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長崎の地酒と肴|六十余洲に合う長崎県の絶品おつまみ
グルメ
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長崎の地酒と肴|六十余洲に合う長崎県の絶品おつまみ

長崎が誇る地酒「六十余洲」とは

長崎県といえば、ちゃんぽんや卓袱料理が有名ですが、地酒の世界もまた奥深く、全国の日本酒ファンから高い評価を得ています。なかでも一番名高いのが、波佐見町の今里酒造が手がける「六十余洲(ろくじゅうよしゅう)」です。その名は、かつて日本が六十余もの国に分かれていたことに由来し、"日本全国の人に飲んでほしい"という蔵元の思いが込められています。

六十余洲の最大の特徴は、驚くほどの透明感と、すっきりとした辛口の後味です。口に含んだ瞬間はやわらかく、ほのかな米の甘みが広がりますが、すぐにきれいに消えていく。この「余韻の短さ」こそが、食中酒として極めて優秀な所以です。特に純米吟醸は、低温でゆっくりと発酵させることで生まれる繊細な香りが印象的で、燗酒にすると米の旨みがさらに引き立ちます。冷酒では10〜12度前後で供するのがおすすめで、長崎の海風を感じながら一杯傾けると、旅情もひとしおです。

今里酒造のほかにも、長崎には個性豊かな蔵元が点在します。島原の「飛鸞(ひらん)」は、古代米を使った複雑な風味が特徴の注目株。対馬の「白嶽(しらたけ)」は、玄界灘の荒波を思わせるどっしりとした旨みが酒好きを唸らせます。同じ長崎県でも島ごとに水質や気候が異なるため、蔵ごとの個性が際立っており、飲み比べを楽しむのも旅の醍醐味です。

長崎三大珍味「カラスミ」で一杯

六十余洲に合わせるおつまみとして、まず外せないのが長崎を代表する高級珍味「カラスミ」です。ボラの卵巣を塩漬けにし、天日干しで丹念に乾燥させたカラスミは、日本三大珍味のひとつに数えられます。長崎産のものは、対馬海流の恵みを受けたボラを使うため、脂のりが格別です。

薄くスライスして軽く炙り、大根の薄切りと交互に重ねる「カラスミ大根」は、居酒屋の定番スタイル。濃厚な塩気と旨みが六十余洲の淡麗辛口と絶妙に呼応し、盃が止まらなくなる組み合わせです。カラスミは長崎市内の老舗乾物店や長崎空港のショップで購入でき、価格は大きさにもよりますが100gあたり3,000〜8,000円ほど。お土産として持ち帰り、自宅でもこのペアリングを楽しめます。

五島灘の恵み「アゴ」と「アナゴ」

長崎の酒肴として次に紹介したいのが、五島灘で獲れるトビウオ、通称「アゴ」です。長崎では古くからアゴを乾燥させた「焼きアゴ」を出汁取りに使いますが、居酒屋では炙った焼きアゴをそのままおつまみとして出す店も少なくありません。淡白ながら深みのある旨みは、六十余洲の繊細な味わいを邪魔せず、むしろ引き立てる名脇役です。

対馬海峡で獲れる「対馬のアナゴ」も、長崎の酒飲みが愛してやまない一品です。白焼きにしてわさびと醤油でいただくと、ふっくらとした身の甘みと磯の香りが口いっぱいに広がります。天ぷらにしても絶品で、衣のサクサク感とアナゴのやわらかさのコントラストが楽しめます。長崎魚市場周辺の食堂では、朝早くから新鮮なアナゴを使った料理が味わえ、鮮度の違いを実感できるでしょう。

卓袱文化が生んだ「ハトシ」と「長崎かまぼこ」

長崎の食文化は、中国・オランダとの交易を通じて独自の発展を遂げてきました。その象徴ともいえるのが「ハトシ」です。エビのすり身を食パンに挟んで油で揚げたハトシは、中国料理の海老吐司(シャーモントースト)が長崎に伝わったもの。外はサクッと、中はふんわりとしたエビの風味が広がり、熱燗の六十余洲との相性は抜群です。長崎市内の老舗中華料理店や居酒屋で供されており、1皿500〜800円前後で楽しめます。

長崎かまぼこも忘れてはなりません。長崎のかまぼこは、一般的な蒸しかまぼこや焼きかまぼことは異なり、揚げかまぼこが主流です。魚のすり身に野菜や具材を混ぜ込んで揚げたものは「天ぷら」と呼ばれ(いわゆる天ぷらとは別物です)、おでんの具としても居酒屋のおつまみとしても重宝されます。生姜醤油やからし酢味噌でいただくのが長崎流で、六十余洲の旨みを引き出す好相性の一品です。

長崎の地酒を楽しむ、おすすめの飲み歩きルート

長崎市内で地酒と肴を楽しむなら、浜町アーケードから思案橋横丁にかけてのエリアが充実しています。思案橋横丁は昭和の雰囲気が残る横丁で、地元の常連客に交じって角打ち気分で一杯やれる立ち飲み酒屋や、カウンター10席ほどの小さな居酒屋が連なっています。

なかでも地酒の品揃えが豊富な老舗の酒屋では、六十余洲をはじめ、飛鸞、白嶽など長崎の銘柄を1合グラス400〜600円前後で飲み比べることができます。店主に「今日の肴に合わせて」と相談すれば、その日入荷した魚に合った銘柄を選んでもらえるのも、地酒文化が根付いた長崎ならではの楽しみです。

また、長崎市内の酒蔵見学ツアーは事前予約制のものが多く、蔵の仕込みを間近に見ながら試飲できる体験は格別です。蔵元直販の限定酒は通販でも入手困難なものが多く、訪問時にしか手に入らない一本を探す楽しさもあります。地酒と肴の世界を深掘りすることで、長崎という土地の歴史と風土がいっそう豊かに感じられるはずです。

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Written by

鈴木 一郎

グルメジャーナリスト

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