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高知の日曜市

高知の日曜市

※写真はイメージです。

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高知城の城下町に、毎週日曜日だけ現れる特別な通りがある。追手筋に約400もの露店が軒を連ねる「高知の日曜市」は、元禄の世から三百年以上もの間、休むことなく人々の暮らしを支えてきた生きた文化遺産だ。地元の農家が丹精込めた野菜、海の恵み、手作りの郷土料理——この市が開かれる日だけ、高知の街は特別な活気をまとう。

三百年を超える歴史と城下町の伝統

高知の日曜市の歴史は、元禄3年(1690年)にまでさかのぼる。江戸時代、土佐藩の城下町として栄えた高知では、藩主・山内家のもとで商業活動が奨励され、追手筋での定期市が公認された。当初は月に数回の開催だったが、やがて毎週日曜日に定着し、農村部と城下町をつなぐ重要な交易の場として発展していった。

明治・大正・昭和と時代が変わっても、戦時中の一時期を除いて途絶えることなく続けられてきた。近代化の波が押し寄せ、全国各地の伝統的な市場が次々と姿を消していくなかでも、高知の日曜市は地域住民の強い支持を受けて命脈を保ち続けた。現在も地元の農家や生産者が中心となって運営されており、商業的なイベントとは一線を画す、本物の「生活の市」としての性格を色濃く残している。

高知城の大手門前から東西に延びる追手筋は、もともと城郭の正面玄関として整備された格調ある通りだ。その歴史的な景観の中で、毎週日曜日だけ突如として現れる賑やかな市の光景は、城下町の伝統と現代の暮らしが交差する、高知ならではの風景といえるだろう。

約1.3kmに広がる400軒の露店

市が開かれる追手筋は、高知城追手門前から東の帯屋町交差点付近まで、約1.3kmにわたって連なる。この区間に約400もの露店が並ぶ光景は壮観で、日本最大級の路上市場として知られている。

店の種類は実に多彩だ。朝採れの野菜や果物を売る農家の直売コーナーが最も多く、なすやきゅうり、四方竹(しほうちく)、生姜、ゆずといった土佐の特産農産物が豊富に揃う。高知は野菜の生産が盛んな地域で、特に葉物野菜や根菜類のバリエーションは目を見張るほどだ。

食べ物の屋台も充実している。土佐の郷土料理として知られる「田舎寿司」は、山の幸を使ったユニークな押し寿司で、こんにゃくやみょうが、わらびなどが酢飯の上に乗った素朴な味わいが特徴だ。揚げたてほくほくの「芋天」は、さつまいもをシンプルに天ぷらにしたもので、甘くてほっくりとした食感が市の名物として長く愛されている。また、高知の豊かな海の幸を生かした干物や鮮魚の加工品、かつお節なども人気が高い。

農産物や食品だけでなく、植木や花の苗、骨董品、日用雑貨、手工芸品を扱う店も点在しており、歩いているだけでさまざまな発見がある。地元のお年寄りが丹精して育てた山野草の鉢植えや、昔ながらの農具といった、ほかでは見つけにくいものに出会えるのも日曜市ならではの楽しみだ。

土佐の食文化を食べ歩きで体験する

高知の日曜市の醍醐味は、なんといっても食べ歩きだ。市の名物グルメを試しながら1.3kmをゆっくり歩けば、土佐の食文化を丸ごと体験することができる。

まず外せないのは「芋天」だ。揚げたてをその場でかぶりつく素朴な美味しさは、何十年経っても変わらない市の定番。甘みが強く、外はカリッと中はしっとりとしたさつまいもの天ぷらは、高知を訪れた観光客が必ずといっていいほど手を伸ばす一品だ。

「田舎寿司」は、高知の山間部で生まれた郷土料理で、海産物が手に入りにくかった山の集落で、豊富な山の幸をネタにして作られたことが起源とされる。こんにゃく、みょうが、たけのこ、しいたけなど、季節の山の幸が乗った一口サイズの押し寿司は、見た目も愛らしく、素朴でやさしい味わいがある。市では作りたてを袋に入れて販売している店が多く、朝早くに売り切れてしまうこともある。

