メインコンテンツへスキップ
SOROU.JP日本全国情報ポータルサイト
広島のミュージアム散歩|広島平和記念資料館と広島県のアート
観光・体験
11分で読める

広島のミュージアム散歩|広島平和記念資料館と広島県のアート

広島平和記念資料館──記憶を受け継ぐ場所

広島のミュージアム巡りを語るうえで、広島平和記念資料館は絶対に外せない存在です。1955年の開館以来、世界中から年間100万人以上が訪れるこの資料館は、単なる歴史施設ではなく、核兵器廃絶への誓いを未来へ伝えるための生きた証言の場として機能しています。

本館・東館に分かれた展示では、1945年8月6日の爆発直後の広島を再現した立体模型をはじめ、熱線で溶けた瓦や変形した鉄骨、被爆者の遺品や写真が静かに、しかし圧倒的な力で来館者に語りかけてきます。とりわけ子どもたちの遺品コーナーは言葉を失うほどの重みがあります。白血病と闘いながら千羽鶴を折り続けた佐々木禎子さんの折り鶴の実物もここで見ることができ、その小さな紙片に込められた願いは、訪れる人の胸に深く刺さります。

2019年にリニューアルした東館では、被爆者本人の証言映像や、原爆投下に至る歴史的経緯をていねいに辿るパネル展示が加わりました。展示の流れは時系列で整理されており、初めて訪れる方でも核時代の全体像を理解しやすい構成になっています。

入館料は大人200円(2024年時点)と良心的。音声ガイド日本語・英語・中国語・韓国語の4か国語対応)は別途320円で借りられ、展示の背景をより深く理解したい方には強くおすすめします。混雑を避けるなら開館直後の8時30分か、夕方17時以降が狙い目です。見学の所要時間は最低でも90分、じっくり鑑賞するなら3時間は確保したいところです。

広島市現代美術館──丘の上のアート体験

広島平和記念資料館から路面電車と徒歩で約30分、比治山公園の頂上に広島市現代美術館があります。1989年に日本初の公立現代美術館として開館したこの施設は、黒川紀章設計の建物自体が一つの芸術作品です。ポストモダン建築の巨匠が手がけた外観は、幾何学的なフォルムと瀬戸内の光が交差する独特の佇まいを見せ、美術館に足を踏み入れる前から鑑賞体験が始まります。

常設展では国内外の現代アートを約350点所蔵しており、草間彌生、岡本太郎、アンディ・ウォーホルといった著名作家の作品も含まれています。なかでも広島の被爆体験を現代美術の文脈で昇華させた作品群は、この美術館ならではの視点を提供しており、戦後日本の美術史を語るうえで欠かせない展示といえます。企画展の質も高く、年間を通じて話題の展覧会を開催しています。常設展の観覧料は一般520円で、企画展は内容によって変動します。

美術館周辺の比治山公園は桜と紅葉の名所でもあり、春秋の訪問時には美術鑑賞と自然散策を組み合わせた半日コースがおすすめです。公園頂上からは広島市街と宇品港を一望でき、晴天時には瀬戸内の島々まで見渡せます。カフェも併設されているため、鑑賞後にゆっくりと余韻を楽しむこともできます。

ひろしま美術館と広島県立美術館──西洋絵画から日本美術まで

平和記念公園に隣接するひろしま美術館は、印象派・後期印象派を中心とした西洋絵画のコレクションで高い評価を受けています。モネ、ルノワール、ゴッホ、セザンヌ、ピカソなど、教科書で見覚えのある名画が間近で鑑賞できる広島屈指の私立美術館です。1978年に広島銀行の創立100周年を記念して設立された背景には、被爆地の復興と文化振興への強い意志が込められています。観覧料は一般1,200円。館内のミュージアムショップには良質なアートグッズが揃い、旅の土産としても人気があります。

平和記念公園からは徒歩5分圏内にあるため、資料館と合わせて午前中のうちに両方を訪れることも可能です。「平和の場から美の場へ」というルートは、広島が持つ多面的な魅力を一日で体感できるコースとして旅行者に支持されています。

一方、広島城から徒歩10分ほどの場所にある広島県美術館は、江戸時代の大名庭園・縮景園と隣接するユニークな施設です。庭園入場券(260円)との共通チケットを購入すれば、美術鑑賞と日本庭園散策を組み合わせた充実した時間が過ごせます。コレクションの目玉は広島ゆかりの作家や近代日本画の充実したラインナップで、平山郁夫が広島・平和を題材に描いた大作は必見です。その精緻な描写と静謐な世界観は多くの来館者を惹きつけています。サルバドール・ダリの作品も複数所蔵されており、シュルレアリスムの世界に浸れる空間も魅力のひとつ。常設展のみなら一般510円からと、気軽に立ち寄れる価格設定です。

尾道・路地裏アートさんぽ──一泊延ばす価値あり

広島市内のミュージアムを巡った翌日には、JRで約1時間の尾道への小旅行もぜひ検討してください。坂と路地と猫の街として知られる尾道は、その独特の景観が多くのアーティストや映画人を引き寄せてきました。小津安二郎、大林宣彦が映画の舞台に選び、現代でも写真家や画家が移住を続ける創造の土地です。

「尾道空き家再生プロジェクト」が手がけるゲストハウス古民家カフェ、路地に点在するギャラリーは、既成のミュージアムとは一味違う生きたアート空間です。千光寺山ロープウェイで山頂へ上がれば尾道水道と向島を望むパノラマが広がり、散策しながら現役作家の作品に触れることもできます。街全体がひとつの美術館として機能しており、地図を片手にアート作品を探しながら歩く体験は、旅の記憶に深く刻まれます。

広島ミュージアム巡りのモデルプラン

広島のアートと歴史を余すことなく体感するなら、最低でも二泊三日のスケジュールを組むことをおすすめします。

1日目:午前中に広島平和記念資料館とひろしま美術館を訪問。午後は路面電車で比治山公園へ移動し、広島市現代美術館で現代アートを堪能。夜は本通商店街近辺で広島牡蠣や汁なし担担麺を楽しんでください。

2日目:午前は広島城と広島県美術館・縮景園のセットで歴史と庭園美を味わい、午後のJRで尾道へ。夕暮れ時の千光寺山から眺める尾道水道は格別です。

3日目:尾道の路地裏ギャラリーをゆっくり散策して帰路へ。

平和と歴史の資料館から現代アート、印象派の名画、創造的な地域再生の現場まで、多様な表現が重なり合うこの地域は、日本でも屈指のミュージアム散歩の舞台です。広島が持つ深い記憶と豊かな美の両面を、ぜひ自分の足で確かめてください。

シェアする

Written by

伊藤 健一

フードコーディネーター

この記事のエリアで観光・体験を探す

日本刀×日本文化体験

観光スポットと刀剣文化をつなぐ多言語展開。