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松本市の花の名所と見頃ガイド|標高でずれる桜・レンゲツツジ・そばの花と北アルプスの眺望
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松本市の花の名所と見頃ガイド|標高でずれる桜・レンゲツツジ・そばの花と北アルプスの眺望

松本の花は「標高」で時期がずれる

松本市の花めぐりを楽しむコツは、まず標高差を頭に入れることです。市街地が広がる松本平は標高およそ600mの内陸高地で、太平洋側より気温が低く、桜の見頃は東京より遅い4月上旬〜中旬。さらに市域は上高地(標高約1,500m)や乗鞍・美ヶ原(標高約2,000m)まで一気に駆け上がり、同じ松本市でも花の見頃が数週間から1か月以上ずれます。市街地で桜が散ったあと、高原ではこれからレンゲツツジが咲き始める——この「縦に長い」花暦こそ、松本ならではの楽しみ方です。そして多くのスポットに共通するのが、西に連なる北アルプスの眺望。雪を残した稜線を背景に咲く花は、松本でしか撮れない一枚になります。

以下、市街地から高原へと標高を上げる順に、実在の名所と見頃を紹介します。

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春のはじまり——城下町の梅(3月上旬〜中旬)

松本の花のシーズンは梅で幕を開けます。松本城公園には梅の木が植えられ、例年3月上旬から中旬にかけて白梅・紅梅が咲きます。日当たりのよい木は北アルプスの山並みを背に咲き、黒い天守との取り合わせが城下町らしい風情を見せます。

もう一つの梅の名所が、松本駅にほど近い深志神社。朱塗りの社殿を背景に咲く梅が美しく、市街地の散策ついでに立ち寄りやすいスポットです。まだ風の冷たい時期ですが、梅が咲き始めれば松本平にも春が近いという合図です。

松本城の桜と夜桜会(4月中旬)

松本を代表する花の名所はやはり国宝松本城。城公園と本丸庭園にはおよそ300本の桜が植えられ、漆黒の天守と淡い桜が織りなす光景は、ほかの城では味わえません。例年の開花は3月末〜4月初め、満開は4月上旬が目安で、内陸の冷え込みでソメイヨシノが長く楽しめる年もあります。

この時期の見どころが、開花宣言の3日後から8日間ひらかれる「夜桜会」。夕方から夜にかけて天守と本丸庭園の桜がライトアップされ、夜間の庭園が無料開放されます。あわせて外堀沿いの桜並木を照らす「光の回廊」も催され、水面に映る桜と黒い天守の競演は松本の春の象徴です。日中の白い北アルプスを背にした天守、夜のライトアップ、と二度楽しめるのが松本城の桜の贅沢なところです。

北アルプスを背に約4,000本——弘法山古墳(4月上旬〜中旬)

「丘がまるごと桜になる」と言われるのが、市街南東にある弘法山古墳(こうぼうやまこふん)です。3〜4世紀ごろに築かれた東日本最古級の前方後方墳で、その丘全体をおよそ4,000本の桜が包み込みます。ソメイヨシノに加え大山桜なども見られ、見頃は松本城とほぼ同じ4月上旬〜中旬。

この場所の真価は、墳頂からの眺めにあります。眼下に松本市街、その奥に北アルプスの稜線を桜越しに一望でき、写真愛好家が早朝から集まる屈指の絶景ポイントです。専用駐車場がないため、公共交通機関やシャトルでのアクセスが基本。坂を登った先で視界が開ける瞬間は、ひと手間かける価値があります。

街なかの桜と展望——あがたの森・アルプス公園・城山公園

松本城以外にも、市街地には気軽に桜を楽しめる公園がそろっています。

あがたの森公園は、旧制松本高等学校の木造洋風校舎(重要文化財)が残る文化の薫り高い公園。約150mにわたって続くヒマラヤスギの並木が象徴的で、春はソメイヨシノやしだれ桜、日本庭園の池まわりの新緑が楽しめます。桜が終わる5月ごろには園内のツツジが見頃を迎え、芝生の広場とあわせて市民の憩いの場になっています。

