観光・体験
青森のサイクリングコース完全ガイド|陸奥湾の海岸線から十和田湖・八甲田の峠まで
自転車でこそ届く、陸奥湾と山岳のスケール
青森のサイクリングが面白いのは、湾・半島・湖・峠という性格のまるで違うフィールドが、青森市を起点に放射状につながっている点です。徒歩や走り込みではせいぜい合浦公園や青い海公園のベイエリアを巡るのが限界ですが、自転車なら海岸線をどこまでも延ばし、半島を一周し、内陸の湖や峠まで脚を伸ばせます。陸奥湾沿いは夏でも空気がからりと冷涼で、本州とは思えない涼しさのなかをロングライドできるのが青森ならではの魅力。一方で冬は積雪と凍結で多くのコースが走れなくなり、後述の山岳路は車両通行止めになる区間もあります。走れる季節がはっきりしているからこそ、計画的に組み立てる価値があります。
手ぶらで楽しむなら、青森駅前を拠点とする「あおもりまちなかレンタサイクル」が便利です。全車が小型の電動アシスト車で、アプリ「HELLO CYCLING」から24時間貸出・返却ができ、青森駅前駐輪場のほかホテルサンルート青森や県観光物産館アスパムなどにステーションがあります。料金は15分100円、12時間1,500円ほどが目安(営業はおおむね4月中旬〜11月末。最新の料金・期間は要確認)。市街の坂や向かい風も電動アシストが助けてくれるので、旅行者の足としても心強い選択肢です。
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海沿い入門|青森ベイエリアから浅虫温泉へ
まず走ってほしいのが、青森市街から東へ陸奥湾の海岸線をたどり、浅虫温泉を目指すコースです。青い海公園やワ・ラッセの並ぶベイエリアを抜け、国道4号で東進。久栗坂のあたりで道が分かれ、旧国道4号を選ぶと海すれすれを走る区間になり、左手にずっと陸奥湾が広がります。野内を過ぎてさらに進めば、終着は温泉街・浅虫温泉。片道はおおよそ15〜20kmほどで、半日あれば往復できる入門距離です。
ゴールの浅虫温泉には、国道4号沿い・浅虫温泉駅すぐの道の駅「ゆ~さ浅虫」があり、ここはサイクリングステーションとして登録され、自転車を立てかけられるペダルレストも備わっています。最上階の展望浴場から陸奥湾と湯の島を眺めて汗を流し、湯冷ましに港町を散歩して帰る——海と温泉を一日でつなげるのが、この入門コースの贅沢なところです。
夏泊半島ぐるり|ほたてラインを行く36km
もう一段ロングを楽しみたいなら、陸奥湾の真ん中へぽこりと突き出した夏泊半島です。平内町の小湊駅を起点に、半島の海岸線を時計回りにめぐって浅虫温泉駅へ抜けるルートは約36km、難度は中級ほど。「夏泊ほたてライン」とも呼ばれ、その名のとおり陸奥湾のミネラル豊かな海で育つ帆立が名物です。海沿いの食堂で味わう焼き帆立や帆立丼はおおむねワンコイン〜1,500円前後が相場(店により異なります)。
半島の先端には橋で渡れる小島・大島があり、弁天様を祀る社や灯台が立ち、椿の自生北限地帯としても知られます。海道とゆるい山道が交互に現れる起伏のあるコースで、漁村ののどかな風景と磯の香りのなかを走り抜けるのは、半島ライドならではの体験です。なお起点の小湊駅は青森市の隣・平内町にあるため、青森市街からは青い森鉄道で輪行して向かうのが現実的です。
陸奥湾一周という大冒険|むつ湾サイクリングロード270km
体力と日数に余裕があるなら、陸奥湾そのものを一周する「むつ湾一周」コースに挑む手もあります。青森駅を発着に、夏泊・津軽・下北の三つの半島を縫って湾岸をぐるりと走破する総距離およそ270kmのロングルートで、難度は中〜上級。複数日に分け、フォトジェニックな景勝地と素朴な農漁村、そして各地の帆立グルメを味わいながら進む、まさに冒険です。
このコースが旅行者にも組みやすいのは、湾岸のほぼ全区間に鉄道が並走しているから。脚が売り切れたり天候が崩れたりしても、自転車を輪行袋に入れて列車でエスケープできます。一気に全周せず、「今日は青森から野辺地まで」「次回は下北側を」と区間を分けて走り継ぐのもおすすめです。
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渓流と湖を抜ける|奥入瀬渓流と十和田湖
海と並ぶ青森サイクリングの花形が、内陸の奥入瀬渓流と十和田湖です。ここは青森市内ではなく十和田市側の山中で、青森市街からは車やバスで1時間半〜2時間ほどかかります(湖の南西側は秋田県にまたがります)。
走りどころは、国道102号沿いに約14km続く奥入瀬渓流の遊歩ルート。木々がトンネルのように覆う渓流に沿って、阿修羅の流れや雲井の滝、渓流最大の銚子大滝が次々に現れ、勾配もごく緩やかなので景色を味わいながら気持ちよく流せます。十和田湖温泉郷から湖畔の休屋までをつなぐコースはおよそ24kmで、難度は中級ほど。レンタサイクルは焼山〜子ノ口間などで乗り捨て利用ができ、片道だけ走って帰路はバスや遊覧船を組み合わせる手もあります。
湖そのものを一周する「トワイチ」も人気ですが、湖の外周は約46km、しかも湖畔の周遊道路は起伏が大きく、ヒルクライムに近い登りが続く本格派です。走り終えたら、十和田湖名物のヒメマスの塩焼きや、十和田名物のバラ焼きで補給するのが定番です。
上級者の聖地|八甲田・酸ヶ湯のヒルクライム
登りごたえを求めるなら、青森市街から国道103号で八甲田連峰へ突き上げるヒルクライムが待っています。青森市街を出て酸ヶ湯温泉へ登り、さらに奥入瀬・十和田湖まで抜ける王道ルートはおよそ60km・累積標高は1,600mを超える本格的な山岳コースで、確かな脚力が前提の上級者向けです。眼下に陸奥湾を見下ろしながら高度を上げ、ブナ林と湿原の広がる高原へ抜けていく爽快感は格別。登り切った酸ヶ湯温泉の名物「ヒバ千人風呂」で疲れをほぐすのが、このコースのご褒美です。
ただし山岳路ゆえ注意も多く、酸ヶ湯温泉〜谷地温泉のおよそ8km区間は、例年11月下旬から翌3月31日まで冬季閉鎖されます。残雪期や天候急変、ヒグマならぬツキノワグマの出没にも備えが要るため、最新の通行規制と天気を必ず確認してから入りましょう。
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走る前に知っておきたいこと
青森のサイクリングは、走れる時期がはっきり分かれているのが最大の特徴です。海沿いコースもおおむね春〜晩秋が本番で、冬は積雪・凍結でロングライドには向きません。八甲田の山岳路のように、そもそも冬季閉鎖となる区間もあります。逆に夏は陸奥湾沿いでも空気が涼しく、酷暑を避けて長距離を踏める数少ないエリアです。
旅行者なら、市街は前述の電動レンタサイクル、半島やロングは輪行を前提に組むと無理がありません。料金や貸出時間、湖畔の乗り捨て可否は変わることがあるので、出発前に各事業者へ確認を。坂と距離の青森だからこそ、地形と季節を読んで計画を立てれば、海・湖・峠という三者三様の絶景を自分の脚でつなぐ一日が手に入ります。
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