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高知を自転車で——四万十川・仁淀川の沈下橋と太平洋海岸をめぐるサイクリングガイド
観光・体験
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高知を自転車で——四万十川・仁淀川の沈下橋と太平洋海岸をめぐるサイクリングガイド

清流と沈下橋を自転車で——高知が走って気持ちいい理由

高知のサイクリングは、城下町を歩く旅とはまったく別の表情を見せてくれます。主役は、四国山地から太平洋へと流れ下る清流と、その水面すれすれに架かる「沈下橋」、そして黒潮の海岸線です。

四国山地に季節風をさえぎられ、沖を黒潮が流れる高知は、年間平均気温およそ17.7℃と冬でも比較的暖かく、高知地方気象台によれば全国でも屈指の日照に恵まれた土地です。ペダルを踏めば一年を通して走れる一方、降るときは一気に降るスコールのような雨も多いのが土佐の空。日差し対策と雨具を一緒に積んでおくのが、高知を走る人の心得です。川沿いには勾配の少ない道が続き、自転車を借りてのんびり流すだけでも、清流の色と沈下橋の景色を存分に味わえます。

四万十川——最後の清流を沈下橋づたいに

「最後の清流」と呼ばれる四万十川は、四万十市から四万十町にかけてゆったりと蛇行し、流域には欄干のない沈下橋がいくつも残ります。起点になるのは、中村駅に隣接する四万十市観光協会。ここから下流の田園風景をたどる半日コースでは、赤鉄橋や入田のヤナギ林、桜づつみ公園を経て、中村市街から最も近い沈下橋として知られる佐田沈下橋まで足を延ばせます。ポスターやテレビCMにも度々登場する、四万十でも一、二を争うフォトジェニックな一本です。

もう一歩奥へ入るなら、中流の江川崎を起点に、長生(ながおい)・中半家(なかはげ)・半家(はげ)の三つの沈下橋をめぐる往復約20km・約2時間のコースが定番です。なかでも中半家沈下橋は車が通れず、人と自転車だけが渡れる細い橋で、自転車旅ならではの一枚が撮れます。レンタサイクル「四万十りんりんサイクル」は中村駅から江川崎までの約40kmの間に複数のサイクルターミナルが点在し、好きな駅で借りて別の駅で返せる乗り捨てに対応しているのも、片道のロング走を組みやすい理由です。

仁淀ブルーをたどる——名越屋・浅尾・片岡の沈下橋

「仁淀ブルー」と称される澄んだ水で知られる仁淀川は、いの町・日高村・越知町の流域がサイクリングの舞台です。高知市街から近いいの町側の象徴が、名越屋(なごや)沈下橋。いの町勝賀瀬と日高村名越屋を結ぶ全長191mの橋で、仁淀川本流に架かる沈下橋のうち最も下流にあり、しかも最も長い一本です。今も生活道として使われていて、川面に近い目線でゆっくり渡ると、青く透ける水の色がよくわかります。

さらに上流、越知町の観光物産館「おち駅」を起点・終点にすると、浅尾(あそお)沈下橋と片岡沈下橋をめぐる一周約28kmのコースが楽しめます。コースのほぼ全域で水質日本一とされる仁淀川がすぐ近くを流れ、川の色を追いかけるように走れるのが魅力です。いの町や日高村では、もっと短い10km前後の川沿いコースも設定されているので、脚力や時間に合わせて選べます。

太平洋へ——高知市街から桂浜・浦戸湾の海岸ロング

清流だけでなく、太平洋の海岸線も高知サイクリングの醍醐味です。高知市街から弓状の砂浜で名高い桂浜までは約11km、寄り道をしなければ片道おおよそ1時間ほど。鏡川沿いの道から海へ向かうと、潮の匂いと水平線が一気に開けます。

浦戸湾をぐるりと回るなら、市街地を起点に鏡川沿いから種崎方面を結ぶ約30kmのルートが知られ、距離を抑えたいときは約15kmの短縮コースもあります。湾の東側の種崎へは県営渡船で自転車ごと渡る区間があり、ちょっとした船旅まで一度に味わえるのが浦戸湾ならでは。湾口に架かる浦戸大橋は登りが続く難所なので、ここだけは脚を残して臨むと安心です。海沿いはアップダウンが少なめで、海風を受けながら走る爽快感は初心者にもおすすめできます。

物部川の田園と、温暖な気候の走り方

派手さは少ないものの、高知市の東を流れる物部川の北岸には、起伏の少ない田園の道が続きます。田んぼや畑の間を野鳥の声を聞きながら流す、のんびりしたポタリングにぴったりのエリアです。清流の絶景を求めて四万十・仁淀へ遠征する前後の、足慣らしにも向きます。

走るうえで覚えておきたいのが沈下橋のマナーです。欄干がなく、増水時には文字どおり水に沈む構造で、地元の人が今も使う生活道でもあります。対向の車や歩行者がいれば無理に進まず譲り合い、水量が多い日や橋面が濡れている日は渡橋を見送る判断も大切です。温暖な高知は通年で走れますが、夏場の強い日差しと突然のスコールには要注意。こまめな水分補給と、日焼け・雨対策を忘れずに。

レンタサイクルと装備——走り出す前に

手ぶらで訪れても、レンタサイクルが各地にそろっています。料金の目安は、いの町など自治体が関わるものでおおむね1日数百円から、電動アシストやe-bikeになると数千円程度。四万十りんりんサイクルのような乗り捨て対応の仕組みもあり、片道のロング走や列車との組み合わせがしやすくなっています。料金やコース、返却ルールは時期で変わるので、出発前に各地の観光協会で最新情報を確認しておくと安心です。

電動アシストやe-bikeを選べば、川沿いの数十kmロングや上流域までぐっと射程が広がります。休憩には川沿いの売店でご当地のアイスをほおばったり、商店街で土佐の名物をつまんだりと、土地の味を挟みながら走るのも楽しみのひとつ。距離はあくまで目安なので、自分の脚と相談して短く区切ってもかまいません。清流の沈下橋から太平洋の海岸線まで、高知ならではの「水辺を走る一日」を、ぜひ思い思いに描いてみてください。

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Written by

伊藤 健一

歴史ライター

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