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松江の花の名所と見頃カレンダー|城山公園の桜と椿、大根島の牡丹、月照寺のあじさい
観光・体験
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松江の花の名所と見頃カレンダー|城山公園の桜と椿、大根島の牡丹、月照寺のあじさい

松江は「椿と牡丹のまち」

松江の花めぐりを語るうえで、まず押さえておきたいのが市の花です。松江市は2006年10月8日に市の花を椿(つばき)と牡丹(ぼたん)の二つに定めました(椿はそれ以前の旧松江市時代から市の花でした)。制定の理由には、国宝・松江城のお膝元に広がるヤブ椿の群落や、隣の大根島が牡丹苗の生産日本一であることが挙げられています。市の木が松と桜、市の魚介がしじみと鯛であることと合わせると、松江という城下町が湖と歴史に育まれた土地であることが、花一つからも見えてきます。

そこで本記事では、季節をただ四つに割るのではなく、松江に実在する花の名所と、その正確な見頃をたどる形でご案内します。早春の椿から始まり、桜、牡丹、初夏のあじさいへと移ろう松江の一年は、それぞれ別々の名所が主役を務めます。

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2〜3月:椿谷のヤブ椿(松江城山公園)

松江の花の一年は、雪の名残のなかで咲く椿から幕を開けます。市の花・椿を象徴するのが、松江城を取り囲む松江城山公園の「椿谷(つばきだに)」。城山の西側から北側の鎮守の森一帯に、幹の直径10センチを超えるものだけでも約400本のヤブ椿が群生し、ここは日本三大ヤブ椿群の一つに数えられています。

見頃は例年2月から3月上旬ごろ。お堀沿いや土手に真っ赤な花が点々と灯り、まだ寒さの残る静かな公園に色を添えます。雪のなかでも凛と咲く椿の姿が「松江人の気質に通じる」として市の花に選ばれた逸話を思い出しながら歩くと、一輪の重みが違って感じられます。3月には例年、椿花展や、ガイドと椿谷・鎮守の森をめぐる「椿探訪」といった催しも開かれ、品種や植えられた由来まで知ることができます。

なお松江と椿の縁は深く、大名茶人として知られた松江藩主・松平不昧(ふまい)公が茶花として椿を好んだことも、この土地に椿文化が根づいた背景にあります。城下町らしい、しっとりとした花見の入り口です。

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3月下旬〜4月上旬:松江城を彩る桜

椿が散りはじめる頃、入れ替わるように主役となるのが桜です。同じ松江城山公園は、「日本さくら名所100選」に選ばれた山陰屈指の桜の名所。ソメイヨシノを中心に八重桜やしだれ桜などが城を取り巻き、国宝天守を背に咲く桜は松江でしか見られない一枚絵になります。

見頃は例年3月下旬から4月上旬。開花の時期に合わせて「お城まつり」が催され、夜にはぼんぼりの灯と天守のシルエットが桜を照らし、昼とはまったく違う幻想的な夜桜が楽しめます。JR松江駅から市営バスで10分ほど、城のすぐ足元まで来られる手軽さも、観光の合間に立ち寄りやすいところです。城を一周しながら椿谷の名残の椿と桜を同時に味わえる時季があるのも、この公園ならではの贅沢です。

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4月中旬〜5月:大根島・由志園の牡丹

桜が終わると、松江の花は中海に浮かぶ大根島(だいこんしま)へと舞台を移します。大根島は牡丹の苗木生産で日本一を誇る「牡丹の島」で、その中心にあるのが回遊式日本庭園「由志園(ゆうしえん)」です。市の花のもう一方・牡丹を、これほど豪華に味わえる場所はそうありません。

屋外の池泉や園路を彩る牡丹の見頃は例年4月中旬から5月にかけて。ゴールデンウィークの頃には、池の水面いっぱいに数万輪の牡丹を浮かべる「池泉牡丹(ちせんぼたん)」が名物で、緑の庭と赤やピンクの花が織りなす光景は息をのむ華やかさです。

さらに由志園の見逃せない特徴が、「牡丹の館」では牡丹が一年中咲いていること。室咲き(むろざき)の技術で温度管理された館内では、屋外の旬を外しても艶やかな牡丹に出会えます。「松江を訪れたが牡丹の季節ではなかった」という旅でも、ここなら市の花を堪能できるわけです。大根島が島ぐるみで磨いてきた栽培技術の奥行きを感じられる、松江ならではの花スポットです。

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6月中旬〜7月上旬:月照寺のあじさい

梅雨の松江を彩るのが、「山陰のあじさい寺」として親しまれる月照寺(げっしょうじ)のあじさいです。月照寺は松江藩主・松平家九代の菩提寺で、苔むした石灯籠や廟門の並ぶ静謐な境内を、青や紫のあじさいが埋め尽くします。

見頃は例年6月中旬から7月上旬。雨にぬれた花と古色を帯びた石塔、緑の苔が織りなす情景は、観光地化された花畑とはまったく異なる、城下町の寺ならではのしっとりとした美しさです。

月照寺といえば、境内にある巨大な石の大亀も外せません。六代藩主の寿蔵碑を背負うこの大亀は、夜ごと松江の町を徘徊したという伝説が残り、松江に暮らした文豪・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の随筆にも登場します。頭をなでると長生きできるという言い伝えもあり、あじさいと怪談文化が同居するのは、八雲ゆかりの松江らしい味わいです。

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通年:松江フォーゲルパークの花の温室

「せっかく松江に来たのに、めぼしい花の季節と合わなかった」——そんなときの強い味方が、宍道湖畔に広がる松江フォーゲルパークです。ここには国内最大級ともいわれる花の展示温室があり、ベゴニアやフクシアを中心に約1,500品種・1万株もの花が、一年を通して満開の状態で咲き誇ります。

温室内は常に20度前後に保たれているため、季節や天候に左右されず、雨の日でも真冬でも、頭上から流れ落ちるように咲く花のシャワーを楽しめます。花と鳥がテーマの施設なので、フクロウやペンギンとのふれあいも一緒に楽しめ、家族連れや雨の日の避難先としても重宝します。屋外の名所が端境期のときの「保険」として、旅程に入れておくと安心の一カ所です。

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松江・花めぐりの早見カレンダー

時期名所
2〜3月(晩冬〜早春)椿(ヤブ椿)松江城山公園・椿谷(日本三大ヤブ椿群)
3月下旬〜4月上旬松江城山公園(さくら名所100選)
4月中旬〜5月牡丹大根島・由志園(室咲きで通年も可)
6月中旬〜7月上旬あじさい月照寺(山陰のあじさい寺)
通年ベゴニア等の温室花松江フォーゲルパーク

初夏には花菖蒲なども松江の各所で見られますが、決まった一大名所として案内できるほどの定番スポットは確認しきれませんでした。確実に楽しみたい方は、まずは上の表の名所を軸に旅程を組むのがおすすめです。

松江の花は、城・湖・寺・島といった土地の表情とともにあるのが魅力です。市の花である椿と牡丹を二つの軸に、椿谷の早春から月照寺の梅雨どきまで、季節の移ろいを城下町の歴史ごと味わってみてください。

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Written by

吉田 麻衣

フォトグラファー

日本刀×日本文化体験

観光スポットと刀剣文化をつなぐ多言語展開。