メインコンテンツへスキップ
SOROU.JP日本全国情報ポータルサイト
金沢市の生活費を間取り・エリア別に解説|車社会と雪国コストのリアル
学び
8分で読める

金沢市の生活費を間取り・エリア別に解説|車社会と雪国コストのリアル

金沢の生活費は「家賃は抑えめ、車と冬が効いてくる」

金沢市で暮らす費用を考えるとき、東京から来た人がまず驚くのは家賃の安さです。一方で「思ったより貯まらない」と感じる人も多く、その差を生むのが金沢ならではの二つの固定費——冬の暖房です。北陸の中核都市である金沢は、人口46万人規模で兼六園近江町市場を抱える観光都市でありながら、市内に地下鉄も路面電車もありません。移動の軸は北陸鉄道(北鉄)のバスと自家用車で、石川県の世帯あたり自動車保有台数は2021年時点で1.474台と全国平均の1.037台を大きく上回ります。さらに1〜2月に降雪が集中する豪雪地帯でもあり、暖房と除雪まわりの出費が家計にのしかかります。この記事では2026年時点の目安として、家賃・食費・光熱費・車にかかる費用を、東京23区と比べながら現実的に見ていきます。

家賃相場——間取り別とエリア差

金沢市の家賃相場(市内全体の平均、2026年時点の目安)はおおむね次の通りです。ワンルームが6.7万円前後、1Kが5.5万円前後、1LDKが8.0万円前後、2LDKが11.2万円前後、3LDKが11.6万円前後。単身なら5〜7万円台、ファミリーでも11万円台が中心で、東京23区と比べると間取りを問わず3〜4割ほど安い水準です。

エリアによる差もはっきりしています。最も高いのは繁華街の香林坊(こうりんぼう)・片町(かたまち)周辺。金沢の都心といえるこの一帯は飲食店やオフィスが集中し、徒歩圏の新しめのマンションは1LDKで9万円台に届くこともあります。同じく人気が高いのが金沢駅西口側で、北陸新幹線開業以降の再開発でマンションが増え、相場はやや強含みです。

対して西金沢(IRいしかわ鉄道・北陸鉄道石川線)方面や、北鉄浅野川線・石川線沿線の郊外駅周辺まで出ると、同じ間取りでも家賃は一段下がり、単身向けで4万円台の物件も見つかります。中心部にこだわらず車での移動を前提にすれば、住居費は確実に圧縮できる——これが金沢の住まい選びの基本構図です。

東京23区との費目別比較

主な費目を東京23区の相場と並べると、金沢の「安いところ」と「東京と変わらないところ」が見えてきます。下表は2026年時点の目安です。

費目金沢市東京23区
家賃(1K)約5.5万円約7.8万円
家賃(2LDK)約11.2万円約15.6万円
月極駐車場(平面)約7,500円2〜4万円が中心
食費(単身・月)約3.8万円ほぼ同等〜やや高
水道光熱費(単身・月)約1.4万円やや低め

際立つのは家賃と駐車場です。1Kで月2万円以上、2LDKでは4万円以上の家賃差があり、駐車場代も金沢の平面式は月7,000〜8,000円前後と、東京中心部の数分の一。一方で食費は、近江町市場の鮮魚など質の高い食材に手が伸びることもあり、節約を意識しなければ東京と大きくは変わりません。光熱費は基本料金水準こそ低めですが、後述する冬の暖房で年間トータルは膨らみがちです。

水道光熱費——北陸の冬が押し上げる

金沢の単身世帯の水道光熱費は年間で約16.8万円、月あたりにならすと1.4万円ほどが目安です。注目すべきは電気代の比重で、年間の内訳は電気が約8.9万円、ガスが約3.2万円、水道が約3.0万円。電気代が突出しているのは偶然ではありません。2020〜2022年の都市別の住宅用電力消費量では、福井市・富山市・金沢市と北陸3市が上位を占めました。冷たく湿った冬の長さと、エアコン・電気ストーブ・床暖房をフル稼働させる暮らしぶりが、北陸の電力消費を全国でも高い水準に押し上げているのです。

