に乗らない方でも、のんびり走って2時間ほど、軽快に流せば70分前後で一周できる、サイクリング入門にうってつけのコースです。湖に沿って道がうねり、木立を抜けて視界が開けるたびに、対岸にそびえる秀峰・駒ヶ岳が姿を変えて現れます。湖面に山影が映り込む無風の朝は、息をのむ美しさです。

コース沿いには休憩や撮影に向いたスポットが点在します。大沼と小沼(こぬま)を分ける月見橋、両湖が細くつながる白鳥台セバット、湖畔に張り出した木道や東屋、そして「北緯42度の標」。木道を抜けて湖畔に出た瞬間に駒ヶ岳がぱっと開ける場面は、このコースのハイライトです。大沼の隣には小沼や蓴菜沼(じゅんさいぬま)もあり、時間に余裕があれば足を延ばせます。なお、日暮山(ひぐらしやま)展望台へ向かう道は砂利の上り坂なので、湖畔の平坦路とは別物と考えておきましょう。

レンタサイクルは大沼公園駅周辺の事業者で借りられ、料金は1時間500円・1日1,000円程度が目安(各社で要確認)。営業は春から秋に限られます。

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海風を受けて走る——大森浜と湯の川の海岸線

湖と並ぶもう一つの主役が、津軽海峡を望む海岸線です。函館市街の東側、湯の川温泉から大森浜にかけては、海を間近に感じながら走れる気持ちのよいエリア。大森浜は歌人・石川啄木がこよなく愛し、その歌碑が立つ砂浜で、波音と潮の香りのなかをゆっくりペダルを踏めます。晴れた日には海の向こうに青森・下北半島の影が浮かぶこともあります。

この一帯には、緑園通りという自転車・歩行者専用の道があります。深堀町から湯川町をつなぐ通称「サイクリングロード」で、車を気にせず走れる区間として地元でも親しまれ、ベンチや水飲み場の休憩スポットも備わっています。ただし、空港から大森浜にかけての海沿いがすべて専用道で連続しているわけではなく、多くは一般道を走ることになります。専用道とそうでない区間が混在する点は頭に入れておきましょう。

海岸線をさらに南へたどると、函館山の南端に突き出した立待岬(たちまちみさき)に至ります。津軽海峡に面した断崖の絶景地ですが、ここへ向かう道は終盤に上り坂が続き、途中には急勾配もあります。海沿いの平坦路の延長というより「最後にひと登り」する場所なので、脚力と相談して計画してください。

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坂の街は電動アシストが正解——元町・ベイエリアと五稜郭

函館観光の定番である元町の教会群やベイエリア自転車で巡りたい方も多いでしょう。正直にお伝えすると、元町の西部地区は坂が多く、急勾配も少なくありません。普通の自転車で1日かけて回るにはそれなりの体力が要ります。坂の街並みそのものを味わうなら、むしろ徒歩のほうが向いている区間です。

それでも自転車で坂を攻略したいなら、電動アシスト付きの一台を強くおすすめします。函館駅前では電動アシストのレンタサイクルが借りられ、坂の負担が大きく軽くなります。料金は1日2,000〜2,500円程度が目安(短時間プランあり・各社で要確認)。一方、金森赤レンガ倉庫を中心としたベイエリアや、五稜郭公園の周辺は比較的平坦なので、こちらは普通の自転車でも快適に流せます。「坂は電動・平地はママチャリ」と割り切ると、無理なく市街を楽しめます。

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さらに遠くへ——恵山・汐首岬とどうなん海道サイクルルート

ロングライド志向の方には、市街を離れた海岸線ツーリングが待っています。函館の東、津軽海峡沿いには汐首岬(しおくびみさき)が突き出し、その先には活火山の恵山(えさん)がそびえます。チャリ旅みなみ北海道が提案する「恵山・縄文文化コース」は函館空港を発着し、海岸線を走りながら、世界遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」に含まれる大船遺跡・垣ノ島遺跡を巡って、山道を経て市街へ戻る組み立てです。途中には牛乳やアイスの直売所もあり、補給に重宝します。

これらは道南一帯を結ぶ大きなネットワーク、どうなん海道サイクルルートの一部です。津軽海峡・日本海・太平洋という3つの海を「8の字」で結び、奥尻島まで加えた全長約459kmにおよぶ、北海道最長級のサイクルルートとして認定されています。函館を起点に少しずつ区間を走り継いでいくのも、自転車旅ならではの楽しみ方。ただし恵山方面は距離が長く、起伏もあるため上級者向けです。恵山は活火山でアクセスや火山情報に注意が必要なので、出発前に最新の状況を確認してください。

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レンタサイクルと季節の注意

函館・大沼のレンタサイクルは、おおむね春から秋(4月〜11月ごろ)の営業です。冬季(12月〜3月)は積雪と路面凍結のため、サイクリングは実質的にできません。雪解け後の初夏から秋にかけてが、自転車旅のベストシーズンです。

料金や営業期間・受付時間は事業者ごとに異なり、シーズンによっても変わります。本記事の金額はあくまで目安なので、訪れる前に各事業者の最新情報を必ず確認しましょう。大沼の平坦な湖畔一周、海風の海岸線、そして道南をつなぐロングルート——函館の自転車旅は、坂の街という先入観の向こうに、驚くほど豊かな「走る楽しみ」が広がっています。

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Written by

田中 花

和菓子研究家

日本刀×日本文化体験

観光スポットと刀剣文化をつなぐ多言語展開。