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那覇で味わう亜熱帯の旬カレンダー|島野菜・南国フルーツ・近海マグロを公設市場で
グルメ
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那覇で味わう亜熱帯の旬カレンダー|島野菜・南国フルーツ・近海マグロを公設市場で

那覇の旬は「四季」ではなく「亜熱帯のリズム」で動く

本土の旬カレンダーをそのまま那覇に当てはめると、ことごとく外れます。那覇が位置する沖縄本島南部は亜熱帯気候で、真冬でも日中の気温が15度を下回ることはまれ。雪も霜もなく、「長い冬を越えた」「梅雨明けの初鰹」といった本土的な季節の物差しは通用しません。

そのかわり、那覇には亜熱帯ならではの旬のリズムがあります。3〜5月の島野菜の芽吹き、6〜9月に一斉に実る南国フルーツ、秋から冬にかけて色づく在来の柑橘、そして一年を通して水揚げされる近海マグロ。本州が雪に閉ざされる1〜2月に、那覇では完熟のたんかんが店先に積まれます。この記事では、那覇の台所である第一牧志公設市場と、泊漁港の泊いゆまちで実際に出会える食材を軸に、亜熱帯の旬を季節ごとにたどります。

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春先(3〜5月)―島野菜が芽吹く季節

那覇の食卓に春の訪れを告げるのが島らっきょうです。本土のらっきょうより細く香りが強い在来種で、旬は3〜5月の春先。塩漬けや天ぷらにすると独特の辛みと香りが立ち、泡盛の肴の定番になります。第一牧志公設市場や周辺の青果店では、この時期に泥付きの島らっきょうが束で並びます。

沖縄の伝統的な葉野菜ハンダマ(和名スイゼンジナ)も、11〜5月にかけてが旬。表が緑、裏が赤紫の葉を持ち、茹でるとぬめりが出るのが特徴で、和え物や雑炊で滋味深く味わえます。同じく冬から春にかけては、琉球王国時代の宮廷料理にも使われた縁起物田芋(ターンム)が12〜4月に旬を迎えます。きめ細かい粘りのある芋で、田楽やぜんざいに姿を変え、祝い膳に欠かせない食材として今も親しまれています。

この季節、海では海ぶどう(クビレズタ)が充実期に入ります。一年を通して養殖されますが、生育に適した水温24度前後となる春と秋に房がぷりぷりと締まり、いちばんおいしいとされます。プチプチとした食感は「グリーンキャビア」とも呼ばれ、市場の鮮魚店や海産物店でその場の試食もできます。

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盛夏(6〜9月)―南国フルーツと夏野菜が主役

那覇の夏は、亜熱帯の恵みがもっとも華やぐ季節です。

夏野菜

沖縄を象徴するゴーヤー(にがうり)は4〜7月が旬。苦みと歯ごたえがチャンプルーに合い、夏バテ防止の野菜として食卓に欠かせません。同じ夏野菜のナーベーラー(へちま)も7〜9月が旬で、若い実を味噌で炒め煮にした「ナーベーラーンブシー」はとろりとした口当たりが涼を呼ぶ家庭料理。市場ではゴーヤーとナーベーラーが夏野菜の二枚看板として山と積まれます。

南国フルーツ

果物の主役はやはりマンゴー。旬は6〜9月で、7月中旬ごろに赤く色づくアップルマンゴー(アーウィン種)が最盛期を迎えます。8月下旬から9月上旬には、緑色のまま完熟する大玉のキーツマンゴーも登場します。同時期に旬を迎えるのがパイナップル(6〜9月)で、酸味と甘みのバランスが本土流通のものとはひと味違います。9月に入ると、皮ごと食べられる小ぶりの島バナナ(9〜10月)も顔を出し始めます。これらは贈答用の化粧箱から市場の量り売りまで価格帯が幅広いので、その場で食べるなら相場を見て少量から試すのがおすすめです。