市街北西の丘陵に広がるアルプス公園は、約500本の桜が咲く広大な公園。「花の丘」では斜面を生かして四季の花が植えられ、冬から春にかけては水仙なども見られます。北アルプス安曇野方面を見渡す眺望が魅力で、家族連れの花見にも向きます。すぐ南の尾根続きにある城山公園(じょうやまこうえん)も、約500本のソメイヨシノと北アルプスのパノラマ展望で知られる桜の名所。市街地の桜と山岳展望を一度に楽しめるのが、松本の公園の強みです。

初夏、高原がオレンジに染まる——美ヶ原のレンゲツツジ(6月下旬〜7月上旬)

市街地の花が一段落する初夏、舞台は一気に標高2,000mの美ヶ原高原へ移ります。松本市南東部に位置するこの高原では、例年6月下旬から7月上旬にかけてレンゲツツジが見頃を迎えます。朱色(オレンジ色)の花が高原一帯に群れ咲き、放牧された牛とともに広がる風景は初夏の高原を代表する光景です(レンゲツツジは有毒で牛が食べないため、放牧地に群生が残ります)。

松本側の最高峰王ヶ頭や、西端の展望地王ヶ鼻からは、レンゲツツジ越しに北アルプスを一望できます。遊歩道を歩きながら朱色の花畑と雪の残る稜線を眺められるのが、ほかにない魅力。標高が高いぶん市街地より気温が低いので、夏でも上着があると安心です。

夏から秋へ——そばの花と松本平の田園(9月中旬〜10月中旬)

信州といえばそば。そして松本平はその一大産地です。市街東側の中山・内田地区は、西を向けば松本平の向こうに北アルプスが屏風のように連なる田園地帯で、季節になるとそば畑が一面に白い花を咲かせます。そばの花の見頃は品種や標高で前後しますが、松本平では秋そばが9月中旬から10月中旬ごろに白い小花を畑いっぱいに広げるのが目安。夏そばを早めに作付けする畑では盛夏に咲くこともあり、白く染まる田園は素朴ながら松本らしい季節の風物詩です。特定の観光名所として整備された畑ばかりではないため、農作業や私有地への配慮を忘れずに、道沿いから眺めるのがおすすめです。

紅葉は山から里へ降りてくる(10月上旬〜11月中旬)

花の季節を締めくくる紅葉も、松本では標高差がそのまま見頃のずれになります。

まず色づくのが標高の高い山岳エリア。上高地(標高約1,500m)は10月中旬ごろ、カラマツやカエデが梓川沿いを彩り、乗鞍の高所は10月上旬から中旬と、市域でもっとも早く秋が訪れます。

そこから1か月ほど遅れて、10月下旬〜11月中旬に見頃を迎えるのが市街地。アルプス公園では桜やもみじが10月末から11月上旬ごろに色づき、北アルプスの眺望とあわせて紅葉散策が楽しめます。松本城あがたの森公園も同じころが見頃で、黒い天守やヒマラヤスギ並木を背景にした紅葉は、春とはまた違う落ち着いた表情を見せてくれます。

訪れる前に——松本の花めぐりメモ

松本の花の見頃をまとめると、おおよそ次の流れになります。

時期花・紅葉主なスポット(標高の目安)
3月上旬〜中旬松本城公園・深志神社(約600m)
4月上旬〜中旬松本城・弘法山古墳・あがたの森・アルプス公園・城山公園(約600m)
5月ごろツツジあがたの森公園
6月下旬〜7月上旬レンゲツツジ美ヶ原高原・王ヶ頭・王ヶ鼻(約2,000m)
9月中旬〜10月中旬そばの花中山・内田地区の田園
10月上旬〜11月中旬紅葉乗鞍・上高地(高所)→アルプス公園・松本城(市街)

内陸高地ゆえに朝晩は冷え込みやすく、特に高原は夏でも涼しいので一枚羽織るものを。桜や紅葉の見頃は年によって数日〜1週間前後するため、出発前に松本市の公式観光サイトの開花・紅葉情報を確認すると確実です。市街地の名所は松本駅から徒歩やバスで回りやすく、半日で松本城・あがたの森・弘法山をめぐることもできます。雪を残した北アルプスを背に咲く花——その一枚を探しに、ぜひ標高をたどる松本の花旅へ出かけてみてください。

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Written by

佐藤 美咲

旅行ジャーナリスト

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