グルメ
広島の夜食・深夜グルメガイド|お好み焼きと汁なし担々麺で〆る一夜
広島の夜は「〆」で終わる
広島で飲んだ夜は、最後にもう一軒——鉄板の前に座るか、辛い麺をすするかで締めくくられます。歓楽街でひとしきり盛り上がったあと、温かいお好み焼きや山椒の効いた汁なし担々麺で胃袋を落ち着ける。この「〆の文化」こそ、広島の夜食をほかの街と分ける個性です。深夜営業の店が集まるのは、繁華街の流川(ながれかわ)・薬研堀(やげんぼり)と、広島駅西側のエキニシ。まずはどこで夜更けの一杯にありつけるのか、エリアから押さえておきましょう。
深夜の夜食が集まる二つのエリア
流川・薬研堀 — 中国・四国地方で最大級の歓楽街で、居酒屋やバーがひしめく一帯です。路面電車(広島電鉄)の胡町(えびすちょう)・銀山町・八丁堀の各電停が最寄りで、広島駅から十数分。飲み歩きの締めに向くお好み焼き店やラーメン店が路地に点在し、23時を過ぎても行列が絶えない店が珍しくありません。
エキニシ(駅西) — 広島駅の西側、大須賀町あたりに広がる飲み屋街です。戦後の古い建物をリノベーションしたレトロな小箱の店が密集し、駅から徒歩数分という近さが魅力。カウンター中心で客同士の距離が近く、終電前後にもう一杯、もう一品とはしごするのに向いた、いま広島で最も熱いエリアのひとつです。
〆の王道、深夜のお好み焼き
広島の夜食といえば、まず広島風お好み焼き。関西の「まぜ焼き」と違い、薄く伸ばした生地の上にたっぷりの千切りキャベツ、もやし、豚肉、そして焼きそば(またはうどん)の麺を層に積み上げる「重ね焼き」が広島流です。蒸し焼きにされたキャベツの甘みと、こんがり焼けた麺の香ばしさ、甘口ソースが一体になった一枚は、飲んだあとの体にちょうどよく沁みます。
注文は「そば肉玉(そば・豚肉・卵入り)」が基本形。広島では鉄板のへりに置かれた一枚を、小さな金属のヘラ(こて)で切り分け、皿に取らず鉄板から直接ほおばるのが流儀です。仕上げにねぎをたっぷりのせる「ねぎかけ」や、イカ天・大葉を足すアレンジも定番。特筆すべきは、これを深夜の〆に食べる文化が根づいていることです。流川界隈には日付が変わってもヘラを動かし続ける店があり、店によっては明け方まで営業します。価格はそば肉玉で一枚700〜1,000円前後が目安。鉄板を前にビールでもう一杯、というのが地元流の締め方です。
辛さで締める、汁なし担々麺
近年の広島の夜食で外せないのが汁なし担々麺。スープのない丼に、山椒の効いた挽き肉とラー油、ねぎをのせ、よく混ぜて食べる一杯です。2001年ごろに広島市中区で生まれ、2010年前後にレシピが公開されたことで一気に広まった、比較的新しいご当地麺。痺れる花椒(ホアジャオ)と唐辛子の辛さが、酔った頭をしゃきっとさせてくれます。
食べ方にも作法があります。まずは「よく混ぜてから」が合言葉で、しっかり和えるほど挽き肉とラー油が麺にからみ、痺れと旨みが一体になります。辛さや痺れの強さを選べる店も多く、自分好みに調整できるのも魅力。そして麺を食べ終えたら、丼に残ったタレに白ご飯を投入する「追い飯(担担ご飯)」が定番です。最後の一粒まで辛旨いタレを味わい尽くせます。中心部には深夜まで開く専門店があり、飲んだあとに一人でふらりと立ち寄れる手軽さも、夜食として定着した理由でしょう。
冷たく辛い広島つけ麺と、屋台の中華そば
麺好きの〆には、広島つけ麺という選択肢も。関東のつけ麺と違い、麺もつけダレも冷たいのが広島流で、醤油ベースのタレに唐辛子・ラー油・酢・ごまを効かせた辛口が基本です。茹でキャベツやゆで卵、チャーシューが添えられ、辛さを段階で選べる店が多いのも特徴。1954年に八丁堀の中華料理店が夏の「冷麺」として出したのが始まりとされ、汗ばむ夜の火照った体をすっと冷ましてくれます。
辛いものが続いて落ち着きたいなら、広島の中華そばを。豚骨に醤油を合わせた濃いめながらもしつこくないスープに、細めの麺、薄切りチャーシュー、たっぷりのねぎという構成で、戦後の屋台文化から育った広島ラーメンの基本形です。地元では「中華そば」、あるいは単に「そば」と呼ぶのが普通。広島駅周辺には深夜まで灯をともす屋台やラーメン店が残り、カウンターで地元客と肩を並べてすする一杯には、夜食の締めにふさわしい滋味があります。辛い麺で火照った舌を、最後にこのあっさりした一杯で鎮める——そんな二段構えのはしごも、広島の夜食ならではです。
夜食をめぐる実用メモ
深夜の店をはしごするなら、拠点は流川・薬研堀かエキニシに絞るのが効率的です。流川へは路面電車の胡町・八丁堀電停、エキニシは広島駅からいずれも徒歩圏。ただし路面電車はおおむね深夜0時前後で終わるため、終電を逃したらタクシーか徒歩移動が前提になります。人気のお好み焼き店や汁なし担々麺の専門店は、金曜・土曜の深夜に行列ができることもあるので、待ち時間を見込んでおくと安心です。価格はお好み焼きが700〜1,000円前後、麺類はおおむね800〜1,000円前後が相場の目安。一晩で「辛い麺」と「鉄板の一枚」を両方はしごするのも、広島ならではの夜食の楽しみ方です。
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