もう一つ金沢ならではなのが、エリアによる熱源の違いです。中心部は金沢エナジー(旧・金沢市企業局のガス事業を承継)が供給する都市ガスエリアですが、郊外や供給区域外ではLPガス灯油に頼る世帯が増えます。LPガスは都市ガスより単価が高い傾向があり、灯油ストーブを併用する家庭では冬場の灯油代が別途のしかかります。郊外で家賃を下げても、熱源の違いで光熱費が上振れする——この点は物件選びの段階で確認しておきたいところです。

車にかかる費用——地下鉄がない街の必修科目

金沢で生活費を語るうえで避けて通れないのが車です。市内に鉄道系の都市交通がなく、移動は北鉄バスと自家用車が中心。バスは中心部こそ便数がありますが、郊外の住宅地や夜間は本数が細り、買い物や通勤を考えると一家に一台、世帯によっては一人一台というのが石川県の実情です。

車を持つと、まず駐車場代が固定費に乗ります。金沢市内の月極駐車場は平面式で月7,000〜8,000円前後が一つの目安ですが、香林坊・片町といった中心部や機械式になると1.5〜2万円台まで跳ね上がります。家賃の安さで浮いた分が、駐車場代でいくらか相殺される構図です。

さらに金沢で外せないのが冬タイヤ(スタッドレス)。市内の大通りには地下水をくみ上げる消雪パイプ(融雪装置)が整備され、除雪車も入りますが、大通りから一本入った路地は融雪が後回しになりがちで、ノーマルタイヤでの冬越しは現実的ではありません。スタッドレスは4本で数万円台、数シーズンで履き替えるため年あたりにならすと無視できない金額になります。これに加えて、ガソリン代・自動車保険・車検といった全国共通の維持費が乗り、車関連だけで月2万円台に達することも珍しくありません。

単身世帯の月額モデル

これらを踏まえ、金沢で車を持つ単身者(1K賃貸)の月額モデルを組むと、おおむね次のようになります(2026年時点の目安)。

費目月額の目安
家賃(1K)55,000円
食費38,000円
水道光熱費14,000円
通信費(スマホ・ネット)9,000円
車関連(駐車場・ガソリン・保険/車検積立・冬タイヤ積立)25,000円
日用品・娯楽・交際費など24,000円
合計165,000円

家賃を抑えられるぶん総額は東京より軽くなりますが、車関連の2.5万円が効いており、「車を持たない東京の単身者」とは支出の形が違います。逆に言えば、香林坊・片町や金沢駅近くに住んで車を手放し、徒歩・自転車・バスで完結させれば、駐車場代と維持費を丸ごと削れて家計はさらに楽になります。中心部の家賃プレミアムと、車を手放して浮く固定費——このトレードオフをどう取るかが、金沢での暮らしの設計図そのものになります。

持ち家志向と「金沢で暮らす」という選択

金沢は持ち家志向が強い土地柄でもあります。家賃が抑えめで地価も東京ほど高くないため、賃貸で頭金を貯めて郊外に戸建てを構える、という人生設計が現実的に描けます。家を持てば駐車場代は不要になりますが、今度は除雪のための雪かき道具やカーポート、灯油・暖房設備といった雪国ならではの初期費用と維持費が発生します。

総じて金沢の生活費は、東京と比べて住居費で大きく差をつけられる一方、車と冬という二つの固定費が独自に効いてくるのが特徴です。家賃の安さだけを見て予算を組むと冬に足が出やすいので、暖房費と車関連を先に見込んでおくこと——それが金沢でゆとりある暮らしを送るコツです。

シェアする

Written by

伊藤 健一

歴史ライター

Related Columns