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札幌・歴史散策ガイド|碁盤の目の街と開拓使の赤れんがを歩く
観光・体験
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札幌・歴史散策ガイド|碁盤の目の街と開拓使の赤れんがを歩く

碁盤の目の街・札幌は「歩いて読む」のが似合う

札幌のまちは、東西南北へまっすぐ伸びる碁盤の目です。その基点が、都心を南北に流れる創成川にかかる創成橋。1869年(明治2年)に開拓使が札幌本府の建設を始めたとき、開拓判官・島義勇がこの橋のたもとを起点に通りを引き、東◯丁目・西◯丁目という住所の数え方が生まれました。だから札幌の街歩きは方角を見失いません。大通公園の東端にそびえるさっぽろテレビ塔を目印にすれば、自分が今どのブロックにいるのかが直感でわかります。歩いて街の成り立ちを読み解けること——これが、開拓使が設計した札幌ならではの散策の楽しみです。

大通公園を貫く1.5kmの緑の軸

街歩きの背骨になるのが大通公園です。大通西1丁目から西12丁目まで、幅105m・長さ約1.5kmにわたって緑地が一直線に続き、花壇や噴水、彫刻が点在します。東端のさっぽろテレビ塔(1957年完成)から西へ、芝生とライラックの木々を眺めながら端まで歩いても約20〜25分が目安。夏は花、秋は紅葉、冬は雪に包まれてイルミネーションがともり、同じ一本の道が季節ごとに表情を変えます。途中のベンチで一息つきながら、都心のど真ん中を緑の帯が走る贅沢を味わってください。

開拓使の赤れんがと時計台を訪ねる

大通公園から札幌駅側へ数ブロック北上すると、近代建築の街歩きが始まります。まず北海道庁旧本庁舎、通称「赤れんが庁舎」。明治21年(1888年)に建てられたネオ・バロック様式の赤レンガ庁舎で、約6年の保存・耐震改修を経て2025年7月にリニューアルオープンしました。前庭の池に映る八角塔は、札幌を代表する一枚です。そこから歩いてすぐの札幌市時計台は、1878年(明治11年)にクラーク博士の提言を受け札幌農学校の演武場として建てられた建物。1881年に取り付けられた時計は、今も時を刻む日本最古級の塔時計として重要文化財に指定されています。ビルの谷間にぽつんと残る姿に、開拓期の札幌が重なります。

創成川公園と札幌の原点を歩く

碁盤の目の基点・創成橋のまわりは、全長約820mの細長い緑地「創成川公園」として整備されています。この創成川は、江戸末期に幕臣・大友亀太郎が農場へ水を引くために開削した用水路「大友堀」(1866年完成)が起源。橋詰の「開拓の広場」には大友亀太郎像や「札幌建設の地」碑が立ち、ここが街の出発点であったことを静かに伝えます。川沿いを南へたどるとテレビ塔やすすきの方面へ自然につながり、東側の「創成イースト」と呼ばれる、倉庫や工場をリノベーションした界隈へも足を延ばせます。水辺の緑と歴史の碑が同居する、札幌の起点を確かめる散歩道です。

苗穂の赤レンガ産業遺産をたどる

もうひとつの近代建築散歩が、都心の東・苗穂(なえぼ)方面です。サッポロファクトリーは、1876年(明治9年)に生まれた開拓使麦酒醸造所——サッポロビール発祥の地に立つ複合施設で、赤レンガの旧醸造棟や煙突を保存しつつ全天候型のアトリウムを備えます。さらに東の苗穂地区には、1890年に製糖工場として築かれた赤レンガが、今もサッポロビール園・サッポロビール博物館として残り、開拓のシンボル・赤い星(五稜星)を掲げています。明治の産業がそのまま街並みになった一帯で、ビヤホールのジンギスカンで一息つくのも札幌らしい歩き方です。

北大キャンパスの並木道を抜ける

札幌駅の北口から歩いてすぐ、北海道大学のキャンパスは誰でも散策できる広大な緑地です。名物は二つの並木。北13条門から続くイチョウ並木は、約380mの通りの両側に約70本のイチョウが並び、10月下旬から11月上旬には黄金のトンネルになります。もうひとつのポプラ並木は1903年の植樹に始まり、現在はウッドチップの敷かれた約80mの道を歩けます。明治期の歴史的建物も点在し、札幌農学校から始まった北大の歴史を、足の裏で感じられる散歩道です。混雑する観光地から少し離れて、学びの森の静けさを味わえます。

狸小路から地下へ、冬も歩ける街

最後は商店街と地下の散策です。狸小路商店街は西1丁目から西7丁目まで、総延長約900mの全蓋アーケードが一直線に続く、135年以上の歴史を持つ札幌の台所。雨や雪でも濡れずに端から端まで約10〜15分、土産物店から老舗まで冷やかしながら歩けます。そして札幌の冬を象徴するのが、札幌駅と大通駅を結ぶ約520mの地下歩行空間「チ・カ・ホ」。2011年に開通し、雪の日でもコートを着込まずに都心を縦断できます。大通からすすきの方面へは地下街ポールタウンが約400m続き、地上が氷点下でも一日中歩き回れるのが、雪国・札幌の懐の深さです。

季節と歩く実用メモ

札幌の街歩きはどの季節も魅力的ですが、装備は季節で大きく変わります。夏は日差しが強くても湿度が低く快適で、大通公園や北大の並木が最も気持ちよい時期。秋は紅葉とイチョウが見頃の10〜11月が狙い目です。冬(12〜3月)は路面が凍結するため滑りにくい靴が必須で、屋外は短時間にとどめ、チ・カ・ホや地下街を上手につなぐのが地元流。距離の目安は、大通公園の端から端で約1.5km・徒歩約25分、狸小路の端から端で約900mです。さっぽろテレビ塔と赤れんが庁舎を方角の目印にすれば、碁盤の目の街は地図がなくても歩けます。自分の足で、開拓使が引いた一直線の通りを読み解いてみてください。

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Written by

小林 拓也

サイクリスト・旅人

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