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金沢の夕日・夕景スポット案内 ― 北前船の港町・金石大野と日本海に沈む夕日
観光・体験
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金沢の夕日・夕景スポット案内 ― 北前船の港町・金石大野と日本海に沈む夕日

金沢の夕日は「西の日本海」が主役

金沢の夕景を読み解く鍵は、街と海の位置関係にあります。金沢城と兼六園を中心とする城下町は内陸寄りに広がり、市街地から西へ向かうと、犀川と浅野川が運んだ砂が積もってできた海岸線に出ます。その先は日本海。つまり金沢で夕日を狙うなら、基本は「西」を向けばよい、というのがいちばんの土台です。

もうひとつ覚えておきたいのが、海岸沿いの「金石(かないわ)」「大野(おおの)」という二つの港町の存在です。ここは藩政時代、北前船と醤油醸造で栄えた金沢の海の玄関口。波打ち際まで歩いて陽が海に沈むのを見るなら金石・大野の海辺、街並みごと茜色に染まる俯瞰の夕景を味わうなら卯辰山や大乗寺丘陵といった東・南の丘の上、と性格が分かれます。海に沈む夕日か、街を染める夕景か——どちらを見たいかでエリアを選ぶと、金沢の夕暮れはぐっと豊かになります。

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海の百万石が見つめる夕日 ― 金石・銭五公園

金沢の夕日でまず訪れたいのが、海沿いの港町・金石です。金沢駅から路線バスで西へ向かうと、昔ながらの町家や醤油蔵、寺社の残る古い町並みに入り、その先に金石海岸が広がります。かつては海水浴場でしたが現在は遊泳できず、いまは釣り人や散歩の人が訪れる静かな浜。だからこそ、観光地化されていない地元の海として、落ち着いて日本海に沈む夕日を眺められるのが金石らしさです。

この海辺の物語を象徴するのが、金石銭五公園(ぜにごこうえん)に立つ銭屋五兵衛(ぜにや ごへえ)の銅像です。銭屋五兵衛は江戸後期、鎖国下にいち早く交易の重要性を見抜き、北前船で国の内外を駆け巡って巨万の富を築き、「海の百万石」と称された加賀の豪商。航海服に身を包み、懐にそろばん、後ろ手に望遠鏡を握ったその銅像は、いまも遠く日本海を見つめて立っています。芝生とベンチのある園内から、海へ視線を投げる銅像のシルエットと、その向こうに沈んでいく夕日を重ねて眺める——この港町ならではの夕景は、金沢の海の歴史そのものを感じさせてくれます。金石海岸からは歩いて10分足らずです。

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ガラス越しの日本海 ― 金沢港クルーズターミナルと大野

金石から海沿いに進むと、犀川河口を境にもう一つの港町・大野へ続きます。大野もまた醤油づくりとともに歩んだ町で、いまも蔵の建ち並ぶ風情が残ります。

この一帯の夕景の新しい拠点が、金沢港に2020年開業した金沢港クルーズターミナルです。日本海の白波をかたどった屋根が特徴で、海側は全面ガラス張り。西向きに開けたガラスのファサード越しに、日本海と港の風景を一望できます。天気のよい夕方には、ガラスに映り込む空の色と、水面に伸びる陽の道を同時に楽しめるのがこの場所の魅力です。ターミナル内には金沢港を見渡すレストランもあり、寒ブリやノドグロ、甘エビ、加能ガニといった地物の魚介が集まる「金沢港いきいき魚市」も目と鼻の先。夕景を見る前後に、港町らしい食の時間を組み込めます。建物の営業時間内に合わせて訪れれば、屋内から落ち着いて日没を待てるのも、北陸の変わりやすい天気には心強い選び方です。

