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青森市・陸奥湾と津軽の旬の食材カレンダー|春のトゲクリガニから夏のホタテ、冬の大間まぐろまで
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青森市・陸奥湾と津軽の旬の食材カレンダー|春のトゲクリガニから夏のホタテ、冬の大間まぐろまで

三方を陸奥湾に抱かれた、雪国の旬

青森市は、湾口がぐっとすぼまった内海陸奥湾を三方に抱くように開けた港町です。背後には八甲田(はっこうだ)の山々がそびえ、市街地は世界有数の豪雪地。冬は雪に閉ざされる長い季節を過ごします。だからこそ、この街の旬は温暖な土地のように「一年中だらだら」とは続きません。雪解けの春、海が穏やかになる夏、産卵の魚が戻ってくる冬——季節ごとに主役がはっきり入れ替わるのが、青森市の食の面白さです。

この記事では「春・夏・秋・冬」の四角四面な区切りではなく、陸奥湾と津軽、そして少し足を延ばした下北の旬を、青森市を起点に追っていきます。同じ食材でも季節で姿を変える陸奥湾ホタテから、桜とともに膳にのぼる花見ガニ、雪の季節に最高潮を迎える寒の海まで、順に見ていきましょう。

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春は「花見ガニ」とともに——津軽のトゲクリガニ

青森の春を語るうえで外せないのが、トゲクリガニです。毛ガニと同じクリガニ科の小ぶりなカニで、例年4月下旬から5月下旬ごろまで陸奥湾内で漁獲されます。ちょうど津軽の桜が見頃を迎える時期に旬が重なるため、青森では古くから「花見ガニ」「桜ガニ」と呼ばれ、花見の宴席に欠かせない一品とされてきました。

身は繊細で甘く、メスがおなかに抱えた内子(卵)とカニ味噌が濃厚で、地元では「花見はトゲクリガニで」という人が少なくありません。文豪・太宰治も津軽を描いた作品でこのカニに触れており、青森独特の花見文化を物語る食材です。価格は1杯300〜500円ほどが一つの目安で、春の朝市や直売所に山と積まれます。なお近年は餌となるホタテの不漁の影響で漁が振るわない年もあり、量・相場は年によって動きます。

この時期は海の幸がいっせいに動き出す季節でもあります。陸奥湾では春ウニ(おおむね5月〜7月ごろ)が解禁を迎え、トゲクリガニと並んで春の味覚として親しまれます。

夏の陸奥湾——貝柱の太るホタテと「マイカ」

青森市の海の代名詞といえば、やはり陸奥湾ホタテです。流通自体はほぼ通年ありますが、養殖もののホタテには旬が二度あります。一度目が、貝柱がぐんぐん大きくなる初夏から夏(おおむね5月〜8月ごろ)。プリプリとした肉厚の貝柱を刺身や浜焼きで楽しめるのは、まさにこの季節です。陸奥湾は冷たく清らかな内海で、垂下式の「篭養殖」「耳吊り養殖」が湾内に広がっています。

夏にもう一つの主役となるのがマイカ(スルメイカ)。透明感のある身を活き造りや刺身で味わうと、コリコリとした歯ごたえが涼を呼びます。このほか夏の陸奥湾・津軽の海ではアジ・イワシが脂をのせ、岩礁帯ではアワビ・サザエも旬を迎えます。市内の鮮魚をうたう居酒屋では、その日の地物を黒板で確かめてから注文するのが間違いのない楽しみ方です。

秋——りんごの里と、戻りの魚たち

秋は陸の主役が前面に出てきます。青森県は言わずと知れたりんご王国で、全国生産量のトップを走ります。早生種の出回る8月から品種をリレーしながら翌年まで長く続きますが、サンふじをはじめとする主力品種が出そろい、香りと蜜がもっとも充実するのは晩秋から初冬。市内の直売所や産地の無人販売には、津軽平野で穫れた多彩な品種が並びます。

海では、産卵を控えたヒラメが身を肥やし始め、外海ではサケ・サバ・ブリが戻りの季節を迎えます。陸の根菜では長芋の秋掘りが始まる時期でもあります。青森県は長芋の作付面積が全国トップクラスで、産地は青森市周辺というより東北町・三沢市など県東部が中心。秋掘りは皮が薄くみずみずしく、細切りや浅漬けで持ち味が生きます(越冬させた春掘りは粘りと甘みが強く、とろろ向き)。

