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西之瀧龍水寺
※写真はイメージです。

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小豆島の東端に連なる大麻山の中腹、海抜500メートルの霊域に西之瀧龍水寺(にしのたき りゅうすいじ)はたたずむ。正式名称は「長勝寺 本坊 大麻山 慈眼院 西之瀧 瀧水寺」。小豆島霊場第42番札所として、古来より山岳崇拝と山伏修験の行場として厳かな崇敬を集めてきた地である。下界とは断絶された高地の静寂の中に、弘法大師の伝説と龍神の霊気が今も色濃く残る。

格式高い本堂と、33年に一度だけ姿を現す秘仏

本堂は入母屋造りに唐門風の屋根を前面に構えた格式ある建築様式で、山中にあって凛とした威厳を放つ。御本尊は十一面観世音菩薩で、弘法大師がこの山の石を用いて自ら彫ったと伝わる立像である。通常は秘仏として厳重に祀られており、33年に一度のみ開帳されるという極めて希少な仏像だ。その御真言は「おん まか きゃろにきゃ そわか」。信仰者にとって開帳の機会に立ち会うことは、生涯に一度あるかないかの特別な経験となる。

洞窟に宿る龍神と、弘法大師の伝説

本堂の奥へ続く洞窟が、この寺のもうひとつの核心である。洞窟内には龍神が祀られており、御真言「オン メイ ギャシャニエイソワカ」とともに参拝者を迎える。なぜ龍神がここに祀られるようになったのか——その答えは「西之瀧 龍の伝説」にある。

弘法大師がかつて小豆島の里を通りかかった折、村人から「夜になると畑が荒らされて困っている」と相談を受けた。大師が太麻山へ入り調べると、雌雄二匹の悪龍が夜ごと畑を荒らして人々を恐れさせていることが判明した。大師は山の石で瓶を作り経を唱えると、その石の瓶の中に悪龍を封じ込め、「八大龍王」という神位を授けた。そして「これからは人々を救う存在であれ」と諭したという。退治するのではなく、改心させて守護神へと転じさせた——この伝説に弘法大師信仰の本質が宿る。

龍が封じられた瓶の下から湧き出る「龍水」

洞窟の最奥部、龍が閉じ込められたとされる石の瓶のその真下から、弘法大師加持水「龍水」が今もなお枯れることなく湧き出し続けている。その伝説は香川県が「かがわの水」として公式に取り上げるほど地域に根付いており、単なる縁起話にとどまらず、霊水としての実在と記録を今に伝えている。清冽な水が絶えず湧く光景は、伝説の生きた証として参拝者の心に深く刻まれる。

院代が常駐する霊地、長勝寺の奥之院として

西之瀧は長勝寺(小豆島霊場第33番)の奥之院にあたり、住職は通常本坊に在する。現在の第二十三世住職・山岸隆信師は高野山真言宗で長年修行を積み、平成30年に就任した。一方、院代の小林龍應師は平成17年に酒造会社を退職し一念発起して得度・加行・灌頂と修行を重ね、平成21年の入寺以来一貫して西之瀧を守り続けている。その歩みが示すように、この霊地は制度的な寺院であると同時に、生身の修行者によって護られている場でもある。

山岳修験の霊域を訪れるための心構え

海抜500メートルの山道を経て到達するこの霊地は、気軽な観光スポットとは一線を画す。山岳崇拝と修験道の行場として積み重ねられた歴史が空気に溶け込み、洞窟内に足を踏み入れると俗世とは異なる感覚に包まれる。小豆島霊場88か所を巡る遍路道の一部として訪れる人も多く、弘法大師への信仰とともにこの山の霊験を全身で受け取る体験は、他では得難いものとなっている。

アクセス

香川県小豆郡小豆島町/土庄町

営業時間

24時間営業

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