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福岡市・玄界灘の旬の食材カレンダー|唐泊の二季の牡蠣から鐘崎ふぐ、博多ごまさばまで
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福岡市・玄界灘の旬の食材カレンダー|唐泊の二季の牡蠣から鐘崎ふぐ、博多ごまさばまで

温暖な福岡だからこそ、旬が途切れない

福岡市の食を語るうえで欠かせないのが、市の北に広がる玄界灘と、市街地のすぐ目の前に開ける博多湾です。玄界灘には栄養豊富な対馬海流が速い流れで注ぎ込み、よく肥えた魚が育つ好漁場として知られています。福岡市は気候が温暖で冬が短く、雪に閉ざされる土地ではありません。だからこそ海の幸は季節ごとに主役を入れ替えながら、一年を通してほとんど途切れることがないのです。

この記事では、機械的な「春・夏・秋・冬」の四分割ではなく、福岡ならではの旬の名物を軸にカレンダーを組み立てます。同じ牡蠣でも夏と冬で種類が変わる唐泊、「イカ王国」と呼ばれる筑前海、冬の玄界灘が育てるふぐとブリ——順に追っていきましょう。

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唐泊の「二季の牡蠣」——夏は岩牡蠣、冬は真牡蠣

福岡市西区の博多湾の西端に位置する唐泊(からとまり)は、市が誇るブランド牡蠣「唐泊恵比須かき」の産地です。福岡市漁協唐泊支所が手がけるこの牡蠣には、実は旬の異なる二種類があります。

  • 冬(11月〜3月ごろ)の真牡蠣: ミルキーで濃厚な味わいの定番。冬になると博多湾岸の「唐泊恵比須かき小屋」がオープンし、炭火で焼きながらその場で味わうのが福岡の冬の風物詩です。
  • 夏(おおむね初夏〜盛夏)の岩牡蠣: 真牡蠣より身が大きく、味が濃いのが特徴。夏にも牡蠣が楽しめるのは、二季養殖を確立した唐泊ならではの強みです。

殻付き牡蠣の相場は時期や大きさで動きますが、牡蠣小屋では1kgあたり1,000円前後からが一つの目安。なお、福岡市に隣接する糸島市にも玄界灘に面した牡蠣小屋が集まり、こちらの真牡蠣のシーズンはおおよそ10月中旬から4月上旬まで。週末に少し足を延ばす定番ドライブコースになっています。

「イカ王国」筑前海——春のヤリイカから夏のケンサキイカへ

玄界灘と響灘からなる筑前海は、イカの水揚げが豊富なことから「イカ王国」とも呼ばれます。福岡近海のイカは季節でバトンタッチしていくのが面白いところです。

  • 春(2月〜4月ごろ)のヤリイカ: 産卵期に向けて身が締まり、甘みが増す春の味覚。
  • 初夏〜秋(4月〜10月末ごろ)のケンサキイカ: いわゆる「夏イカ」。透明感のある身が涼しげで、活き造りや刺身で人気が高まります。胴が長く見栄えがするのも夏のケンサキの特徴です。

イカの活き造りといえば佐賀県・唐津の呼子が全国的に有名ですが、福岡の筑前海もそれに引けを取らない産地です。市内の鮮魚をうたう居酒屋では、季節のイカをコリコリした食感のまま味わえます。価格は活き造り一杯で2,000円台後半〜が一つの目安です。

冬の玄界灘が育てる、ふぐと寒ブリ

冬の玄界灘は、福岡の海がもっとも豪華になる季節です。

鐘崎天然とらふく福岡市の北東、宗像市の鐘崎漁港は、天然とらふぐ(地元では「ふく」と呼びます)の水揚げが福岡県トップ。トラフグは日本海や東シナ海を回遊し、産卵のため冬に玄界灘へやってくるため、おおむね12月〜3月前半が漁の最盛期です。荒波にもまれた身の締まりと歯ごたえは、養殖ものとはひと味違います。ふぐ料理はコースで味わうのが一般的で、価格帯は店の格により幅が大きいので、予算に合わせて選ぶとよいでしょう。

寒ブリ — ブリの旬は2〜3月の寒い時期。糸島半島北側の玄界島と小呂島(おろのしま)の間あたりが好漁場で、小呂島周辺のブリはイワシやキビナゴを食べて育つため脂のりが格別とされます。福岡には「よか嫁ごぶり」にちなみ、結婚した年の年末にブリをお嫁さんの実家へ贈る習わしがあるなど、ブリは祝いの魚として生活に根づいています。

このほか冬から春は寒サワラも美味。やや柔らかな白身で、照り焼きや味噌漬けにすると持ち味が生きます。

一年を通して主役級——博多のごまさばと夏の地魚

福岡のソウルフードといえばごまさば。その日に揚がった新鮮なサバの刺身を、九州らしい甘めの醤油だれにくぐらせ、たっぷりのすりごまとネギ、わさびで味わう博多の郷土料理です。サバは年中獲れますが、海水温が下がる秋から春先(10月〜2月ごろ)は脂のりがよくなり、ごまさばが一段とおいしくなる時期。生で食べられるのは、青魚の水揚げが多い福岡ならではの食文化です。焼酎との相性も抜群で、地元の居酒屋では通年の定番になっています。

夏の玄界灘博多湾も負けてはいません。福岡市漁協の記録では夏はマダイが特によく揚がり、7月にはシャコも豊富。アジは夏が食べごろで、たたきや塩焼き、開きで親しまれます。玄海のウニはアカウニ・バフンウニ・ムラサキウニが獲れ、漁期は種類により夏と冬の年二回。涼を求める夏の食卓に、淡白なイカやアジ、濃厚なウニが彩りを添えます。

陸の旬——冬のあまおうと回遊する桜鯛

海の幸ばかりではありません。福岡県が生んだブランドいちご「あまおう」は、「あかい・まるい・おおきい・うまい」の頭文字が名の由来。12月ごろから5月ごろまで出回り、寒暖差で甘みが凝縮する1〜2月が最盛期です。市内のスイーツ店や百貨店の地下では、この時季ならではのあまおうフェアが各所で開かれます。

春には、産卵のため玄界灘沿岸を回遊するマダイが「桜鯛」と呼ばれ、鱗が桜色に映えて脂がのる時期を迎えます。海と陸の両方で「春の訪れ」を味で感じられるのが、温暖な福岡らしい季節の移ろい方です。

旬を買うなら——博多の台所「柳橋連合市場」

旬の食材を自分の目で確かめたいなら、福岡市中心部の柳橋連合市場へ。「博多の台所」と親しまれる創業100年以上の市場で、レトロなアーケードの下に鮮魚店・海産加工品店・青果店など約40店舗が並びます。玄界灘の活きのいい魚に加え、博多名物の辛子明太子もずらりと揃い、プロの料理人も仕入れに通う「玄人の市場」です。

市場では、その日に何が旬かを店の人に直接尋ねられるのが醍醐味。冬なら唐泊や糸島の牡蠣、寒ブリのサク、春ならイカや桜鯛、初夏のケンサキイカ——季節の主役をその場で見て選べます。価格は時季と相場で動くため、まずは並んでいるものを見て、おすすめを聞いてみるのが失敗のないコツ。福岡の旬は、温暖な気候に支えられて休む間もなく巡ります。訪れた季節に何が一番おいしいのか、ぜひ現地の市場や居酒屋で確かめてみてください。

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Written by

鈴木 一郎

移住コンサルタント

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