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街並みを染める夕景 ― 卯辰山公園見晴らし台

海辺に下りず、城下町ごと夕日に染まる風景を俯瞰したいなら、市街地の東にそびえる卯辰山(うたつやま)へ。卯辰山公園は標高約141mの山一帯に広がる公園で、金沢城から見て卯辰(東南東)の方角にあることが名の由来です。つまり山は街の東側にあり、ここから西を向けば、眼下の市街地のさらに向こうに日本海が横たわる——夕景を見るには絶好の向きになります。

なかでも見晴らし台は、2000年以降に整備された開放的な展望芝生広場で、視界は100度以上。すぐ下に見える金沢城や兼六園を挟んで、遠くの日本海に沈んでいく夕日を望むことができます。黒光りする瓦屋根が連なる金沢らしい街並みが、夕陽を受けてだんだんと色を変え、やがて街にぽつぽつと灯がともり始める——その移ろいをひと続きで味わえるのが、ここからの夕景の醍醐味です。同じ卯辰山公園内の望湖台(ぼうこだい)からも、晴れた日には日本海まで見渡せますが、視界の広さと開放感では見晴らし台に軍配が上がります。公園は24時間開放・無料、駐車場もあり、金沢駅から車で15分ほどと、夕方でも立ち寄りやすいのも利点です。

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もう一つの俯瞰スポット ― 大乗寺丘陵公園

市街地の南側から夕景を楽しむなら、大乗寺丘陵公園が候補になります。標高差約80mの丘陵地に整備された金沢市屈指の展望公園で、約13,000株のツツジをはじめ桜や梅など四季の花木に彩られた園内からは、眼下に金沢の街が広がり、晴れた日には日本海まで見渡せます。開放感のある芝生の丘に立てば、街と海をまとめて視界に収めながら、夕暮れの空が刻々と色を深めていく時間を過ごせます。卯辰山が街の東からの眺めなら、こちらは南からの眺め。同じ「街並み越しの夕景」でも見える街の表情が変わるので、滞在に余裕があれば両方を巡って見比べるのも面白い選び方です。

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金沢近郊で海に沈む夕日を狙うなら ― 内灘

より広々とした砂浜で「海にまっすぐ沈む夕日」を味わいたい人には、内灘(うちなだ)海岸が知られています。ただし内灘は金沢市ではなく、隣接する河北郡内灘町。金沢市街から車で15分ほどと近く、南北に長い砂丘と日本海が織りなす景観が魅力で、河北潟放水路に架かる斜張橋「サンセットブリッジ内灘(内灘大橋)」は、その名のとおり夕日の名所として親しまれています。日没後には橋がライトアップされ、夕景から夜景への移ろいも楽しめます。金沢市内の港町や丘の夕景とあわせ、足を延ばす一手として頭に入れておくとよいでしょう(行政区は金沢市外である点だけご留意を)。

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金沢の夕日を楽しむためのメモ

金沢の夕景でいちばん意識したいのは、日本海側の天気です。北陸の空は変わりやすく、とりわけ晩秋から冬にかけては「弁当忘れても傘忘れるな」と言われるほど時雨が多く、鉛色の雲に覆われて陽が顔を出さない日も少なくありません。海に沈むくっきりとした夕日を狙うなら、空気が比較的安定し晴れ間も期待しやすい春から秋が分があります。逆に冬は、雲の切れ間にのぞく一瞬の夕陽や、金沢港クルーズターミナルのように屋内から海を望める場所が頼りになります。

海辺の金石・大野は風が強く体感温度が下がりやすいので、季節を問わず一枚羽織るものがあると安心です。卯辰山や大乗寺丘陵の俯瞰スポットは、日没そのものより、街に灯がともり始める日没後の時間まで粘るとさらに表情豊かな夕景に出会えます。出発前にその日の日の入り時刻と天気予報を確認し、海に沈む夕日(金石・大野・金沢港)か、街を染める夕景(卯辰山・大乗寺丘陵)か——金沢ならではの二つの夕暮れを、地形を読みながら選んでみてください。

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Written by

吉田 麻衣

フォトグラファー

日本刀×日本文化体験

観光スポットと刀剣文化をつなぐ多言語展開。