ほかにも、かつお節の試食販売や、高知名産のゆず加工品(ゆずポン酢、ゆずジャムなど)の試食、手作りの漬物など、歩くたびに試食や声掛けに出会う。売り手と買い手の距離が近い市ならではの、温かいやりとりを楽しめるのも大きな魅力だ。

季節ごとの表情と旬の味わい

年間を通じて開催される日曜市だが、季節によって並ぶ商品は大きく変わり、それぞれの季節に応じた楽しみがある。

春(3〜5月)は、山菜の季節だ。わらびやぜんまい、タラの芽といった春の山菜が店頭に並び始め、野菜の種苗コーナーには夏野菜の苗が勢揃いする。高知城の桜との競演も美しく、観光客の姿が一段と増える賑やかな時期だ。

夏(6〜8月)は、高知ならではの「四方竹」が出回り始める。四方竹は高知でしか本格的に生産されていない珍しい竹の子で、秋に収穫されるが夏場には加工品が並ぶ。また、土佐生姜や夏野菜も豊富で、市場全体が色鮮やかな活気に満ちる。

秋(9〜11月)は日曜市のハイシーズンともいえる時期で、生の四方竹が並ぶのはこの季節だけ。独特のシャキシャキとした食感と風味は、茹でてそのまま食べても、土佐の定番「ぬたあえ」にしても美味しい。栗やさつまいも、柿など秋の味覚も豊富に揃う。

冬(12〜2月)は、寒さの中でも市は続く。ゆずやぽんかんなど高知が誇る柑橘類の季節で、フレッシュなゆずや柑橘類を破格の値段で購入できることも多い。鍋野菜の直売も増え、地元の家庭の食卓を支える市の本来の姿が見える季節だ。

アクセスと楽しみ方のヒント

高知の日曜市は毎週日曜日、午前5時〜6時ごろから開始し、日没ごろまで開催される(雨天・元日は休み)。早い時間帯ほど商品が豊富で活気があり、地元の人々が買い物を楽しんでいる様子を見られる。人気の田舎寿司や旬の農産物は午前中に売り切れることが多いため、できれば午前中の訪問をおすすめする。

会場へのアクセスは、JR高知駅から徒歩約15分。または高知駅前からとさでん交通の路面電車(土電)に乗り、「高知城前」電停で下車すると市の中心部にほど近い。自転車での来場も多く、追手筋には駐輪スペースが設けられている。

市の中心部に位置する高知城は、現存12天守のひとつとして国の重要文化財に指定されており、日曜市とあわせて観光するのが定番のコースだ。市から徒歩圏内にはひろめ市場もあり、かつおのたたきをはじめとした土佐料理を気軽に楽しめる。はりまや橋や高知県立牧野植物園への移動も便利で、日曜市を起点に高知市内の観光スポットを効率よく巡ることができる。

地元の日常に触れる、本物の旅の体験

高知の日曜市は、観光のために演出された見せ物ではない。三百年以上にわたって途絶えることなく続いてきた、地域の人々の日常生活に根ざした本物の市場だ。売り手のほとんどは地元の農家や生産者であり、観光客向けに特別な価格設定はされていない。地元のおじいちゃん、おばあちゃんたちが自ら育てた野菜や手作りの料理を並べ、近所の顔なじみと世間話をしながら商う——その光景こそが、高知の日曜市の本質的な魅力だ。

旅先で「本物の地元の暮らし」に触れたいと思うなら、高知の日曜市は最良の場所のひとつだろう。目的もなくぶらぶらと歩きながら、気になる店主に声をかけ、試食をいただき、重いと思いながらもついつい買いすぎてしまう——そんなゆっくりとした時間の流れが、高知の日曜市には息づいている。

アクセス

JR高知駅から路面電車で約5分、はりまや橋電停下車徒歩5分

営業時間

毎週日曜 5:00〜18:00頃

料金目安

500円〜

編集部最終確認: 2026-04-25 (AI抽出)

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