観光・体験
高松発の絶景ローカル線|車窓から眺める香川県の原風景
鉄道旅の魅力は、車窓を流れる風景をゆったりと眺められるところにあります。高松を起点とするローカル線は、瀬戸内海の島々と讃岐平野を縫うように走る絶景路線として、鉄道ファンのみならず多くの旅行者に愛されています。日本一雨が少ない瀬戸内式気候のもと、春夏秋冬で表情を変える車窓風景は、どの季節に訪れても新鮮な発見をもたらしてくれます。都会の高速列車では味わえないスローな旅時間は、日常の喧騒から心を解き放つ特別なひとときです。
瀬戸大橋を渡って岡山から快速マリンライナーで約55分、あるいは高松空港から車で約30分。高松駅に降り立ったら、そこからさらにローカル線に乗り換える小さな冒険に出発しましょう。
高松を走る3つのローカル線
高松を拠点とする鉄道路線は大きく3系統に分かれます。まずJR予讃線は、高松から西へ向かい、瀬戸内海の海岸線を縫いながら多度津・観音寺方面へと延びる路線です。海が近い区間では、車窓いっぱいに広がる穏やかな内海と浮かぶ島影が絵のように美しく、ローカル線旅の代名詞的な風景を楽しめます。
次にJR高徳線は、高松から北東方面の讃岐平野を横断し、徳島へと向かう路線。沿線には田園地帯が広がり、のどかな農村風景の中をディーゼルカーがゆっくりと走ります。途中の板野・引田エリアでは讃岐と阿波の境界に広がる山並みが車窓に迫り、四国ならではの地形を実感できます。
そして忘れてならないのが、高松琴平電気鉄道(ことでん)の3路線です。琴平線・長尾線・志度線からなることでんは、地元住民の生活路線として100年以上の歴史を持つ私鉄。とりわけ志度線は高松の東部海岸沿いを走り、車窓から瀬戸内海の島々を間近に望める区間が随所に現れます。運賃も手頃で、気軽に乗り込めるのが魅力です。
車窓絶景ベストポイント
予讃線では、多度津を過ぎて詫間・みの方面に向かう区間が最大のハイライトです。列車が海岸ギリギリを走るこの区間では、穏やかな瀬戸内の海が車窓の真横に広がり、晴れた日には燧灘の向こうに愛媛の山並みも見渡せます。写真撮影には進行方向の右側座席が有利で、始発から乗車すれば好みの席を確保できます。
ことでん志度線の古高松南〜琴電屋島周辺では、屋島の台地が突如として車窓に現れる場面が印象的です。源平合戦の舞台として知られる屋島は、どこか神々しい存在感を放ちます。また、同線の終点・琴電志度は源義経ゆかりの志度寺への最寄り駅で、下車して境内を歩けば瀬戸内の歴史と文化に触れることができます。
途中の無人駅や小さな有人駅のホームも見逃せないフォトスポットです。地元の方が丹精込めた花壇に彩られたホームで列車を待つ光景は、どこか懐かしい昭和の情緒を漂わせます。車掌さんや駅員さんに話しかけてみると、地元ならではの撮影スポットを教えてくれることもあります。
途中下車で楽しむ沿線の素顔
ローカル線の旅をさらに充実させるなら、途中下車が鍵です。予讃線の鬼無駅で降りると、日本有数の盆栽の産地として知られる地区が広がっています。駅周辺の農家や盆栽園を訪ねると、職人が丹念に手入れする松や梅の盆栽を間近に見学できることもあります。
高徳線の讃岐津田駅周辺は、津田の松原と呼ばれる白砂青松の海岸が広がり、日本の渚百選にも選ばれた景勝地です。波打ち際を歩きながら対岸の小豆島を眺める時間は、観光地の喧騒とは無縁のひとときです。
沿線の小さな食堂や定食屋では、讃岐うどんはもちろん、あん餅雑煮や讃岐オリーブ牛を使った料理を地元価格で楽しめます。次の列車まで1〜2時間あることが多いので、その空き時間を使って地元の商店街をぶらり散歩すると、観光ガイドには載っていない香川県の素顔に出会えます。
季節ごとの車窓の表情
春は菜の花と桜が讃岐平野を彩る時期。JR高徳線の沿線では、田畑の畦道に咲く桜並木が車窓を額縁のように飾ります。夏は青い海と入道雲のコントラストが鮮やか。予讃線の海岸区間では、眩しいほどの光が車窓を満たします。
秋は稲穂が黄金色に揺れる田園風景が見どころで、ことでん琴平線の沿線では刈り取り前の田んぼが一面に広がる絶景を楽しめます。冬は空気が澄んで遠くまで見渡せる季節。快晴の日には、讃岐富士と呼ばれる飯野山の美しい稜線が、どの路線からも印象的に見えます。
また香川・四国エリアでは、季節限定の観光列車も運行されます。「四国まんなか千年ものがたり」は土讃線を走るグルメ列車で、地元食材を使った料理を車内で楽しめます。指定席は1か月前から発売で、人気のため早めの予約が必須です。
鉄道旅をもっと便利にする きっぷ情報
高松発のローカル線旅を計画する際には、お得なきっぷを賢く活用しましょう。「青春18きっぷ」の利用期間(春・夏・冬)なら、JR全線が1日2,410円で乗り放題となり、予讃線・高徳線をとことん乗り回すことができます。
JR四国では「バースデイきっぷ」や「四国フリーきっぷ」など、エリア内を自由に乗り降りできる企画乗車券を販売しています。3日間用で大人1万円前後のものもあり、宿泊を伴う周遊旅行に最適です。ことでんは1日フリーきっぷが大人900円と手頃で、3路線を乗り継いで香川の東西を巡れます。
実用面では、ローカル線はICカードが使えない区間も多いため、現金を手元に用意しておくのが安心です。本数の少ない路線では帰りの列車を事前に確認し、時刻表アプリ(ジョルダン・乗換案内など)をオフラインでも参照できるよう準備しておきましょう。小さなリュックにカメラと飲み物、地元のパン屋で買ったおやつを詰め込んで、スローな鉄道旅に出発してみてください。
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