観光・体験
秋田市さんぽガイド|久保田城跡から旭川沿い、秋田港まで歩いて巡る
旭川を背骨に、歩いて巡れるまち・秋田
秋田市の中心部は、城下町の名残と日本海の港町がひとつながりになった、歩いて回りやすいまちです。市街地を南北に流れる旭川(あさひかわ)を背骨に見立てると、東に秋田藩の居城だった久保田城跡の千秋公園、川沿いに広がる商人町の大町・川反(かわばた)、そして川を北へ下った先には旧雄物川河口の秋田港・土崎(つちざき)が連なります。JR秋田駅を起点に、歴史・水辺・港という三つの表情を一日で歩きつなげるのが、秋田さんぽの醍醐味です。
久保田城跡をぐるりと歩く——千秋公園
まず外せないのが、秋田駅西口から広小路(ひろこうじ)を西へ10〜15分ほど歩いた先にある千秋公園(せんしゅうこうえん)。佐竹氏20万石・秋田藩の居城、久保田城の跡を整備した都市公園で、神明山と呼ばれる小高い丘の上に二の丸・本丸が広がっています。
入口の中土橋から坂と石段を上ると、2001年に復元された表門、1989年に市制百周年を記念して建てられた御隅櫓(おすみやぐら)へと至ります。櫓の展望スペースからは秋田の市街が見渡せ、本丸を一周して胡月池(こげついけ)や緑をたどると、ゆっくり歩いて1〜2時間ほど。園内は坂と階段が多いので、歩きやすい靴がおすすめです。
水辺の新しい見どころが、駅と公園を結ぶように2024年夏に開通した大手門の堀遊歩道。お堀の上に渡した延長254メートルほどの浮桟橋で、7月から9月にかけてはハスが一面に咲きそろいます(冬期は閉鎖)。ツツジや桜、紅葉と、季節ごとに表情を変えるのも城跡公園ならでは。お堀端では夏場、パラソルの下でババヘラアイスを売る露店に出会えることもあります。
商人町の記憶をたどる大町・川反さんぽ
公園を下りて旭川を渡れば、城下町の「外町(とまち)」だった大町(おおまち)・川反のエリアです。寛永年間に土崎の商人を移して開かれた町人地で、長く秋田の商業の中心として栄えました。夜は県内随一の歓楽街として知られる川反ですが、昼間は旭川沿いの落ち着いた通りを、町の成り立ちを思いながら歩けます。
大町三丁目には、赤れんが造りの旧銀行建築を活用した赤れんが郷土館があり、そこから徒歩6分ほど・約420メートルの距離に、秋田竿燈(かんとう)まつりの竿燈を展示するねぶり流し館(民俗芸能伝承館)が建ちます。いずれも秋田駅から徒歩15分圏内。歴史的な建物と祭りの道具を見てから川反の通りへ抜ける小さな周遊は、雨の日でも楽しめる屋内まじりのルートとして重宝します。
旭川・太平川の川沿い遊歩道
平坦でのんびり歩きたい日は、川沿いの遊歩道へ。旭川は市街地を貫いて流れ、鷹匠橋(たかじょうばし)から下流はおおむね遊歩道が連続し、水面を眺めながらフラットな道を歩けます。
支流の太平川(たいへいがわ)は、春の桜並木で親しまれてきた散策路です。楢山(ならやま)・牛島(うしじま)あたりの堤防沿い、百石橋から太平大橋までの約1.5キロは、かつて約200本のソメイヨシノが川面に枝を垂らす名所でした(近年は水害対策の河川改修で並木の様子が変わっています)。牛島橋から太平川橋の区間は車が通れず、徒歩と自転車だけののどかな道。堤防の上はほぼ平坦で、足慣らしの散歩にちょうどよい区間です。旭川と太平川を合わせて川沿いをたどっていくと、健脚向けには十数キロのロングコースにもなります。
日本海を感じるウォーターフロント——秋田港・土崎
旭川をさらに北へ、JR奥羽本線で土崎方面へ向かうと、まちの雰囲気ががらりと変わります。旧雄物川の河口に建つのが、高さ143メートルのポートタワー・セリオン。地上100メートルの展望台からは、日本海と男鹿半島、市街の奥に太平山、晴れた日には鳥海山までを一望できます。
セリオン一帯は「道の駅あきた港」として整備され、ガラス張りの屋内庭園セリオンリスタも隣接します。海に向かって西を向く立地なので、夕暮れどきに歩けば日本海に沈む夕日を正面に望めるのが、土崎ウォーターフロントの特等席。土崎は古くからの港町で、ユネスコ無形文化遺産の曳山行事で知られる土崎神明社の界隈を含め、港町の路地をたどる楽しみもあります。
八橋・大森山の緑をめぐる
体を動かすことを主目的に歩くなら、市の中心部に近い八橋(やばせ)エリアの八橋運動公園が便利です。約21ヘクタールの敷地に陸上競技場や球技場が並び、施設のまわりに広く平らな園路がのびているので、信号に止められずに歩数を稼ぎたい人に向きます。
少し足をのばすなら、市の南西部・海寄りの丘にある大森山公園もおすすめ。動物園と一体になった園内には展望スペースがあり、樹々の合間から日本海を望めます。起伏のある道を歩きたい日のコースとして覚えておくとよいでしょう。
雪国の冬、それでも歩ける秋田
秋田と聞くと豪雪を思い浮かべがちですが、実は秋田市は県内ではもっとも雪の少ない地域のひとつ。平年の積雪はおおむね20センチ前後で、海沿いゆえ春の雪どけも早めです。豪雪は横手や湯沢など県南の話、と覚えておくとよいでしょう。とはいえ日本海からの風は冷たく、川沿いや公園の道は雪や凍結で滑りやすくなります。冬場は無理に水辺を攻めず、除雪された中心市街の通りや、セリオンリスタのような屋内空間を組み合わせるのが快適です。
歩く前の実用メモ
- 平坦さ:旭川・太平川の堤防、八橋の園路はほぼ平坦。千秋公園と大森山公園は坂と階段があります。
- 休憩・トイレ:千秋公園、八橋運動公園、セリオン周辺など公共施設まわりに整っています。長い川沿いは設備が途切れるので、出発前の準備を。
- クマ対策:秋田では市街地に近い場所でもツキノワグマの出没情報が出ることがあります。川沿いを郊外・山手へ延ばす場合は、最新の出没情報を確認してから歩きましょう。中心部の公園や通りの散策で過度に心配する必要はありません。
旭川を軸に、城跡・商人町・港を歩いてつなぐ——地図の上では小さく見えても、秋田の街は歩くほどに表情を変えます。自分のペースで、水辺と歴史のあいだを行き来してみてください。
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