
Auberge Né(オーベルジュ ネ)
GALLERY
新潟県新発田市の田園地帯に、一日一組のためだけに開くオーベルジュがある。その名は「Né(ネ)」——日本語で「根」、フランス語で「生まれた」を意味する言葉だ。「味わうために、泊まる」というコンセプトのもと、料理・建築・土地が一体となってつくり出す、ここにしかない一夜を体験できる場所である。
シェフ布施真が紡ぐ、13皿の新潟
Néの料理を手がけるのは、フランスでアントワーヌ・ヴェスターマンのもとで部門料理長を務めた経歴を持つシェフ、布施真。その視線はつねに新潟の大地へと向かっている。山菜、川魚、季節の野生肉、海の幸——これらを軸とした県産食材を一皿ずつ丁寧に解いていくコースは全13皿構成だ。
単なる旬の食材使用にとどまらない。酒は新潟の酒蔵とワイナリーから選りすぐり、料理との対話を通じて「その日その季節にしか成立しない」食卓を構成する。「旬を超えたコース」と表現されるゆえんは、素材が持つ時間や土地の記憶まで皿に込めているからだろう。食材の産地を辿れば、新潟という土地の輪郭がくっきりと浮かびあがる。
土と木から生まれた、受賞建築
Néの空間は、建物そのものが体験の一部だ。大量のコンクリート基礎に頼る現代建築とは一線を画し、105本の木杭と、半年をかけて発酵させた土壁を核に建てられている。掘削も、残土も出さない——大地に負荷をかけない設計思想が隅々まで貫かれている。
この建築は国際的にも高く評価された。80カ国以上からの一般投票によって選ばれるArchitizer A+Awards 2026「Architecture + Environment」部門のPopular Choice Winnerに選出されている。土と木という素材の誠実さが、世界の目に届いた証左だ。
かつての本間家の地に宿る物語
Néが立つのは、かつてこの地を拓き守り継いできた本間家旧居の一角(新潟県新発田市石喜180)。田も、畑も、山も、海も、まだここにある——しかし、それを育て、採り、運び、継ぐ人と仕組みは少しずつ細くなっている。Néはその現実を見据えながら、この土地に残る資源と仕事を、料理と建築という手段によって別の価値へ編み直し、次の世代へ渡すために生まれた場所だ。
「Timeless Traditions, Evolving Forward(受け継いだ伝統を、未来へ更新しつづける)」——このフレーズに、Néが目指すものが凝縮されている。
感覚を澄ませてから、食卓へ
一日の流れも、Néの体験設計の一部だ。チェックイン後、夕食までの静かな時間には、敷地に隣接するバレルサウナ「sui」のプライベートエリアで汗を流すことができる。心身を整え、感覚を澄ませてから食卓へ向かうという流れは、13皿のコースをより深く受け取るための準備となる。
食後もあわただしく散会することはない。食事の余韻を、自分たちだけの空間でゆっくりと咀嚼する時間が用意されている。翌朝、昨夜の余韻とともにこの土地をあとにするまでが、一つの体験として完結している。
アクセスと送迎
東京からは上越新幹線で新潟まで約2時間、在来線で新発田駅まで約40分、合わせて約3時間の道のりだ。宿泊ゲストに限り、新発田駅・新潟駅・新潟空港からの無料送迎も利用できる(事前連絡が必要)。街を離れ、田に分け入り、門をくぐれば——そこから先は、訪れた一組と土地だけの世界が始まる。
アクセス
新発田駅・新潟駅・新潟空港より無料送迎あり(宿泊客のみ、要事前連絡)
店舗詳細
- 対応言語
- 日本語 / 英語
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