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松山の町歩きガイド——松山城・道後温泉・石手寺をめぐる散策コース
観光・体験
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松山の町歩きガイド——松山城・道後温泉・石手寺をめぐる散策コース

いで湯と城と文学のまちを、歩いて巡る

松山市は「いで湯と城と文学のまち」と称されるとおり、町の真ん中に山城がそびえ、東のはずれに古い歴史をもつ温泉街が湯けむりを上げる、散策にうってつけのコンパクトな城下町です。中心市街地から道後温泉までは伊予鉄道の市内電車(路面電車)一本で結ばれ、見どころが半径数キロの中に収まっているため、歩きとチンチン電車を組み合わせれば一日で「城・湯・文学」の三つの顔を巡れます。ここでは旅行者目線で、松山ならではの散策コースを順に紹介します。

町の中心にそびえる松山城へ登る

松山の散策は、まず標高132メートルの勝山にそびえる松山城から。市街地のどこからでも見上げられるこの平山城は、山頂に本丸、裾野に二之丸と三之丸を配した構えで、現存十二天守の一つに数えられます。アーケード街・大街道の北の出口から、土産物店の並ぶ坂道「ロープウェイ街」を5分ほど上ると、東雲口(しののめぐち)の乗り場に着きます。ここからロープウェイかリフトで八合目付近まで上がれ(乗車時間は数分)、そこから本丸までは石垣を見上げながらの心地よい登りです。標高161メートルの天守最上階からは、松山平野と瀬戸内海まで見渡せます。麓から徒歩で登る道もあり、天守の観覧を含めると往復1時間半ほどを見ておくと安心です。

下りは、国の名勝に指定された二之丸史跡庭園や、堀之内(三之丸)跡を整えた城山公園へ。芝生が広がる城山公園は桜と紅葉の名所で、城を仰ぎながらのんびり歩けます。

大街道・銀天街——城下のアーケードを抜ける

城の麓に戻れば、松山随一の繁華街であるアーケード街の散策が待っています。大街道(おおかいどう)一番町通りから千舟町通りまで南北に延びる全長約483メートルの全蓋式アーケードで、幅15メートル・天井高13メートルの開放感あるドーム屋根が特徴です。その南西に直角につながるのが、約600メートルと松山一の長さを誇る銀天街。衣料品店や雑貨店が軒を連ね、西の入口には四国唯一の地下街「まつちかタウン」も口を開けています。雨や夏の日差しを気にせず歩けるので、城と道後を行き来する合間の休憩や買い物にちょうどよいエリアです。

道後温泉街をそぞろ歩く

大街道駅から市内電車に乗り換え、終点・道後温泉駅へ向かいます。運賃は均一制で大人230円ほど(2026年時点の目安)、所要はおよそ15分です。タイミングが合えば、明治の蒸気機関車を復元した観光列車「坊っちゃん列車」に揺られるのも一興です。

駅前の広場・放生園(ほうじょうえん)には足湯と「坊っちゃんカラクリ時計」があり、午前8時から午後10時まで1時間ごとに、小説『坊っちゃん』の登場人物がせり上がる仕掛けが旅人を迎えます。ここから道後温泉本館へは、約250メートルのL字型アーケード「道後ハイカラ通り」を抜けて。土産物店やカフェなど約60店が並び、湯上がりにそぞろ歩くのにぴったりです。通りの先に建つ重要文化財・道後温泉本館は、5年半に及んだ保存修理工事を終えて2024年7月に全館営業を再開し、創建当時の風情がよみがえりました。

湯の街をもう少し歩くなら、駅から徒歩5分ほどの道後公園へ。中世の伊予を治めた河野氏の居城・湯築城跡を整えた約8.5ヘクタールの県立公園で、国の史跡かつ日本100名城の一つです。土塁や復元された武家屋敷をたどる道は起伏もゆるやかで、春の桜、夏のスイレン、冬の椿と、季節の花を愛でながらの散策が楽しめます。

道後から歩く、四国遍路・石手寺への道

道後の湯を堪能したら、足を延ばして石手寺へ。四国八十八ヶ所霊場の第51番札所で、道後温泉から東へおよそ1キロ、徒歩でも16分ほどの道のりです。屋根のついた参道には仲見世の土産物店が並び、お遍路さんと観光客でにぎわいます。境内には国宝の仁王門をはじめ三重塔や本堂などの文化財が立ち並び、四国遍路の元祖とされる衛門三郎(えもんさぶろう)の伝説ゆかりの寺として、ミシュランの旅行ガイドでも星付きで紹介された見どころの多い札所です。本格的な遍路装束でなくとも、道後からのこの一区間を歩けば、巡礼の道の空気を気軽に味わえます。

子規と漱石の足跡をたどる文学散策

松山は「俳都」とも呼ばれ、正岡子規を生み、夏目漱石が『坊っちゃん』を書いた文学の町でもあります。大街道のすぐ近くには、子規と秋山兄弟を描いた司馬遼太郎の『坂の上の雲』にちなむ坂の上の雲ミュージアム(建築家・安藤忠雄の設計)が建ち、その隣には大正期のフランス風洋館・萬翠荘(ばんすいそう)が往時の姿をとどめています。

子規ゆかりの地はさらに点在します。松山市駅の近くには彼が17歳まで暮らした住居を復元した子規堂、道後公園内には子規と漱石が52日間ともに過ごした「愚陀佛庵」を復した子規記念博物館があります。市内には約80か所に「俳句ポスト」が置かれ、ふと一句詠みたくなったら誰でも投函できるのも、この町ならでは。点在する句碑を探しながら歩けば、散策そのものが小さな俳句の旅になります。

歩く前に知っておきたいこと

松山の散策は、市内電車をうまく挟むのがこつです。城下町の大街道周辺と道後温泉街という二つの拠点さえ電車で結べば、城・温泉・文学・遍路道のいずれも徒歩圏内で巡れます。城は山城ゆえ本丸まで登りがあるので、城めぐりは体力に余裕のある午前のうちに。道後は湯上がりに歩くことを思えば、夕方に回すと一日の流れがきれいにまとまります。歩き疲れたら、放生園や道後公園の足湯でひと休みを。三色の坊っちゃん団子のような土地の甘味を片手に、いで湯と城と文学のまちを、自分の歩幅でゆっくり味わってみてください。

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Written by

佐藤 美紀

温泉ソムリエ

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