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長野市さんぽ案内――善光寺の門前町を歩き、戸隠・奥社参道の杉並木へ
観光・体験
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長野市さんぽ案内――善光寺の門前町を歩き、戸隠・奥社参道の杉並木へ

善光寺の門前町を、一丁ずつ歩く

長野市の散策は、何より善光寺(ぜんこうじ)の門前町を歩くことに尽きます。長野駅の善光寺口を背に、中央通り(道路の愛称は善光寺表参道)をまっすぐ北へたどると、ゆるやかな上り坂の先に本堂が見えてきます。駅から善光寺までは十八丁、距離にしておよそ1.8〜2キロメートル、徒歩30分ほどの道のりです。沿道には一丁(約109メートル)ごとに石の道標が立ち、「あと何丁」と数えながら歩けるのが、この参道ならではの楽しみ。蔵造りの商家やカフェ、仏具店が軒を連ね、急がず立ち寄りながら進めば、門前町の時間の流れがそのまま体に入ってきます。なお、善光寺は長野市の象徴。松本城や松本の中町通りは隣の松本市の名所なので、同じ信州でも取り違えないのが、長野市を歩く第一歩です。

仲見世から山門・本堂へ

表参道を上りきると、仁王門をくぐって仲見世通りに入ります。およそ200メートルの石畳に土産物店や仏具店、宿坊が並ぶ、門前のいちばんにぎやかな一角です。その先に構えるのが、江戸中期に建てられた重要文化財の山門(三門)。拝観料を納めれば楼上に上がれて、いま歩いてきた表参道と善光寺平を一望できます。

山門を抜けると、1707(宝永4)年再建の本堂が正面に。国宝に指定された堂々たる木造建築で、その床下をめぐるのが名高いお戒壇めぐりです。一寸先も見えない真っ暗な回廊を右手で壁を伝って進み、ご本尊の真下にある「極楽の錠前」に触れれば、極楽往生が約束されると伝わります。光のない数十秒は、ガイドブックの写真では決して味わえない善光寺さんぽのハイライトです。

早朝のお朝事という、もうひとつの散策

善光寺の門前は、朝こそ歩きたい場所です。毎朝、日の出に合わせて営まれるお朝事(おあさじ)は、一年を通して欠かさず行われる法要。始まる時刻は季節で動き、夏はおよそ5時半、冬は7時ごろが目安です。本堂前の参道で待っていると、行き帰りの導師がお数珠で参拝者の頭にそっと触れてくださるお数珠頂戴を受けられます。予約も料金も不要で、人けの少ない門前を歩いて本堂へ向かう時間そのものが、長野ならではの朝の散策になります。宿坊に一泊して精進料理をいただき、そのままお朝事に参列する過ごし方も、門前町らしい選択です。

城山公園——善光寺東隣の文化の丘

本堂の参拝を終えたら、東隣の城山(じょうやま)公園へ。善光寺の境内とひとつづきに広がる、長野市民の憩いの丘です。園内には長野県美術館があり、信州の自然と門前の町並みに溶け込む「ランドスケープ・ミュージアム」をコンセプトに掲げます。日本画家・東山魁夷の作品およそ970点を収める東山魁夷館を併設し、絵を観たあとに屋上の広場から善光寺の伽藍を眺める散歩がよく似合います。歴史ある城山動物園もあり、家族連れの足休めにも向きます。桜の名所としても知られ、4月中旬にはおよそ470本のソメイヨシノが咲き、雲上殿へ続く坂道にぼんぼりが灯ります。

西之門と宿坊の小路——蔵の門前を裏道さんぽ

表参道の華やぎから一本入ると、門前町の素顔が現れます。善光寺大本願の西側に広がる西之門(にしのもん)町は、蔵造りの建物や古い構えの店が点在する静かな一帯。江戸時代から続く酒蔵が残り、善光寺味噌や地酒の香りが門前の歴史を今に伝えます。宿坊が点在する界隈の小路や、土塀の続く裏道をあてもなく歩くと、表通りとは違うしっとりした門前の風情に出会えます。地図をしまって小路へ折れてみるのが、この界隈のいちばんの楽しみ方です。

犀川・裾花川の河畔を歩く

寺と町を歩いたら、水辺へ。市街の西を流れる裾花(すそばな)川沿いには遊歩道が整い、長野駅や善光寺からおよそ徒歩10分で河畔に出られます。朝の散歩やランニングにちょうどよく、やがて川は丹波島橋のあたりで犀(さい)川に合流します。犀川の河川敷にも一周およそ1.6キロの遊歩道があり、一部はウッドチップ敷きで足にやさしいのが地元に親しまれる理由。北アルプスを背にした広い空の下を歩けば、門前町の喧騒とはまた違う、長野盆地のおおらかな表情に出会えます。

足を延ばして、戸隠・奥社参道の杉並木へ

時間があれば、長野市北西の山あいにある戸隠(とがくし)まで足を延ばす価値があります。市街地からは離れた郊外で、長野駅からアルピコ交通の路線バスで――特急で約55分、一般路線で約65分ほど――けっして近くはありませんが、それだけの値打ちがある参道です。戸隠神社奥社の大鳥居から本殿までは約2キロのまっすぐな道。中間あたりに茅葺き屋根の随神門が立ち、そこから先は樹齢400年ともいわれる杉が約500メートルにわたって300本あまり並ぶ、長野でも指折りの荘厳な杉並木です。大鳥居から随神門まで約1キロ・徒歩15分、随神門から奥社まで約1キロ・徒歩25分が目安。最後は山道なので、歩きやすい靴で向かいましょう。

さんぽの実用メモと門前の味

長野市の中心部は、表参道善光寺〜城山公園がひとつながりで歩けるのが強みです。表参道の往復に仲見世・境内・公園を加えても半日で回れますが、上り坂と石畳が続くので、底のしっかりした靴がおすすめ。歩き疲れたら門前の味でひと息を。信州名物のおやきは、小麦やそば粉の皮で野沢菜やあんこ、なすなどを包んで焼いた素朴なおやつで、店ごとに具も焼き加減もさまざまです。冷涼な気候が育てる信州そば、とりわけ戸隠ではひと口ずつ束ねた「ぼっち盛り」が名物。門前名物の七味唐辛子を土産に選ぶのも長野らしい締めくくりです。値段は店によりますが、いずれも構えず味わえる門前の日常食。自分の足で門前の坂を上り、朝の鐘を聞き、河畔へ下りる――長野市のさんぽは、善光寺を軸に何度でも描き直せます。

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Written by

高橋 大地

アグリツーリズム推進者

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