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高山の古い町並み

高山の古い町並み

Photo: z tanuki / CC BY 3.0 / Wikimedia Commons
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飛騨高山の古い町並み(さんまち通り)は、江戸時代の城下町の面影をそのままに残す、日本でも屈指の歴史的街並みです。酒蔵や味噌蔵が軒を連ね、格子窓越しにのぞく暮らしの気配が、訪れる人を静かな時間旅行へと誘います。

江戸から続く城下町の歴史

飛騨高山が今日のような姿を持つのは、江戸幕府の直轄地(天領)として長く管理されてきた歴史と深く関わっています。1692年から幕末まで続いた天領時代、高山は京都や大坂との交易で栄え、富を蓄えた商人たちが立派な町家を建て並べました。その際に生まれた建築様式が、現在も三之町(さんのまち)を中心とする「さんまち通り」に色濃く残っています。

出格子(でごうし)と呼ばれる木製の格子窓、低く張り出した軒先、白壁と黒塀のコントラスト——これらは飛騨の気候と商人文化が生み出した独自の景観です。明治・大正の近代化の波にも、昭和の戦災にも、この町並みは奇跡的に傷つかずに残りました。現在は国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されており、約400メートルにわたる通り沿いに約100棟の歴史的建造物が現役で立ち並んでいます。

さんまち通りの見どころ

通りを歩くと、まず目に入るのが造り酒屋の軒先に吊るされた杉玉(すぎたま)です。緑色の丸い杉の葉の玉は、新酒ができたことを知らせる伝統的なサイン。高山には現在も複数の老舗酒蔵が営業しており、試飲コーナーを設けているところも多く、飛騨の米と水から生まれた地酒を気軽に味わえます。

一之町・二之町・三之町と続く通りには、酒蔵だけでなく味噌蔵、醤油蔵、和菓子店、民芸品店が並びます。飛騨の伝統工芸である「一位一刀彫(いちいいっとうぼり)」や「さるぼぼ」の工房・販売店も点在し、職人の手仕事を間近で見ることができます。さるぼぼは飛騨地方に古くから伝わる布製の人形で、縁結びや安産のお守りとして親しまれています。赤・青・黄など色鮮やかなさるぼぼが店先に並ぶ光景は、さんまちの象徴的な風景のひとつです。

高山陣屋(たかやまじんや)も見逃せません。江戸幕府が飛騨を治めるために設けた代官所で、現存する唯一の郡代・代官所跡として国史跡に指定されています。内部の見学が可能で、当時の政務の様子や農具・刑具なども展示されており、歴史好きには必訪のスポットです。

食べ歩きの楽しみ

さんまちを歩く醍醐味のひとつが、充実した食べ歩きグルメです。なかでも飛騨牛の串焼きは、高山を訪れたらはずせない一品。霜降りの脂がじわりと溶け出す旨味は、屋外で食べるからこそいっそう格別です。1本から購入できる店が複数あり、歩きながら気軽に楽しめます。

五平餅(ごへいもち)も飛騨の定番。炊いたご飯をつぶして串に刺し、甘みそやくるみだれを塗って炭火で焼いた素朴な味わいは、何十年経っても変わらない懐かしさがあります。みたらし団子も人気で、地元の醤油を使ったシンプルなたれが特徴的です。

甘いものが好きな方には、飛騨産のりんごや野菜を使ったソフトクリームや、地元の酒粕を使ったスイーツも見つかります。季節によって顔を変えるご当地フードとの出会いも、さんまち散策の楽しみのひとつです。

四季それぞれの表情

さんまちは訪れる季節によってまったく異なる顔を見せます。春(4月中旬)には高山祭(春の山王祭)が開催され、国指定重要有形・無形民俗文化財にも指定された豪華な屋台(やたい)が町を練り歩きます。ユネスコ無形文化遺産にも登録されたこの祭りの期間中は、全国から多くの観光客が訪れ、古い町並みは祭り一色に染まります。

夏は青葉と白壁のコントラストが清涼感をもたらし、夕暮れ時の通りはとりわけ落ち着いた美しさを見せます。秋(10月上旬)には八幡祭(秋の高山祭)が行われ、春と並んで高山の二大祭りとして知られています。夜祭では提灯に照らされた屋台が幻想的な光景を演出します。

冬の高山も格別です。雪化粧した古い町並みは、日本の原風景そのもの。白い雪と黒い格子窓、灯ともしごろに窓から漏れる温かな光——その静けさの中に、この町が長い年月をかけて育んできた文化の深みを感じることができます。

アクセスと周辺情報

高山へのアクセスは、名古屋からJR特急「ひだ」で約2時間15分が一般的なルートです。大阪・京都方面からも直通の特急ひだが運行されており、乗り換えなしで到着できます。東京方面からは新幹線で名古屋まで行き、そこから乗り換えるか、高速バス(新宿〜高山、約5時間半)を利用する方法もあります。

高山駅からさんまち通りまでは徒歩約15分。途中には宮川(みやがわ)に架かる赤い中橋(なかばし)があり、朝市が立つことでも有名な風情ある風景が広がります。朝市は宮川沿いと陣屋前の2カ所で毎朝開かれており、地元の野菜や漬物、手作り工芸品などが並びます。

さんまちから足を延ばすなら、飛騨の里(飛騨民俗村)がおすすめです。合掌造りをはじめとする飛騨各地の古民家を移築・保存した野外博物館で、伝統的な農村生活を体感できます。また、奥飛騨温泉郷へのアクセス拠点としても高山は便利で、白骨温泉や新穂高温泉など名湯めぐりと組み合わせた旅程も人気です。

宿泊施設も和風旅館からゲストハウスまで幅広く揃っており、夕方に観光客が引いた後の静かなさんまちを独り占めできるのも、宿泊者だけの特権です。朝早く、まだ人が少ない時間帯に歩く古い町並みの静けさと、夕暮れ時の柔らかな光——それはどんな写真集にも収められない、自分だけの飛騨高山の記憶となるでしょう。

アクセス

JR高山駅から徒歩10分

営業時間

散策自由(店舗は9:00〜17:00が目安)

編集部最終確認: 2026-04-25 (AI抽出)

予算内訳

飲食

¥1,250

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