観光・体験
高松で丸亀うちわを体験|職人に学ぶ伝統工芸の世界
高松には、高松藩の城下町として栄えた深い歴史の中で磨かれてきた伝統工芸が今も息づいています。讃岐うどん文化が江戸時代にまで遡るように、この地の工芸も長い年月をかけて育まれてきました。丸亀うちわをはじめとする香川県の工芸品は、職人の手仕事から生まれる温もりと繊細さが魅力です。近年は観光客向けの体験プログラムが充実し、初心者でも気軽に挑戦できる工房が増えています。丸亀町商店街や片原町周辺には複数の体験スポットが集まっており、半日で複数の工芸を巡ることも可能です。瀬戸内海の島々と讃岐平野の恵まれた自然環境が、素材の質にも大きく影響しています。
丸亀うちわとは――1200年の歴史を持つ讃岐の技
丸亀うちわは、国内生産量の約9割を占める日本最大の団扇産地・丸亀市で生まれた工芸品です。その起源は奈良時代にまで遡ると言われ、江戸時代中期には金毘羅参りの土産物として全国に広まりました。讃岐特有の温暖な気候と竹の豊富な産地という地の利が、職人技術の発展を後押ししてきました。
丸亀うちわの最大の特徴は「丸柄(まるえ)」と呼ばれる丸い持ち手にあります。竹を切り出して骨を割き、弓のように曲げて和紙を貼り、縁を糸で縫い付ける――その工程は約30にも及び、すべて手作業で行われます。機械では再現できない職人の感覚と経験が、軽くて丈夫な一品に凝縮されています。高松市内からJR予讃線で約30分の丸亀市には専門の資料館もあり、うちわの歴史を学んでから体験工房に臨む旅程も人気です。
体験工房で本格的な制作に挑戦
高松・丸亀エリアの体験工房では、職人が使う本物の道具を手に、約2時間かけてオリジナルのうちわを制作できます。体験料は3,500円〜6,000円が相場で、材料費込みのプランがほとんどです。完成した作品は当日持ち帰れるものと、乾燥工程を経て2〜4週間後に郵送されるものがあります。
工房によって体験できる工程は異なります。和紙の柄選びから骨組みへの貼り付け、縁の仕上げまで一連の流れを体験できる「フルコース」が充実している工房では、職人の解説を聞きながら制作の深みを実感できます。一方、柄と紙を選んで貼るだけの「入門コース」なら1時間程度で気軽に参加可能です。予約はWebサイトまたは電話で受け付けており、人気の週末枠は2週間前までの予約がおすすめ。平日であれば当日空きがある工房も少なくありません。
夏の夕涼みに使うだけでなく、自分で絵付けした一点もののうちわはインテリアとしても映えます。子ども向けに図案テンプレートを用意する工房もあるため、家族連れでも安心して参加できます。
讃岐漆器と庵治石細工――香川を代表するもう2つの工芸
高松の工芸体験は丸亀うちわだけにとどまりません。讃岐漆器は香川県のもうひとつの代表的な工芸品で、栗林公園周辺の工房では製作工程の見学が可能です。熟練の職人が一つひとつ手作業で仕上げる様子は圧巻で、写真撮影を許可している工房も多くあります。見学だけなら無料の施設もありますが、ガイド付きの詳細ツアーは1人1,500円〜2,500円が目安。所要時間は約45分〜1時間で、漆の塗り重ねによる深みのある光沢が生まれる工程を間近で見られます。
より短時間で気軽に工芸を楽しみたい方には、庵治石細工の入門ワークショップがおすすめです。「花崗岩のダイヤモンド」とも呼ばれる庵治石は、独特の光沢と二重霞と呼ばれる幻想的な模様が世界的に高く評価されています。栗林公園周辺の体験施設では30分〜1時間の入門コースを2,000円〜3,500円で提供しており、小学生以上から参加可能です。完成品はその場で持ち帰れるため、旅のお土産としても喜ばれます。
工房を巡るクラフトツーリズム
高松周辺は工芸品の産地が集中しており、複数の工房を巡るクラフトツーリズムが近年注目を集めています。丸亀町商店街から片原町にかけてのエリアでは、徒歩やレンタサイクルで効率よく工房を回ることができます。地元の観光協会が発行する「工房マップ」を手に入れれば、通常は非公開の工房を訪問できる特別パスポート(1,000円)も利用可能です。
栗林公園や金刀比羅宮の観光と組み合わせれば、高松の文化をより深く理解できる一日になります。こんぴら温泉と組み合わせた「工芸&温泉」プランを提供する旅行会社もあり、体験後にゆったり疲れを癒すことができます。高松まつりの時期に訪れれば、限定体験プログラムが開催されていることもあるので、事前に公式サイトをチェックしておくと見逃しがありません。
参加前に知っておきたい実践アドバイス
伝統工芸体験に参加する際は、汚れてもよい服装がおすすめです。漆器や染め物工房ではエプロンの貸し出しがあっても袖口が汚れることがあります。夏場は工房内が暑くなることもあるため、タオルと飲み物を持参すると快適です。
アクセスは、高松空港から市内まで車で約30分、岡山から快速マリンライナーで約55分。丸亀市内の体験工房は高松から電車で約30分とアクセスも良く、日帰りでも十分なコースが組めます。複数の工房を巡る場合は、午前中に丸亀うちわの体験、午後に讃岐漆器の見学というスケジュールが効率的です。
世界中に流通する大量生産品にはない「作り手の息遣い」が感じられる伝統工芸体験は、旅の思い出を格段に豊かにしてくれます。高松を訪れた際には、ぜひ一度、職人の世界に足を踏み入れてみてください。
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