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高知市で味わう旬の食材カレンダー|カツオの二季と土佐湾・里の恵み
グルメ
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高知市で味わう旬の食材カレンダー|カツオの二季と土佐湾・里の恵み

カツオに二度の旬がある町

高知市の食を語るうえで外せないのが、年に二度の旬を迎えるカツオです。一般に魚の旬は一年で一度ですが、黒潮に乗って太平洋を回遊するカツオは、北上する春と南下する秋とで、高知の食卓に二度顔を出します。

春(3〜5月頃)に獲れるのが初鰹(はつがつお)、別名「上り鰹」。エサを追って北上する途中のカツオで、脂は控えめ、身が締まってさっぱりとした味わいです。これに対し秋(9〜11月頃)の戻り鰹(もどりがつお)は、北の海でたっぷり太って南下してくるため、脂がのって身はもっちり。同じ魚とは思えないほど性格が変わります。「初鰹はさっぱり、戻り鰹はこってり」と覚えておくと、訪れる季節で食べ比べる楽しみが生まれます。

高知市内なら、高知城のすぐそばにあるひろめ市場が起点に便利です。多くの飲食店が一つ屋根の下に集まる屋台村のような市場で、名物の藁焼きタタキを目の前で炙ってもらえます。塩で食べる「塩タタキ」も土佐ならではの食べ方。市場のほか、中心市街地の居酒屋や日曜市の界隈でも、季節のカツオに出会えます。水揚げの本場は高知市から西へ車で約1時間の中土佐町久礼など県内各地で、そこから新鮮なカツオが市内へ運ばれてきます。

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春(3〜5月)── 海が動きだす

春は土佐湾がにわかに賑わう季節です。前述の初鰹に加えて、この時期ならではの小さな海の幸が食卓に並びます。

代表格がドロメ。カタクチイワシなどイワシ類の稚魚で、よそで言う「生しらす」を高知では透き通った姿のまま指してこう呼びます。イワシが産卵期を迎える4〜5月頃が旬で、身が締まって甘みが増します。土佐特産の青ねぎとぬたを合わせた「土佐ぬた」や、三杯酢でつるりといただくのが定番。土佐の地酒の肴としてこれ以上ない一品です。春には香南市赤岡で大杯の酒を競う「どろめ祭り」も開かれ、地元の春の風物詩になっています。

春はカツオの仲間であるハガツオも旬を迎えます。県西部の宿毛などで揚がり、春のものは魚体が大きく、鮮度の良いものは刺身でも楽しめます。山里に目を向ければ、温暖な気候を生かして栽培される葉物や山菜が出回り、海と里の両方から春の便りが届くのが高知らしさです。

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夏(6〜8月)── 太陽が育てる味

年間日照時間が長く温暖多雨な高知の夏は、野菜と柑橘の季節です。

まず高知が全国に誇るのがナス。生産量・産出額ともに全国トップで、なかでも県東部の安芸地区が県内生産の大半を占めます。ハウス栽培で一年を通して出荷されますが、太陽をたっぷり浴びる夏は家庭の食卓でも主役。ヘタまで丸ごと大きい米ナスは田楽や焼きナスで存在感を放ちます。ミョウガは全国シェアの大半を高知が占める圧倒的な産地で、薬味として一年中流通しますが、香りが立つ夏に最も食べたくなる一品。さらにニラも全国有数の産地で、シシトウショウガピーマンといった夏野菜も全国上位の生産を誇ります。

海では、高知の夏を象徴する希少な味が登場します。メジカ(ソウダガツオ)の新子です。生後1年に満たない稚魚を指し、傷みが早いため産地周辺でしか味わえず、流通するのは8月から9月半ばまでのごく短い期間だけ。中土佐町久礼や須崎が主な産地で、薄く引いた刺身にぶしゅかんという青い香酸柑橘をきゅっと絞っていただきます。この時期、地元の鮮魚店では新子が主役になり、名物のカツオが脇に追いやられるほどの人気ぶりです。

柑橘では、爽やかな酸味の小夏(こなつ)が6〜8月の旬。日向夏やニューサマーオレンジとも呼ばれ、白いワタを少し残して皮ごと薄切りにし、リンゴのように食べるのが高知流です。

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秋(9〜11月)── 実りの最盛期

秋は海も里も実りで満ちる、高知の食が最も豊かになる季節です。

海の主役は再び戻り鰹。9月頃から南下してくる脂ののったカツオが市場を賑わせます。夏のメジカの新子から戻り鰹へと、土佐湾の味は途切れることなくバトンを渡していきます。

里の楽しみは新高梨(にいたかなし)。高知を発祥の一つとする大玉の梨で、大きいものは直径20cmを超えるほど。糖度が高くみずみずしく、旬は9月末から11月頃と意外に短いのが特徴です。高知市の針木地区や佐川町の黒岩地区が主な産地で、秋の贈答にも喜ばれます。

秋が深まると、県東部の馬路村や北川村など山あいの集落でゆずの収穫が本格化します。高知はゆずの生産量全国一を誇り、香り高い果汁や皮は薬味・調味料として一年中、土佐の食卓に欠かせません。鍋物にひと搾り、刺身に添えてと、これからの寒い季節に向けて出番が増えていきます。

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冬(12〜2月)── 脂と甘みの季節

冬の土佐湾は脂ののった魚の季節です。寒さとともに身を肥やしたブリが旬を迎え、刺身やしゃぶしゃぶ、照り焼きで体を温めてくれます。

もう一つの冬の名物が清水サバ。足摺岬に近い土佐清水沖で一本釣りされるマサバで、旬の10〜2月、とりわけ脂がのる冬場は「トロサバ」とも呼ばれるほど。鮮度の良いものは生で味わえ、ゴマと醤油だれで和える「土佐の皿鉢(さわち)」風の食べ方や、刺身でその脂を堪能できます。

果物の冬の主役は土佐文旦(とさぶんたん)。高知を代表する大玉の柑橘で、露地ものは1月から4月にかけて出回り、最も多く店頭に並ぶのは2〜3月。ぷりっとした果肉とほろ苦さを含む爽やかな甘さが身上です。土佐市や宿毛市、香南市が主産地で、温室育ちの水晶文旦は秋の終わりから先んじて登場します。冬の高知を訪れたら、ぜひ皮を厚くむいて房ごとほおばってみてください。

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一年を通じて食卓を支える「ゆず」と高知の食文化

季節ごとの旬を彩る一方で、高知には一年中、食を底から支える存在があります。秋に収穫されるゆずは果汁・果皮として保存され、刺身や鍋、土佐酢に姿を変えて通年で活躍します。同じく薬味のミョウガやショウガ、青ねぎも、高知ならではの「香りの文化」を年中支えています。

こうした旬の食材が一堂に会するのが、繰り返しになりますが高知市中心部のひろめ市場であり、週末に追手筋で開かれる日曜市です。日曜市では地元の農家が文旦や小夏、新高梨、季節の野菜を直売し、その時々の旬がそのまま店先に並びます。

なお、ここで紹介した旬の時期はその年の海況・天候で前後します。価格は一般的な相場で、市場や時季によって変動するものとお考えください。海の幸と里の幸が二度三度と旬を重ねる高知市は、いつ訪れても「今がいちばん」の味に出会える、稀有な食の町です。

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Written by

中村 陽子

クラフトジャーナリスト

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