夏の魚

夏の海といえば沖縄の県魚グルクン(タカサゴ)。鮮やかな体色から県の魚に選ばれた大衆魚で、唐揚げにして頭から尾まで食べるのが定番です。一年中漁獲されますが、味がのるのは秋口とされます。市場の鮮魚コーナーには、青く発色したイラブチャー(ナンヨウブダイ)も並びます。見た目の派手さに反して白身は上品な旨みがあり、刺身やバター焼き、天ぷらで楽しめる高級魚です。なお、よく似た名前の「アオブダイ」は毒を持ち食用にできない別の魚なので、市場で扱われているのはあくまでイラブチャーである点は覚えておくとよいでしょう。

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秋から冬(10〜2月)―在来の柑橘が色づく

本土が紅葉に向かうころ、那覇では在来のミカン類が旬を迎えます。

シークヮーサーは収穫期が長く、用途で時期が分かれるのが面白いところ。8〜9月の青いうちは酢の物や刺身の酸味づけに、10〜12月中旬はジュース加工用に、そして12月下旬〜2月下旬には黄色く熟して生食用として出回ります。料理に絞りかけるあの爽やかな酸味は、那覇の食卓の隠れた主役です。

そして沖縄の冬を代表する果物がたんかん。旬は1〜2月で、ポンカンとネーブルの自然交雑とされる濃厚な甘さの柑橘です。本州が雪に埋もれる真冬に、那覇では完熟のたんかんが市場や直売所に積み上がる――この光景こそ亜熱帯の旬の象徴といえます。野菜では、ハンダマや田芋に加え、紅イモ(8〜1月)が冬の甘みとして出回ります。

海ではもずくが沖縄の主力水産物として通年流通し、酢の物や天ぷらで親しまれます。

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通年の主役―那覇は「まぐろの街」

季節を問わず那覇の食を支えているのがマグロです。沖縄県で水揚げされる魚はマグロ類が漁獲量の6割超を占め、近海に漁場があるため冷凍されず生鮮のまま港に届くのが大きな特徴。本州の市場で「生マグロ」が珍重されるのと違い、那覇では生マグロが日常の魚なのです。

マグロは種類ごとに旬がずれるため、結果として一年中おいしい本マグロやメバチ、キハダのいずれかが手に入ります。おおよそ本マグロ(クロマグロ)は4〜7月、キハダは4〜8月、メバチは8〜3月、ビンナガ(ビンチョウ)は11〜4月が旬とされ、市場の鮮魚店では赤身から中トロまで切り身で並びます。

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旬を体感する―那覇の二大マーケット

第一牧志公設市場

国際通りからほど近い第一牧志公設市場は、戦後間もない1950年に開設され、2023年にリニューアルした那覇の台所です。1階に精肉・鮮魚・生鮮など約75店舗が軒を連ね、2階には食堂が並びます。名物が「持ち上げ」――1階で買った魚や島野菜を2階の食堂に持ち込み、おすすめの調理法で仕立ててもらえる仕組みです。旬のイラブチャーを刺身に、グルクンを唐揚げに、その日の食材をその場で味わえるのが醍醐味です。

泊いゆまち

マグロを狙うなら、那覇市北西部の泊漁港に隣接する泊いゆまちへ。「いゆ」は魚、「まち」は店を意味する方言で、23ほどの店が新鮮な魚介を売ります。近海の生マグロが直送され、水揚げは一日平均およそ20トン、そのうち約7割がマグロというまさに「まぐろ市場」。早朝5時のセリは事前申し込みで見学でき、奥のガラス張りの解体室ではマグロの解体を眺められることもあります。

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まとめ―那覇の旬は本土の物差しを捨てて味わう

那覇で旬を楽しむコツは、本土の四季の感覚をいったん手放すことです。春先の島らっきょう、盛夏のマンゴーとゴーヤー、秋冬のシークヮーサーとたんかん、そして通年の生マグロ。雪も霜もない亜熱帯だからこそ生まれる独自の旬のリズムを、第一牧志公設市場と泊いゆまちで五感ごと味わってみてください。価格は時季や品によって変わるので、市場では相場を見ながら少量ずつ試すのが、旅先での賢い旬の楽しみ方です。

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Written by

高橋 大地

アグリツーリズム推進者

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