冬こそ本番——寒鱈・ヒラメと、下北の大間まぐろ

雪が街を覆う冬は、青森市の海がもっとも豊かになる季節です。

寒鱈(マダラ) — タラは普段は水深150〜200mの深場にいますが、12月から2月ごろ、産卵のため陸奥湾へと帰ってきます。この時期は白子(地元で「だだみ」とも)やタラコをたっぷり抱え、一年で最もおいしくなります。ぶつ切りを丸ごと煮込んだじゃっぱ汁(あらや内臓を使う郷土の鍋)は、雪の青森の食卓を支える冬の定番。身体の芯から温まる一杯です。

ヒラメ青森県を代表する魚で、冬に脂がのって最盛期を迎えます。透き通った白身の刺身や昆布締めは、津軽の冬の御馳走です。このほか冬の陸奥湾・津軽の海ではヤリイカ、ナマコ、ホッキガイ、ミズダコ、ハタハタなどが旬を迎え、底引きの魚が食卓を彩ります。

そして冬の青森を語るなら、本州最北端・大間町(おおままち)大間まぐろにも触れねばなりません。これは青森市内ではなく、下北半島の津軽海峡に面した大間町のブランドで、一本釣り・延縄で揚がる天然本マグロです。漁はおおむね8月ごろから始まり、水温の下がる秋から冬にかけて大型で上質な脂をまとった個体が揚がる旬を迎えます。年始の初競りで途方もない高値がつくことで全国に知られる、まさに「津軽海峡の黒いダイヤ」。青森市から下北へは少し距離がありますが、市内の寿司・海鮮の店でもこの時季の大間や近海のまぐろに出会えることがあります。

県南・津軽の畑から——にんにく・ごぼう・嶺の根菜

青森の旬は海だけではありません。にんにく青森県が国内生産の大半を占め、なかでも県最南端の田子町(たっこまち)は「福地ホワイト六片」で名高いブランド産地です(青森市ではなく県南の山あいが主産地)。収穫は6月から7月ごろで、夏に新にんにくが出回ります。ごぼうは太平洋側の三沢市が生産量日本一を誇り、秋掘りのシャキシャキした香りと、越冬した春掘りの甘みの両方が楽しめます。

こうした県南・津軽の根菜は、青森市内の市場や量販店にも並びます。産地が市外にまたがるものも多いので、買うときは産地表示を確かめると、どの土地のどの旬かが見えてきます。

旬を選ぶなら——古川市場「のっけ丼」とアスパム

青森市で旬を一度に味わいたいなら、市中心部の青森魚菜センター(古川市場)へ。ここの名物が、自分でどんぶりご飯に好きな具材を「のっけて」作る「のっけ丼」です。仕組みはシンプルで、まず案内所などで食事券を購入し(料金は改定されることがありますが、近年は1枚190円・12枚つづり2,200円ほどが目安)、ご飯を受け取って、好みの刺身や惣菜を並ぶ店から少しずつのせていく方式。陸奥湾のホタテ、季節のヒラメやイカ、まぐろの赤身など、その日に出ているものを自分の目で選べるのが醍醐味です。営業はおおむね朝5時台から夕方まで(のっけ丼の提供は午前7時ごろから)、火曜定休が基本ですが、ねぶた祭の期間などは変更されることがあります。

お土産や物産を一望したいなら、青森港のウォーターフロントに立つ三角形のビル青森県観光物産館アスパムが便利です。「AOMORI」の頭文字「A」をかたどった正三角形の高層館で、1階には地酒からスイーツ、海産加工品まで県内の特産品がずらりと並びます。展望台からは陸奥湾と八甲田の山々を一望でき、その日の旬を買ってから景色を眺めるのも一興です。

青森市の旬は、長い雪の季節を挟みながら、春の花見ガニ、夏のホタテとイカ、冬の寒鱈と下北のまぐろへと、はっきりとした表情で巡ります。訪れた季節に何が一番おいしいのか——ぜひ古川市場や地元の店で、地物の名を確かめてみてください。

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Written by

石井 龍之介

グルメブロガー

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