グルメ
那覇のB級グルメ食べ歩き — 沖縄そば・ポーク玉子・公設市場・氷ぜんざい
那覇の食は「マチグヮー」から始まる
那覇のB級グルメを味わうなら、まず向かうべきは「マチグヮー」と呼ばれる市場街です。沖縄随一の繁華街・国際通りはみやげ物店やカフェが軒を連ねる賑やかな大通りですが、地元の食の体温が感じられるのは、そこから一本南へ入った平和通りや市場本通りといったアーケード商店街。さらに奥には小さな食堂や惣菜店が密集する迷路のような路地が広がり、観光客と地元客が肩を並べて湯気の立つ皿をのぞき込みます。
アクセスは沖縄都市モノレール「ゆいレール」が便利で、国際通り周辺は県庁前駅・美栄橋駅・牧志駅の三駅でカバーできます。市場エリアへは牧志駅が最寄り。那覇空港駅からゆいレール一本で十数分という近さなので、到着初日や帰りの便を待つ数時間でも食べ歩きに繰り出せるのが那覇らしいところです。国際通りは正午前後のランチタイムに混み合うため、ゆっくり味わうなら午前の早い時間か、午後三時すぎの落ち着いた時間帯が狙い目です。
那覇で食べ分ける「沖縄そば」
那覇の食の主役は、なんといっても沖縄そば。蕎麦粉ではなく小麦粉を使った独特の麺で、豚骨とカツオの合わせ出汁を効かせたスープが基本です。じつは「そば」と名乗ること自体に歴史があり、蕎麦粉を含まないことから公正取引委員会と名称をめぐる議論が起き、1978年10月17日に「本場沖縄そば」として正式に認められました。この日にちなみ、沖縄では10月17日が「沖縄そばの日」とされています。
注文時に覚えておきたいのが、トッピングによる呼び分けです。豚の三層ばら肉(皮・脂・赤身が三枚に重なるので三枚肉)をのせれば「沖縄そば」、骨付きあばら肉をとろとろに煮込んだものをのせれば「ソーキそば」。同じ店でも別メニューとして並ぶことが多いので、好みで選び分けてみてください。
もう一つ、那覇の老舗系の店で出会えるのが木灰(もくはい)そば。かんすいが普及する以前、ガジュマルなどの木を焼いた灰を水に溶かし、その上澄みを麺のつなぎに使う伝統製法です。独特のコシと香りが生まれ、昔ながらの味を守る店ほどこの製法を掲げています。価格は一杯およそ700〜1,000円前後が目安で、ソーキそばはやや高めに設定されることが多いです。
「沖縄の台所」第一牧志公設市場
那覇の食べ歩きで外せないのが、牧志のアーケード奥に建つ第一牧志公設市場です。老朽化に伴う建て替えを経て、2023年3月に元の場所でリニューアルオープンしました。一階には色鮮やかな県産魚、豚の顔の皮「チラガー」、島野菜などが所狭しと並び、沖縄の食材を眺めて歩くだけでも楽しい空間です。
この市場ならではの体験が「持ち上げ」と呼ばれる仕組み。一階の鮮魚店や精肉店で食材を買い、それを二階の食堂へ「持ち上げて」調理してもらい、その場で食べられるというものです。1990年に始まったこの文化のおかげで、青くゆらめくイラブチャー(ブダイ)の刺身やバター焼き、グルクンの唐揚げなど、市場で選んだばかりの食材を好みの調理法で味わえます。二階には食堂が複数並び、沖縄そばなどの定番もそろうので、持ち上げと合わせてお腹を満たせます。調理代は一品ごとに別途かかるため、買うときに食堂で調理してもらう前提だと伝えておくとスムーズです。
片手で頬張る那覇の軽食
食べ歩きの相棒として那覇で愛されているのがポーク玉子おにぎり、地元では「ポーたま」とも呼ばれるソウルフードです。戦後のアメリカ統治期に広まった缶詰のポークランチョンミートを焼き、薄焼き卵と合わせてご飯と海苔で挟んだもの。塩気のあるポークと甘い卵の組み合わせが白米に絡み、片手でかぶりつける手軽さが魅力です。
このおにぎりの専門店の本店は、市場にほど近い那覇市松尾にあります。市場(マチグヮー)で働く人たちが、仕事の合間に片手でさっと食べられるようにと開いたのが始まりとされ、まさに那覇の市場文化が生んだ一品です。具材は定番のポーク玉子のほか、ゆし豆腐やエビフライなどバリエーションも豊富。一個およそ300〜500円前後が目安で、朝早くから営業する店も多く、食べ歩きのスタートにうってつけです。
市場周辺の食堂をのぞけば、沖縄の家庭料理チャンプルーも外せません。「混ぜこぜ」を意味する炒め物で、苦味のあるゴーヤーをしっかりした島豆腐や卵、ポークと炒め合わせたゴーヤーチャンプルーが代表格。島豆腐の食べ応えとポークの塩気が効いて、定食にすれば700〜1,000円程度でしっかり満腹になります。
甘味のしめは氷ぜんざいとサーターアンダギー
暑い那覇の食べ歩きで体をクールダウンさせるなら、氷ぜんざいを。本土の温かいぜんざいとは別物で、沖縄でぜんざいといえば甘く煮た金時豆の上にふんわりかき氷を盛った冷たいスイーツを指します。もとは押し麦と豆を黒糖で煮た「あまがし」が原型で、戦後に小豆より手に入りやすかった金時豆が使われるようになったと伝わります。店によっては昔ながらの押し麦が入っていたり、白玉や練乳をのせたりとアレンジもさまざま。価格は一杯およそ400〜600円前後が目安です。
揚げ菓子のサーターアンダギーも忘れずに。首里の言葉で「サーター(砂糖)」+「アンダ(油)」+「アギ(揚げ)」、つまり「砂糖を油で揚げたもの」を意味し、表面がぱっくり割れた球形が特徴です。ドーナツより水分が少なく、外はカリッと中はずっしり詰まった食感で、縁起物として祝い事にも振る舞われます。公設市場の二階には1992年から続くサーターアンダギーの専門店もあり、揚げたてを一個百数十円程度から味わえます。
那覇の食べ歩き実用メモ
那覇の市場グルメは、店ごとに営業時間や定休日がまちまちです。市場で働く人向けに朝から開く店もあれば、夕方には早じまいする食堂もあるため、お目当てがある場合は午前から昼すぎを軸に動くと取りこぼしが少なくなります。アーケード商店街は雨でも濡れずに歩けるので、にわか雨の多い沖縄では心強い味方です。
ここで挙げた価格はいずれも一般的な相場の目安で、店や時期によって上下します。沖縄そばで一食、ポーク玉子おにぎりやサーターアンダギーを手に市場を歩き、しめに氷ぜんざい——ゆいレール沿いの徒歩圏だけでこれだけの那覇の味が完結します。タコライスのように県内には魅力的なご当地グルメが他にもありますが(発祥は那覇から北の金武町です)、まずは那覇の台所・マチグヮーを起点に、自分の足で見つけた一皿を楽しんでみてください。
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