メインコンテンツへスキップ
SOROU.JP日本全国情報ポータルサイト
広島の散策コースガイド|水の都の川辺・庭園・平和の軸線をのんびり歩く
観光・体験
6分で読める

広島の散策コースガイド|水の都の川辺・庭園・平和の軸線をのんびり歩く

水の都・広島は「歩いて景色を読む」街

広島の市街地は、太田川がデルタの先で六本に分かれて流れる「水の都」です。本川(太田川)・元安川・京橋川・天満川・猿猴(えんこう)川・太田川放水路の六河川には約80もの橋が架かり、街を歩けば数分ごとに水面が現れます。平らなデルタの上に広がる中心部は高低差が少なく、急いで走り抜けるよりも、川と橋と庭園の景色を一つひとつ確かめながら歩くのに向いた街です。このガイドでは、ジョギングのペース配分や犬連れの設備ではなく、名所を眺め、歴史に触れ、水辺の空気を味わう「のんびり散策」の視点で、広島ならではのコースを組み立てます。

平和記念公園を「軸線」でたどる慰霊めぐり

広島の散策で最初に歩きたいのが、元安川と本川に挟まれた中州に広がる平和記念公園です。建築家・丹下健三が手がけたこの公園には「平和の軸線」と呼ばれる南北のラインがあり、平和記念資料館の本館をくぐると、原爆死没者慰霊碑、平和の灯、そして水盤の向こうの原爆ドームが一直線に並んで見えます。慰霊碑のアーチ越しにドームを望むこの構図は、立ち止まって初めて意味が伝わる設計です。

園内には大小あわせて約60もの慰霊碑・記念碑が点在しています。原爆の子の像、原爆ドームのたもとに残るレストハウス(被爆建物)など、一つずつ碑文を読みながら巡ると、ゆっくり歩いて30分から1時間ほど。歩数や距離を競うのではなく、足を止め、手を合わせる時間こそがこの公園の歩き方です。

川と雁木が描く水辺の散策路

公園を出たら、六本の川そのものを散策路として歩いてみてください。広島の川岸には「雁木(がんぎ)」と呼ばれる石段が今も約400か所残っています。干満差の大きいデルタで小舟を着けるための船着場の名残で、京橋川の雁木群は土木学会の選奨土木遺産にも選ばれています。

京橋川や元安川の岸辺には親水テラスが整い、川面を眺めるオープンカフェのテラス席が並ぶ一角もあります。店名を決めて向かうより、川沿いの遊歩道を歩きながら、その日に開いているテラスへふらりと腰かけるのが心地よい過ごし方です。価格は時間帯や店によりますが、コーヒー一杯で長く水辺の景色を楽しめます。雁木と雁木を結ぶ水上タクシー「雁木タクシー」が行き交う様子も、水の都らしい眺めの一つ。橋から橋へと岸を伝う散策は、広島でしか描けない動線です。

大名庭園・縮景園で時間を縮める

中心部の喧騒からふと離れたくなったら、京橋川のほとりに開く縮景園へ。1620年(元和6年)、広島藩初代藩主・浅野長晟が別邸の庭として築かせ、茶人としても名高い家老・上田宗箇が作庭した大名庭園です。園の名は、各地の景勝を「縮めて」写したことに由来するとされます。

中央の濯纓池(たくえいち)を、起伏のある園路がぐるりと囲む回遊式庭園で、池を縦断する石橋・跨虹橋(ここうきょう)が園の象徴です。第7代藩主・浅野重晟が一度築いた橋を取り壊させ、二度目でようやく満足したと伝わる、こだわりの一橋。ゆっくり一周しても40〜50分ほどで、春の桜、初夏の新緑、秋の紅葉と、季節ごとに表情を変えます。庭石や橋の据え方を眺めながら歩く、静かな景観散策のコースです。

広島城と城下町を歩く

もう一筋足を延ばすなら、内堀をめぐらせた広島城へ。水をたたえたお堀沿いと二の丸、城内に鎮座する広島護国神社をひとまわりすれば、デルタに築かれた城下町の成り立ちが見えてきます。

城から本通り方面へ向かう道筋には、被爆建物が点在しています。旧帝国銀行広島支店を活かした広島アンデルセン、爆風に耐えた袋町小学校、江戸後期の儒学者をしのぶ頼山陽史跡資料館など、近代と被災の記憶が重なる建物を訪ねる「被爆建物めぐり」は、半日ほどかけて歩く歴史散策にうってつけです。

比治山公園で街を見下ろす

平地の散策に変化をつけたいときは、市街地の東に浮かぶ標高71.1メートルの比治山へ。山上の比治山公園には広島市現代美術館や、15万冊以上の漫画を所蔵する広島市まんが図書館があり、園路沿いには野外彫刻が点在して、歩きながらアートを楽しめます。比治山下の電停から坂道を上がれば、徒歩でも10分ほどで山上に届きます。

登りがきつそうに思えても、ふもとと公園を結ぶ全長207.4メートルの立体遊歩道「比治山スカイウォーク」が、高低差37.5メートルを動く歩道とエスカレーターで運んでくれます。展望スポットからはデルタの街並みと六河川を一望でき、水の都の地形が手に取るように分かります。木陰の多い園路をのんびり歩けば、市街の散策とはまた違う、見下ろす視点の広島に出会えます。

歩いて結ぶ一日の動線

点在する名所は、二本の「歩く道」でつなげると一日がまとまります。一つは紙屋町から平和記念公園へ続く本通り商店街。全長577メートル、約200店が連なる全蓋式アーケードで、雨の日でも濡れずに歩けます。もう一つは、市街を東西に貫く平和大通り。幅員100メートルから「100メートル道路」とも呼ばれる全長約4キロの大路で、戦後の供木運動で植えられた並木と被爆樹木が続く緑地帯(グリーンベルト)が、歩行者の散策路になっています。

デルタの中心部は総じて平坦で、橋を渡りながらの移動も負担になりません。夏の広島は日差しが強いので、帽子と水分を備え、日陰の多い川辺や並木道を選ぶのがおすすめです。平和の軸線で祈り、川辺で水音を聞き、庭園で季節を眺める——歩く速さを落とすほど豊かに見えてくるのが、水の都・広島の散策です。

シェアする

Written by

藤田 ゆかり

子育て移住アドバイザー

この記事のエリアで観光・体験を探す

Related Columns

日本刀×日本文化体験

観光スポットと刀剣文化をつなぐ多言語展開。