観光・体験
高松のミュージアム散歩|香川県立ミュージアムと香川県のアート
香川の文化を知る入口──香川県立ミュージアムへ
高松市の中心部、栗林公園にほど近い場所に、香川県の歴史と文化を丸ごと体感できる施設がある。香川県立ミュージアムは、旧香川県立博物館と旧香川県文化会館を統合し2005年に開館した総合ミュージアムだ。常設展では旧石器時代から近現代に至る香川の歩みを、豊富な資料と映像展示で丁寧に紐解いている。
注目は「歴史展示室」と「美術展示室」の二本柱構成だ。歴史展示室では讃岐の古代遺跡出土品や金毘羅信仰にまつわる奉納品、江戸時代の高松藩の資料などが並ぶ。とりわけ讃岐国分寺跡から発掘された奈良時代の瓦や、金刀比羅宮ゆかりの絵馬コレクションは見応えがある。美術展示室では香川ゆかりの画家・彫刻家の作品を中心に、定期的にテーマを変えながら展示が行われる。
入館料は一般600円(特別展は別途)、観覧料は企画展の内容によって異なるが、年間を通じて多彩な特別展が組まれているため、リピーターにも飽きさせない構成になっている。アクセスは琴電片原町駅から徒歩約5分、JR高松駅からも徒歩15分圏内と、公共交通での訪問がしやすい立地だ。
高松市美術館──現代アートとの出会い
香川県立ミュージアムから歩いて10分ほどの距離に、高松市美術館がある。1988年の開館以来、国内外の現代美術を積極的に紹介してきた施設で、特に瀬戸内地域ゆかりの作家の作品収集に力を入れている。
常設コレクションの目玉は、1960〜70年代に世界的な評価を得た「高松次郎」の作品群だ。影や物の存在感をモチーフにした独自の表現世界は、一度見ると忘れられない印象を残す。また、草間彌生の水玉シリーズや宮島達男のデジタルカウンター作品など、日本を代表するアーティストの代表作も常設で鑑賞できる。
企画展は年に数回開催され、国際的なアーティストの日本初公開作品が高松の地で展示されることも珍しくない。入館料は一般200円と手頃で、特別展は別途設定される。ミュージアムショップでは国内外のアートブックやオリジナルグッズを販売しており、観覧後のショッピングも楽しみのひとつだ。
瀬戸内国際芸術祭が育てたアートの島
香川のアートシーンを語るうえで欠かせないのが、2010年から3年に一度開催される「瀬戸内国際芸術祭」だ。高松港を玄関口に、直島・豊島・女木島・男木島・小豆島など瀬戸内海の島々が会場となるこの芸術祭は、過疎化が進む離島を世界的なアートの舞台へと変貌させた。
直島は芸術祭の象徴的な島で、安藤忠雄が設計した地中美術館が特に有名だ。自然採光だけで展示室を照らす設計が話題を呼び、クロード・モネの「睡蓮」シリーズやジェームス・タレルの光の作品を体験するため、世界中からアートファンが訪れる。チケットは2,100円(要予約)で、特定の時間帯のみ入館できる仕組みのため、事前の計画が必須だ。
高松港からフェリーで約50分の直島行きは、そのままミュージアムホッピングの一日コースとして組みやすい。島内はレンタサイクルや路線バスで移動でき、ベネッセアートサイト直島が運営するBenesse House Museum・OVALM(各1,050円)や、地域の古民家を活用したアートハウスプロジェクト(銭湯「I♥湯」なども含む7施設セット券1,050円)と組み合わせると、一日では時間が足りなくなるほど見どころが充実している。
北浜エリアで感じる現代のアートカルチャー
高松市内でアートと日常が交差する場所として注目されているのが、港に面した北浜エリアだ。古い倉庫群をリノベーションした複合施設「北浜アリー」には、セレクトショップや雑貨店、カフェとともに小規模なギャラリーが点在している。
週末になるとアート展示やワークショップが開催されることが多く、地元クリエイターの作品を間近で見ながら作家本人と話せる機会もある。入場無料のギャラリーが中心のため、気軽に立ち寄れるのが魅力だ。運が良ければ香川を拠点に活動する若手陶芸家や染色作家の個展に出会うこともある。
ランチやカフェタイムをここで過ごすと、瀬戸内の海を眺めながらアートの余韻に浸ることができる。高松港のウォーターフロントと組み合わせた散歩コースとして、市内観光の締めくくりにもぴったりだ。
ミュージアム巡りの実践ガイド
高松のミュージアムを効率よく巡るなら、一泊二日の構成が理想的だ。初日は市内の香川県立ミュージアムと高松市美術館を午前から午後にかけて訪問し、夕方は北浜エリアでギャラリー散策とディナー。二日目の朝イチで高松港を出発し、直島でアートの島を満喫するプランが定番として人気を集めている。
入館料の節約術として、香川県立ミュージアムと高松市美術館はそれぞれ月曜休館(祝日の場合は翌日休)のため、訪問日の確認は必須。また、毎月第3日曜日は高松市美術館の観覧料が無料になるサービスデーが設けられており、この日を狙って訪れる地元住民も多い。
現地への移動は琴電(ことでん)の一日乗車券(820円)が重宝する。市内の主要観光スポットをカバーするルートが整備されており、ミュージアム巡りのついでに栗林公園や玉藻公園へも足を延ばしやすい。讃岐うどんの名店が点在する商店街も沿線にあるため、アートと食を組み合わせた充実した一日が過ごせる。
香川のアートシーンは、世界基準の施設と地域に根ざした文化が絶妙に共存している。瀬戸内の光と海風の中でアートに触れる体験は、都市部の美術館では味わえない独特の感動を与えてくれるはずだ。
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