観光・体験
函館の城と歴史探訪|城下町散策と武将ゆかりの地
函館は幕末から明治にかけて日本の近代化の最前線に立った港町です。1854年の日米和親条約締結により下田とともに開港し、翌年には函館奉行所が設置されました。その後1868年の戊辰戦争では榎本武揚率いる旧幕府軍が最後の抵抗を試みた地として知られ、五稜郭はその舞台となった要塞です。西洋文化が早期に流入したことで和洋折衷の独特な文化が形成され、現在も元町の洋館群や坂道、ベイエリアの赤レンガ倉庫がその面影を色濃く残しています。北海道の中でも温暖な気候に恵まれた函館は、夏の平均気温22度前後という過ごしやすい環境のなか、四季折々の歴史散策を楽しめる魅力的な街です。
五稜郭—幕末の舞台となった日本唯一の星形要塞
函館の歴史を語るうえで欠かせないのが、五稜郭です。1864年に完成した日本初の西洋式城郭で、フランスの軍事建築術を取り入れた星形の設計が特徴です。上空から見ると五角形の星型をしており、その独特な形状は函館を代表するシンボルとなっています。
1868〜1869年の箱館戦争では、明治新政府軍に敗れた榎本武揚らが最後の拠点として立て籠もり、日本最後の内戦の舞台となりました。城郭内には当時の函館奉行所が復元されており、外観・内部ともに幕末の姿を忠実に再現しています。奉行所の内部では江戸幕府の行政機能を担った役所の仕組みや、戊辰戦争に関する詳細な資料が展示されており、歴史好きには見応え十分な内容です。入場料は大人500円、所要時間は奉行所だけで約60〜90分が目安です。
五稜郭タワー(高さ107m)に上ると、星形城郭を真上から一望できます。展望台からは函館山や津軽海峡まで視界が開け、晴れた日には遠く青森の山並みも望めます。タワー内には幕末の歴史を体系的に学べる展示スペースも充実しており、ジオラマや映像を通じて当時の攻防を臨場感あふれる形で体感できます。
元町エリア—坂道と洋館が織りなす異国情緒
函館山のふもとに広がる元町エリアは、日本のなかでも特異な都市景観を誇ります。明治期に建てられた教会群、領事館、西洋館が坂道に沿って点在し、歩くだけで明治の空気感が漂ってきます。
旧函館区公会堂は1910年築の洋風建築で、青と黄のコントラストが鮮やかな外観が特徴です。函館東正教会(ハリストス正教会)は1916年に再建されたビザンチン様式の聖堂で、「ガンガン寺」と親しまれ、毎正時に鐘の音が坂道に響きわたります。旧イギリス領事館なども周辺に点在し、ひとつのエリアで明治の洋風建築をまとめて巡れるのが便利です。
元町の急勾配の坂—八幡坂、二十間坂、基坂など—は港町函館の象徴的な景観で、坂の上から青い海を望む構図は映画やドラマのロケ地としても頻繁に使われています。夜はガス灯風の街灯が点灯し、昼間とはまた異なるロマンティックな雰囲気が漂います。
函館奉行所と武家文化の名残
五稜郭内に復元された函館奉行所は、幕府直轄地として蝦夷地を統治した行政機関の建物です。2010年に部分復元が完了し、白漆喰の外壁と黒瓦の屋根が凛とした武家建築の美を伝えています。内部は大広間、御役所、御書院、台所などが往時の姿で整備されており、奉行の執務風景を人形で再現したコーナーも設けられています。
武家文化という観点では、函館周辺には松前藩の影響も色濃く残っています。松前(旧松前城下町)は函館から車で約2時間の距離にあり、北海道唯一の日本式城郭・松前城が現存します。1854年に完成した天守を持つ近世城郭で、城下町の通りには武家屋敷の門構えや石垣が残り、歴史的な雰囲気を十分に堪能できます。函館と松前を合わせて巡れば、幕末から藩政時代まで北海道の歴史を立体的に理解できます。
四季で変わる歴史スポットの表情
函館の歴史スポットは四季を通じて異なる魅力を見せます。春(4月下旬〜5月上旬)の五稜郭は約1600本のソメイヨシノが堀の水面に映えて花霞をつくり、全国有数の花見の名所として賑わいます。桜まつりでは夜間のライトアップも行われ、石垣と桜と灯りが織りなす幻想的な光景は一見の価値があります。
夏は新緑の緑が石垣に映え、朝夕の涼しい時間帯の散策が快適です。元町の坂道では夏の光と影のコントラストが美しく、写真撮影に訪れる人も多く見られます。秋は紅葉が城郭と調和し、金森赤レンガ倉庫周辺のイチョウ並木が黄金色に輝きます。冬の五稜郭は雪に包まれ静寂の中に厳かな美しさがあり、氷点下の空気のなかで眺める堀の氷景色は格別です。
実用情報とモデルコース
函館観光の起点となるのは函館駅または五稜郭公園前電停です。市電(路面電車)が主要な観光スポットを結んでおり、1日乗車券(大人600円)を購入すれば元町・五稜郭・ベイエリアをまとめて巡れます。
おすすめの1日モデルコースは以下のとおりです。午前中に五稜郭タワーと函館奉行所を見学(約2時間)、ランチはベイエリアの海鮮丼かイカ刺し定食で腹ごしらえ、午後は元町エリアの坂道と洋館群を散策(約2〜3時間)し、夕暮れ時に函館山ロープウェイで山頂へ上り、「世界三大夜景」のひとつに数えられる夜景を鑑賞するプランが王道です。全体の所要時間は約6〜7時間。歩きやすいスニーカーと季節に応じた防寒具が必須です。
函館空港から市内中心部まで車・タクシーで約20分、空港連絡バスも運行しています。北海道新幹線を利用する場合は新函館北斗駅からJR函館本線に乗り換えて約20分です。歴史散策の事前準備として、函館市が提供するデジタルマップや音声ガイドアプリを活用するとより充実した旅になります。お土産には函館ガラスや五稜郭をモチーフにしたグッズが人気で、元町エリアの専門店や五稜郭タワーのショップで購入できます。
RELATED SPOTS
北海道の観光・体験スポット
小樽運河
函館山夜景
旭山動物園
富良野ラベンダー畑
五稜郭タワー
札幌時計台
ニセコスキーリゾート
知床クルーズ
この記事のエリアで観光・体験を探す
RELATED COLUMNS
関連するコラム
Related Columns
日本刀×日本文化体験
観光スポットと刀剣文化をつなぐ多言語展開。

