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歩いて巡る高知市――城下町から鏡川・桂浜まで土佐の散策コース
観光・体験
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歩いて巡る高知市――城下町から鏡川・桂浜まで土佐の散策コース

歩いて回れる土佐の城下町、高知

高知市は、観光の主役が半径2キロほどの城下町にぎゅっと収まった、歩いて楽しむのに向いた街です。中心には現存天守の高知城がそびえ、その足元から追手筋・帯屋町のアーケード、はりまや橋、鏡川の河畔までが地続きに広がります。街の背骨を走るのが日本最古の現存路面電車「とさでん交通」で、はりまや橋では東西と南北の線路が直角に交わるダイヤモンドクロッシングを路面から眺められます。歩き疲れたら一区間だけ電車に乗る、という緩急がつけやすいのも高知歩きの利点です。年平均気温は17.3℃と全国平均(15.2℃)より高く、1〜2月でも市街地に雪が積もることは稀。冬でもコートを軽くして歩ける温暖さが、土佐の散策を一年中支えてくれます。

高知城――追手門から天守へ

まず外せないのが高知城です。山内一豊が1601年から築いた城で、天守と追手門がそろって現存するのは全国で高知・丸亀・弘前の三城のみ。明治7年に高知公園として開かれて以来、追手門をくぐって石段を登る道のりそのものが散策路になっています。追手門から最短の「まっすぐルート」を進めば天守までおよそ5〜10分ですが、それは急いだ場合の話。詰門や、多雨の土佐ならではの排水設備「石樋(いしどい)」、本丸を囲む石垣を眺めながらだと、本丸まで小一時間は楽しめます。本丸御殿と天守が両方とも残るのは全国でここだけで、最上階からは城下の家並みと土佐湾の方角までを見渡せます。

追手筋・帯屋町・はりまや橋を歩く

城を下りたら、城下の街路歩きへ。高知城前からひろめ市場まで徒歩約3分、そこからはりまや橋まで徒歩約1分、さらによさこい情報交流館まで約3分という、片道1.6キロの「みどころ歩きコース」が中心市街の定番です。屋根付きの帯屋町アーケード(壱番街から大橋通りまで全長約650メートル)を抜ければ、雨や強い日差しを避けて歩けます。施設名で挙げられるひろめ市場は、土佐の食が一堂に会する屋台村のような場所。鰹のわら焼きたたきや屋台寿司といった土佐の名物を、相場感覚(一皿数百円台からが目安)でつまみながら歩けます。アーケードの東端で待つのが、よさこい節に歌われたはりまや橋。実物は朱塗りの小さな橋ですが、すぐ脇の路面電車の交差点とあわせて、ここが土佐の街の「へそ」だと実感できます。

日曜日は追手筋の街路市へ

もし日曜に高知にいるなら、追手筋の日曜市を端から端まで歩くのが土佐歩きの白眉です。元禄3年(1690年)から300年以上続く街路市で、高知城のお膝元・追手筋の車道を占拠して、全長約1キロにわたり約300の露店が並びます。朝6時頃から午後3時頃まで、地物の野菜や果物、打ち刃物、植木、そして揚げたての芋天のような市の名物までが所狭しと続き、1キロを歩き通すだけで土佐の暮らしがまるごと覗けます。1日およそ1万7千人が行き交う路上市は日本最大級。年始とよさこい祭り(8月10〜12日)の時期を除く毎週日曜に立つので、旅程が合えば朝いちばんに足を運ぶ価値があります。

鏡川の河畔をたどる

街なかの喧騒に少し疲れたら、城下の南を流れる鏡川の河畔へ。源流から河口まで全長31キロが高知市域に収まる「市民の川」で、平成の名水百選にも選ばれた清流です。坂本龍馬が少年期に泳いだ川としても知られ、河畔の「みどりの広場」を中心に、桜やセンダンの並木が続く遊歩道が整えられています。川面を右手に、城の方を振り返りながら歩く土手の道は、観光の合間のクールダウンにちょうどよい長さ。8月には同じ河畔のみどりの広場で高知市納涼花火大会が開かれ、夏の夜は表情ががらりと変わります。高知市が「もいちど散策 鏡川」というエコツアー冊子を出しているほど、地元にとっても歩き甲斐のある川です。

龍馬の生まれたまち・上町を歩く

高知城の西側、上町(かみまち)一帯は坂本龍馬が生まれ育ったまちです。龍馬は1835年、城下の本丁筋(現在の上町)に生を受けました。とさでん交通の電車で上町方面へ数分、あるいは城下から歩いて向かえば、誕生地の碑や、当時のまちの様子を映像と模型で伝える「龍馬の生まれたまち記念館」(2004年開館)に行き当たります。記念館を起点に史跡をめぐる「土佐っ歩」というまち歩きも催されており、龍馬がどんな路地を駆けたのかを、自分の足でたどれます。城・川・生家が徒歩圏に収まる高知ならではの、歴史散策です。

足を延ばして歩く――桂浜と五台山

中心市街から少し離れて歩きたいなら、二つの選択肢があります。一つは太平洋に弓なりに広がる桂浜。市街から車でおよそ20分と歩いては行けませんが、浜に着いてからが本番で、龍頭岬の高台に立つ坂本龍馬像(像高5.3メートル、台座を含め13.5メートル、1928年建立)が太平洋を見据えています。浜から県立坂本龍馬記念館へは、椿のトンネルが続く遊歩道「椿の小道」を石段まじりに約10分。古来「月の名所」と謳われた砂浜と松林を歩く、潮風の散歩道です。

もう一つは市の南東にそびえる五台山(標高146メートル)。JR高知駅前からMY遊バスで上がれば、四国霊場31番札所の竹林寺、植物学者・牧野富太郎ゆかりの県立牧野植物園、そして2022年にできた展望テラスが山上に集まっています。竹林寺の本堂から展望台までは木立の中を約10分。テラスからは高知市街と浦戸湾を一望でき、城下歩きで眺めた風景を、今度は山の上から俯瞰できます。

歩く前の実用メモ

高知歩きの足は、何といっても路面電車。はりまや橋を起点に東西南北へ伸びるとさでん交通を使えば、中心市街のどこへも数分で移動でき、歩きと電車を自在に組み合わせられます。気候は温暖な一方、年間日照時間は2,100時間を超え全国でも上位。夏はもちろん春秋でも日差しが強いので、帽子や日焼け止めがあると安心です。年間降水量2,500ミリ超の多雨地でもあるため、折りたたみ傘は一本持っておくと心強いでしょう。城の石段や五台山の坂道も歩くなら、靴は歩き慣れたスニーカーを。城下の平地から鏡川の河畔、そして山上の展望テラスまで、高低差のある土佐の風景を、自分の歩幅でつないでみてください。

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Written by

中村 陽子

クラフトジャーナリスト

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