
近江町市場でお土産探し
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金沢の街を訪れるなら、近江町市場は外せない。約280店舗が軒を連ねるこの市場は、地元の人々の日常と旅人の好奇心が交差する場所。新鮮な海の幸から加賀の伝統食品まで、金沢らしいお土産に出会える宝の山だ。
300年以上の歴史を持つ「金沢の台所」
近江町市場の起源は江戸時代中期、享保6年(1721年)頃にさかのぼる。加賀藩の城下町として栄えた金沢において、この市場は城下の人々の食を支える中心的な役割を担ってきた。「近江町」という名は、江戸時代に近江(現在の滋賀県)出身の商人たちがこの地に集まり商いを始めたことに由来するとされている。
300年以上の歳月を経た今も、市場は金沢市民の台所として現役だ。早朝から仕入れに訪れる料理人、買い物かごを提げた地元の主婦、そしてカメラを手にした観光客が入り混じる活気ある光景は、金沢の食文化の生きた証といえる。2009年には建物が改修され、屋根付きのアーケードが整備されたことで、雨天でも快適に買い物を楽しめるようになった。
日本海の恵み——新鮮な海産物の魅力
近江町市場の顔といえば、やはり海産物だ。金沢は日本海に面した港町・金沢港を擁し、豊かな漁場から水揚げされた魚介類が市場に並ぶ。特に冬の風物詩として名高いのが「加能がに」。石川県で水揚げされたズワイガニのオスに与えられるブランド名で、甘みの強い身とたっぷりの内子・外子が特徴だ。11月から3月にかけてのカニのシーズンには、市場全体が赤く色づいたカニで埋め尽くされ、威勢のいい呼び込みの声が飛び交う。
甘エビ、バイ貝、ノドグロといった日本海ならではの魚介も豊富。なかでもノドグロ(アカムツ)は「白身のトロ」とも称される高級魚で、地元の料亭でも珍重される一品だ。新鮮な刺身を市場内の食堂でいただくもよし、自宅への発送サービスを利用して産地直送のお土産として贈るもよし。鮮魚の購入はお土産の定番コースとなっている。
加賀の食文化を伝える名産品
海産物だけでなく、近江町市場には加賀の伝統が凝縮した食品も充実している。まず目に留まるのが「かぶら寿し」だ。塩漬けにしたカブにブリを挟み、麹で発酵させた石川県の郷土料理で、独特の甘酸っぱさとほのかな発酵の香りが特徴。冬季限定で作られる伝統食品であり、金沢の冬の味覚を代表する一品として多くの観光客が土産に選ぶ。
「加賀棒茶」も見逃せないお土産のひとつ。茎の部分を焙じた棒茶は、一般的な番茶や煎茶とは異なる甘くほうじ香が強い独特の風味を持ち、加賀料理の食後に供されることでも知られる。市場内の老舗茶舗では、量り売りや各種ギフトセットが用意されており、茶葉の質やブレンドにこだわった商品が揃う。
金箔を使った菓子類も金沢ならでは。江戸時代から続く金箔産業で栄えた金沢は、現在も日本の金箔生産の大半を担う。箔一(はくいち)など地元ブランドの金箔入り羊羹や飴は、見た目の華やかさと金沢らしさが相まって人気のお土産となっている。
季節で変わる市場の表情
近江町市場の魅力は一年を通じて変化する。春(3〜5月)は地物の山菜や、桜の季節に合わせた和菓子が店頭を彩る。特に4月下旬から5月にかけては筍(たけのこ)が豊富に並び、地元の料理好きで賑わう。
夏(6〜8月)には岩牡蠣が旬を迎える。日本海産の天然岩牡蠣は身が大きく濃厚で、市場内の立ち食いコーナーでいただく磯の香り漂う一品は絶品だ。アワビや栄螺(サザエ)なども夏の海産物として人気が高い。
秋(9〜11月)は松茸や能登のキノコ類が並ぶほか、新米の季節でもある。加賀地区で栽培される「コシヒカリ」は地元農家が誇る逸品で、精米したての新米は土産用の真空パックでも販売されている。
そして冬(12〜3月)はカニの季節。市場全体がカニ一色に染まり、国内外から訪れる観光客で最も賑わう季節だ。購入した蟹を宿に持ち込んで鍋にするのも、金沢の冬旅の醍醐味のひとつ。
市場グルメ——食べ歩きも楽しむ
お土産選びと合わせて、市場内のグルメも近江町体験の欠かせない一部だ。魚屋の店先で殻付きの牡蠣や甘エビを立ち食いする素朴な楽しみは、市場ならでは。海鮮丼を提供する飲食店も複数あり、特に「近江町いちば館」2階のレストランエリアには地元食材をふんだんに使ったランチが揃う。
市場内には加賀野菜を使った惣菜店、地元醤油や味噌の専門店、さらには金沢の老舗和菓子店の支店なども点在しており、食べ歩きしながら一周するだけで金沢の食文化が一通り把握できる充実度がある。
アクセスと周辺観光
近江町市場へのアクセスは便利だ。JR金沢駅からバスで約10分。または駅からの徒歩でも約20〜25分の距離にある。金沢ふらっとバスを利用すれば、低価格でアクセスできる。
市場周辺は金沢観光の中心エリアでもある。徒歩圏内には金沢城公園や兼六園があり、片町・香林坊といった繁華街や尾張町の町家群も近い。観光の合間に立ち寄るのはもちろん、朝市の時間帯(8時頃〜)を狙って訪れると、より地元らしい雰囲気の中でショッピングを楽しめる。市場は基本的に年中無休だが、水曜日に定休の店舗が多いため、訪問前に確認しておくとよい。
金沢の台所として脈々と受け継がれてきた近江町市場は、単なる買い物スポットを超えた金沢の文化体験の場だ。活気に満ちた市場の空気を吸いながら選ぶお土産は、旅の思い出をより豊かに彩るはずだ。
アクセス
JR金沢駅からバスで15分「武蔵ヶ辻」下車
営業時間
9:00〜17:00
料金目安
1,000〜5,000円
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