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秋田市で夕日を見るなら——セリオン100m展望、新屋の風車、大森山の丘から望む日本海の落日
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秋田市で夕日を見るなら——セリオン100m展望、新屋の風車、大森山の丘から望む日本海の落日

西は海、北に男鹿——秋田の夕日を読む地形

秋田市で夕日を探すなら、まず街と海の向きを押さえておくと迷いません。市街地のすぐ西側が日本海に面しているため、夕方の太陽は西の海上を進み、最後は水平線の向こうへ落ちます。西の方角に高い山がないので、空が焼け始めてから陽が海に消えるまで、その一部始終を腰を据えて見られます。

景色に奥行きを与えてくれるのが、海の北寄りに長く張り出した男鹿半島(おがはんとう)です。秋田市の海辺から沖を見ると、北から北西の方向に男鹿の山々が青黒い影となって連なり、ともすれば海と空だけになりがちな日本海の夕景に、しっかりとした輪郭が加わります。南へ視線を振れば、空気の澄んだ日には鳥海山(ちょうかいさん)が独立峰のシルエットを見せます。北に男鹿、南に鳥海。この二つを左右に従えた広い海へ陽が沈むのが、秋田の夕景の基本構図です。

街の北の玄関は秋田港(土崎)、南は雄物川(おものがわ)の河口と砂浜。同じ秋田市内でも、港の展望塔から見るのと、波打ち際で待つのと、丘の上から街ごと見下ろすのとでは、夕日の見え方がまるで違います。

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ポートタワー「セリオン」——地上100mから無料で見る日本海

港側の代表格が、秋田港・土崎(つちざき)地区にそびえるポートタワー「セリオン」です。全高143メートル、地上100メートルの展望室が無料で開放され、ガラス張りの室内をぐるりと一周すれば360度の景色が手に入ります。西の日本海、北の男鹿半島、南の鳥海山、そして眼下の秋田市街——港町・秋田の骨格が一望のもとに収まります。

ここの利点は、悪天候でも夕景をあきらめずに済むこと。日本海側の秋田は風や時雨が多く、海辺に立つのがつらい日も少なくありませんが、暖かい展望室の中なら、海と空がオレンジから茜、そして紫へと移っていく様子を、ガラス越しに最後まで追えます。陽が落ちたあとに広がるマジックアワーの淡い空も見どころです。「道の駅あきた港」が足元にあるため駐車場も広く、夕方にふらりと立ち寄れます。日が暮れるとタワー自体がライトアップされ、夕景のあとは秋田市街の夜景へと楽しみがつながっていきます。

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新屋海浜公園——風車のシルエットと、雄物川が海へ出る河口

街の南西、新屋(あらや)の海岸に開けるのが新屋海浜公園です。ここの個性は、日本海へ沈む夕日と、海沿いに並ぶ風力発電の風車を同じ画面で楽しめること。ゆっくり回る白い風車の影が夕焼け空に切り絵のように浮かぶ眺めは、ほかの港町ではなかなか出会えない秋田らしい一枚です。砂浜は広く、どこからでも視界が抜けるので、波打ち際まで歩いて陽を待てます。足元の砂ではシーグラス探しもでき、散歩がてら夕日を眺めに来る地元の人の姿も見かけます。JR羽越本線の新屋駅から車で数分、駐車場もあります。

公園のすぐそばでは、雄物川日本海へと注ぎます。秋田市を貫いて新屋で海に出るこの大河の河口には新屋水門があり、周辺の遊歩道からは広い川面と海をひとつの視界に入れられます。内陸から運ばれてきた川の流れと日本海がまじわる境目に陽が傾く時間帯は、砂浜とはまた違うおだやかな夕景になります。

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浜田浜から下浜へ——人の少ない砂浜で波音とともに

にぎわいから離れて静かに日没と向き合いたい人には、新屋から海岸を南へたどる砂浜がおすすめです。浜田(はまだ)の浜田浜、さらに南の下浜(しもはま)は、夏は海水浴場としてにぎわう秋田市内の浜ですが、季節を外せば波の音と夕日だけが残ります。いずれも西へまっすぐ開いた日本海岸で、引いては寄せる波の表面に夕日の色がにじみ、空の移ろいをほぼ独り占めにできます。市街地から距離がある分、よけいな人工の灯りが少なく、刻々と濃くなる空の色がいっそう鮮やかに見えるのが、この南部の浜の良さです。

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大森山公園の展望台——丘の上から街ごと夕日に染まる

海辺に下りるのではなく、街を含めて夕日に染まる風景を高みから見たいなら、市街地の南西に位置する大森山(おおもりやま)公園へ。動物園のある丘一帯が公園になっていて、その展望台からは秋田市街と日本海をまとめて見渡せます。眼下の家並みの向こうに海があり、そこへ陽が落ちていく構図は、波打ち際で浴びる夕日とは別物の趣。日が傾くにつれて街にぽつぽつと明かりがともり、夕景から夜景への移り変わりまで一カ所で味わえます。波打ち際の新屋・浜田と、高所から見渡すセリオン・大森山。タイプの違う夕景を見比べると、秋田の夕暮れの奥行きが見えてきます。

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季節で動く日没——夏は男鹿に重なり、冬は沖の海へ

海に開けた秋田の夕日は、季節によって沈む位置が大きくずれます。日の長い夏は、太陽が西よりかなり北寄り、ちょうど男鹿半島の方向へ落ちていくため、半島のシルエットと夕日が重なる狙い目の構図になります。一方、冬の太陽は西から南寄りへ回り込み、男鹿からは離れた沖の水平線へと沈みます。冬の日没方向には目立つ陸の影がなく、海と空だけのいさぎよい夕景になるのが対照的です。南に見える鳥海山は、陽が沈む方角そのものではなく、夕空に浮かぶランドマークとして眺める位置にあると覚えておくと、構図を組み立てやすくなります。日の入り時刻の幅も大きく、夏はおよそ19時前後、冬は16時半ごろが目安。狙う日の暦を調べ、その20〜30分ほど前に着いておくと、空が染まり始める一番の見ごろを取りこぼしません。

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秋田で夕日を狙うときの実用メモ

気にかけたいのは日本海側の空模様です。晩秋から冬にかけては時雨や雪の日がぐっと増え、水平線の際までクリアに見通せる夕方は限られます。だからこそ、雲がほどけて茜が広がった日の海は、わざわざ通う価値のある表情を見せてくれます。海辺に出づらい荒天の日は、屋内から海を望めるセリオンの展望室が心強い選択肢になります。海沿いはどの季節も風が抜けて体感が下がるので、一枚多めに羽織って出かけてください。位置関係は、セリオンが北の秋田港(土崎)、新屋海浜公園・浜田・下浜・大森山公園が南西側。砂浜をいくつか巡るなら車があると動きやすく、港の展望塔と丘からの俯瞰、波打ち際の砂浜を一日で組み合わせれば、港町・秋田の夕暮れをひと通り堪能できます。

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Written by

伊藤 健一

歴史ライター

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