観光・体験
函館の花の名所と見頃ガイド 五稜郭の桜から恵山のツツジ・市民の森のアジサイ・香雪園の紅葉まで
本州より遅い「道南の春」を知る
函館の花めぐりで最初に押さえておきたいのは、本州とは見頃の時期がまるで違うということです。津軽海峡を渡った道南は、東京や大阪の桜が散り終えるころにようやく開花を迎えます。函館の桜の開花はおおむね4月中旬から下旬で、満開・見頃はそこから一週間ほど後、つまり4月下旬から5月上旬のゴールデンウィーク前後が中心です。近年は開花がやや遅まる傾向もあり、函館市住宅都市施設公社の記録では五稜郭公園の開花が2023年は4月中旬、2025年は4月23日と、年によって一週間以上ずれます。旅程を組むときは、現地のライブカメラや開花情報で直前の状況を確認するのが確実です。
そして函館の花の季節は桜で終わりません。海沿いの火山・恵山を真っ赤に染めるツツジ、湯の川の高台に広がる道内最大級のアジサイ園、国の名勝庭園を彩る紅葉と、初夏から秋まで見どころが切れ目なく続きます。ここでは市内の実在する名所を、見頃の早い順にたどっていきます。
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桜 ― 五稜郭公園と函館公園(4月下旬〜5月上旬)
函館の桜といえば、まず五稜郭公園です。星形の城郭・五稜郭の堀沿いと郭内には、ソメイヨシノを中心に約1,500本(資料により約1,600本とも)の桜が植えられ、満開時には水堀の縁が淡いピンクの帯になります。地上から見上げる桜もよいのですが、ここでしか味わえないのが隣接する五稜郭タワーの展望台からの眺めです。星形の輪郭にそって桜がふちどる様子は、地上では決して見られない函館ならではの花見の構図です。見頃に合わせて夜桜のライトアップも行われ、堀の水面に映る灯りと桜が幻想的な雰囲気をつくります。
もう一つの老舗が函館公園です。1879年(明治12)に市民の力で開かれた歴史ある公園で、ソメイヨシノやエゾヤマザクラ、オオシマザクラなど約400本が斜面いっぱいに咲きます。高台の「明治の丘」からは桜越しに函館山と津軽海峡が見渡せ、園内には噴水や小さな動物施設もあるため、家族連れの花見に向いています。両公園とも見頃にはぼんぼりが灯り、露店が並ぶにぎやかな雰囲気になります。
五稜郭公園・函館公園ともに市電(函館市電)や路線バスでアクセスでき、五稜郭公園は市電「五稜郭公園前」電停から徒歩約15分、函館公園は「青柳町」電停からすぐです。
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ツツジ ― 恵山つつじ公園(5月下旬〜6月上旬)
桜が散ったあと、函館の花の主役は東のはずれへ移ります。市街地から車でおよそ1時間以上、亀田半島の先端にそびえる活火山・恵山(えさん)のふもとに広がるのが恵山つつじ公園です。ここは2004年に函館市と合併した旧・恵山町のエリアで、五稜郭周辺の中心部とはまったく違う、荒々しい火山景観のなかにあります。
恵山一帯にはエゾヤマツツジやサラサドウダンが大群生し、その数は数十万株ともいわれます。見頃の5月下旬から6月上旬には、山の斜面が燃えるような紅色に染まり、噴気を上げる火山の岩肌や津軽海峡の青とのコントラストが圧巻です。緩やかな登山道を登りながら花のトンネルをくぐる体験は、平地の公園の花見とはまったく別物。例年この時期に合わせて「恵山つつじまつり」も開かれます。中心部からは遠いものの、桜の余韻を初夏のツツジで延長できるのが函館の花暦のおもしろさです。
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アジサイ ― 市民の森(7月下旬〜8月上旬)
夏の函館を彩るのが、湯の川温泉の高台にある市民の森のアジサイ園です。トラピスチヌ修道院の真向かいに位置し、約1万3,000株という道内最大規模のアジサイが植えられています。ホンアジサイやガクアジサイはもちろん、アナベル、ヤマアジサイ、エゾアジサイ、カシワバアジサイなど20種ほどがそろい、品種ごとの花姿や色の違いを見比べられるのが魅力です。
見頃は7月下旬から8月上旬。本州のアジサイが梅雨どきの6月に咲くのに対し、梅雨のない北海道では真夏に見頃を迎えるのが函館らしい特徴です。広い芝生のなかを散策路がめぐり、青や紫、白のアジサイが斜面を埋める光景はゆったりと眺められます。見頃に合わせてアジサイをテーマにした催しも開かれます。すぐ向かいのトラピスチヌ修道院は赤レンガの聖堂と前庭が美しく、春のエゾヤマザクラ、初夏のアジサイと、花の季節に立ち寄れば修道院散策とあわせて楽しめます。
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紅葉 ― 香雪園・見晴公園(10月下旬〜11月上旬)
秋の函館で外せないのが、見晴公園内にある香雪園(こうせつえん)です。明治の豪商・岩船家の別荘として造られた回遊式庭園で、現在は「旧岩船氏庭園」として北海道で唯一の国指定名勝庭園(国の文化財)になっています。園内にはヤマモミジやイロハモミジ、イタヤカエデ、イチョウなど約150種の樹木が茂り、紅葉の名所として市民に親しまれています。
見頃は例年10月下旬から11月上旬。函館市住宅都市施設公社の記録でも見晴公園の紅葉は10月末から11月初めにピークを迎えており、本州の紅葉名所より早めです。この時期に合わせて夜間のライトアップ「はこだてMOMI-Gフェスタ」が開かれ、漆黒の庭に浮かび上がる真っ赤なモミジが幻想的な世界をつくります。歴史ある庭園そのものの造形美と紅葉が重なる、函館でしか味わえない秋の名所です。JR函館駅からはバスで30〜40分ほど。湯の川温泉に近く、紅葉狩りのあとに温泉で体を温める組み立てもおすすめです。
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函館の花めぐり実用メモ
函館の花の見頃は、本州の感覚より2〜4週間遅れると覚えておくと予定が立てやすくなります。桜は4月下旬〜5月上旬、恵山のツツジは5月下旬〜6月上旬、市民の森のアジサイは7月下旬〜8月上旬、香雪園の紅葉は10月下旬〜11月上旬が目安です。
ただし、いずれの時期もその年の気候で一週間前後ずれます。とくに桜は開花が年々遅まる傾向もあるため、五稜郭公園・函館公園に設置されたライブカメラや、函館市住宅都市施設公社の開花・紅葉情報で直前の状況を確かめてから動くのが確実です。各まつりやライトアップの日程は毎年変わるので、開催の有無と期間は公式情報で必ず確認してください。市内中心部の五稜郭・函館公園・市民の森・香雪園は市電とバスでまわれますが、恵山つつじ公園だけは中心部から離れているため、車またはバスでの移動時間をしっかり見込んでおきましょう。
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