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高松うどん巡りの作法ガイド|製麺所・セルフ・はしご文化を味わう
グルメ
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高松うどん巡りの作法ガイド|製麺所・セルフ・はしご文化を味わう

「うどん県」の県都・高松で、うどんを「食べ歩く」

香川県は一人あたりの年間うどん消費量が全国平均のおよそ4倍、うどん・そばへの支出額は都道府県別で全国トップという、文字どおりの「うどん県」です。その県都・高松市は、観光客向けの名店から、地元の会社員が昼に駆け込むセルフ店、麺工場の片隅で食べさせる製麺所まで、あらゆるタイプのうどん屋が市内に密集する讃岐うどんの中心地。ここでのうどんは「一杯食べて終わり」ではなく、店ごとの麺やだしを比べながら何軒も回る——いわば食べ歩きの対象です。本記事では、高松市内のうどん文化を主役に、店のタイプの見分け方、セルフの作法、価格の安さ、そして朝うどんやはしごの楽しみ方までを案内します。

まず知っておきたい「3つの店タイプ」

讃岐うどんの店は、大きく三つのタイプに分かれます。これを知っておくと、高松の街でどの暖簾をくぐればいいか迷いません。

一般店 — 注文すれば席まで運んでくれる、ふつうの飲食店スタイル。観光客にも入りやすく、高松市内では屋島山上のふもとの古民家を生かした店など、建物自体を楽しめる名店もあります。落ち着いて讃岐うどんを味わいたい人向きです。

セルフ店 — 入口でうどん玉を受け取り、自分でだしや薬味をかけ、トッピングを取り、最後に会計するスタイル。高松の街なかでもっとも数が多く、回転が速く価格も手頃。地元の人が日常的に通うのはこのタイプです。

製麺所 — 本来は麺を卸す製麺工場で、その一角で食べさせてくれる原初的なスタイル。器を借りて自分で麺を湯がく店もあり、もっとも安い部類に入ります。讃岐うどんの「セルフで食べる」文化は、こうした製麺所が飲食店化していった1970年代ごろに広がったとされ、高松市内にもその草分けと伝わる製麺所が今も営業を続けています。

セルフ店の作法——湯がいて、かけて、自分で運ぶ

初めての人が戸惑うのがセルフ店の流れです。高松のセルフ店は、おおむね次の順序で進みます。①入口で「かけ」「ぶっかけ」など玉数とメニューを告げて麺を受け取る、②店によっては自分で湯がき直す「湯がき場」がある、③だしを自分で注ぎ、ねぎ・しょうが・天かすなどの薬味を好みで乗せる、④天ぷらやおでんを取る、⑤レジで精算する——という具合です。

だしの注ぎ方や薬味の量に決まりはなく、そこが各自の腕の見せどころ。温かい「かけ」、だしを少なめにからめる「ぶっかけ」、釜から上げた麺に生卵を落とす「釜玉」など、頼み方も自由です。なお釜玉は綾川町の製麺所が発祥と伝わる食べ方ですが、今では高松市内のうどん店でも広く味わえる定番になっています。県庁裏手のセルフ店のように、平日の昼は近隣で働く人々で一斉に混み合う店もあるため、行列が苦手なら時間をずらすのがコツです。

一玉ワンコイン以下——「安さ」も高松の魅力

高松でうどんを食べ歩くと、その安さに驚きます。香川県内の調査では「かけうどん」一杯の平均はおよそ200円台前半。製麺所タイプではさらに安く、100円台、店によっては100円を切る価格も珍しくありません。一般に価格は製麺所→セルフ→一般店の順に上がっていく、と覚えておくと予算感がつかめます。

ここで挙げる金額はあくまで香川県・讃岐全体の相場・目安で、特定の店の値段ではありません。トッピングの天ぷらやおでんを足しても、一杯あたりワンコイン前後で収まることが多く、はしごをしても財布に優しいのがうどん巡りの醍醐味です。だからこそ、香川県民は年に200玉を超えるうどんを当たり前のように食べると言われるのでしょう。安いからと侮るなかれ、その一杯は専門店の手打ちと同じ土俵で勝負しているのが讃岐の凄みです。

朝うどんとはしごで巡る、高松流の一日

高松のうどん文化を象徴するのが「朝うどん」です。市内には早朝5時や6時から暖簾を上げる店があり、JR高松駅周辺には朝5時台から営業するセルフ店も。出勤前にさっと一杯、観光の前にまず一杯——というのが地元のリズムで、製麺所も麺の生産が早いぶん早朝から開く店が少なくありません。旅行者なら、ホテルの朝食を抜いてでも朝うどんに出かける価値があります。

そして高松ならではの楽しみが「はしご」。一杯が小ぶりで安いからこそ、午前中に2〜3軒を回り、店ごとの麺のコシやだしの違いを比べられます。徒歩圏で巡るなら中央商店街から県庁周辺、足を延ばすなら屋島のふもとの名店まで、エリアを決めて回ると効率的。市内には観光客向けにうどん店を案内する「うどんタクシー」もあり、車でしか行きにくい郊外の店まで案内してもらえます。気になる店をいくつか地図に印をつけ、自分だけのはしごコースを組み立てるのが、高松の一日の正しい始め方です。

うどんだけじゃない——高松で味わう讃岐のB級グルメ

うどんの合間に楽しみたい讃岐の名物もそろっています。まず骨付鳥(ほねつきどり)。塩・こしょう・にんにくで下味をつけた骨付きの鶏もも肉を香ばしく焼いた一品で、皮はパリッと中はジューシー、ビールが進む味わいです。発祥は隣の丸亀市と伝わりますが、その元祖とされる専門店は高松市内にも支店を構えており、高松でもしっかり味わえます。歯ごたえのある「おや(親鶏)」と柔らかい「ひな(若鶏)」を選べる店もあります。

もう一つ、居酒屋や定食屋でよく見かけるのがしょうゆ豆。炒ったそら豆を、しょうゆ・砂糖・唐辛子を効かせた調味液に熱いうちから漬け込んだ郷土の常備菜で、甘辛い味とほろりとした豆の食感が後を引きます。四国遍路のお接待が起源と伝わる、讃岐の食卓に欠かせない一品です。

さらに、正月に高松を訪れるならあんもち雑煮を。白味噌仕立てのだしに、大根や金時にんじん、そしてあんこ入りの丸餅を入れる、甘じょっぱさが同居する香川独特の雑煮です。江戸時代、貴重だった砂糖を正月くらいは——という庶民の願いから生まれたと伝わり、市内の甘味処では季節を問わず出す店もあります。うどんを軸にしつつ、こうした讃岐の味を織り交ぜれば、高松のB級グルメ巡りはぐっと奥行きを増します。

高松うどん巡りの実用メモ

讃岐うどんは麺の鮮度が命のため、人気店は昼過ぎに麺切れで早じまいすることがあります。回るなら午前中スタートが鉄則です。多くのセルフ店・製麺所は現金のみ、券売機もない店が多いので小銭の用意を。郊外の名店は車前提の立地が多く、レンタカーかうどんタクシーが便利ですが、中央商店街や県庁周辺、瓦町駅界隈なら徒歩でも数軒をはしごできます。一杯が小さいので「少なめ」のつもりで頼み、胃袋に余白を残して次の店へ——それが高松のうどんを一日でいちばん楽しむ歩き方です。

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Written by

小林 拓也

サイクリスト・旅人

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