観光・体験
山形市サイクリングガイド|馬見ヶ崎川から果樹園・蔵王の高原まで
盆地の街・山形を、川沿いから高原まで自転車で
山形市は、蔵王連峰や奥羽山脈に囲まれた山形盆地の只中にあります。中心部を流れる馬見ヶ崎川(まみがさきがわ)の河川敷から、果樹園が広がるなだらかな盆地、そして標高差千数百メートルの蔵王の山岳路まで、平地と山岳の両方を一日で味わえるのが、自転車で巡る山形の醍醐味です。霞城公園や城下町の路地は歩いて楽しむ街ですが、ペダルをこいで初めて見えてくるのは、果樹王国の田園と、その奥にそびえる山の表情です。脚力と時間に合わせて、川沿いの平坦路から本格的なヒルクライムまで、コースの強弱を自由に組み立てられます。
馬見ヶ崎川の河川敷を起点に
市街地を走るなら、まず向かいたいのが馬見ヶ崎川の河川敷です。蔵王連峰に源を発し、山形市の北側を扇状に流れるこの川の両岸には公園や緑地が整備され、堤防沿いには桜並木が続きます。春には「馬見ヶ崎さくらライン」と呼ばれる桜並木が川面に映え、秋には「日本一の芋煮会フェスティバル」の舞台となる河原としても知られます。河川敷の道はおおむね平坦で信号も少なく、子ども連れや初心者でものんびり走れるのが魅力です。
市内の移動には、山形市のコミュニティサイクル「ベニちゃり」が便利です。電動アシスト付きで、市内各所のサイクルポートで貸出・返却ができ、専用アプリで会員登録すれば二十四時間(一部を除く)利用できます。料金は十五分ごとの従量制や一日定額の設定がありますが、価格は改定されることがあるため、出発前に最新の料金を確認しておくと安心です。
果樹王国の盆地をめぐる
山形盆地は「果樹王国」と呼ばれる、さくらんぼやラ・フランスの一大産地です。中心部を少し離れると、視界いっぱいに果樹園が広がり、その向こうに蔵王の稜線を望む、山形ならではの田園風景が現れます。自転車なら、果樹の花が咲く春、さくらんぼが色づく六月、ラ・フランスや林檎が実る秋と、季節ごとに表情を変える盆地をゆっくり味わえます。市内には観光果樹園が点在し、六月のさくらんぼ狩りは入園料の相場が大人一人千五百円前後が目安ですが、品種や時期で変わるため事前確認をおすすめします。
市の西部を走るなら、西公園を拠点とする「西部地区観光レンタサイクル」も使えます。戦国時代の古戦場である長谷堂城跡(はせどうじょうあと)や、あじさい寺として知られる出塩文殊堂(でしおもんじゅどう)など、田園の中の名所を結べます。受付は西公園パークセンターで、毎年四月下旬から十一月下旬ごろの運行、利用は夕方までで乗り捨てはできない点に注意してください。
さくらんぼサイクリングロードでロング走
走りごたえのある一本道を求めるなら、「さくらんぼサイクリングロード」(正式名称・一般県道間沢寒河江山形自転車道線)が筆頭です。山形市の山寺を起点に、寒河江市などを経て西川町の間沢までを結ぶ全長約三十八キロメートルの自転車・歩行者専用道で、立谷川(たちやがわ)をはじめ村山地方の川沿いを縫って走ります。獲得標高はわずかでほぼ平坦、専用道のため車を気にせず走れ、ロングライド入門にうってつけです。
起点の山寺は、山形市の北東、市街地から十数キロ離れた山あいにあり、立谷川に削られた岩山に立石寺(りっしゃくじ)の伽藍が点在する名刹です。サイクリングロードと合わせて訪ねるなら、山寺の石段は自転車を降りて歩くことになりますが、汗をかいたあとの参道は格別です。なお終点の間沢は西川町、経路の途中は寒河江市などをまたぐルートなので、帰路の交通も含めて計画しておきましょう。
蔵王のヒルクライムに挑む
本格的な登りに挑みたい上級者には、蔵王のヒルクライムが待っています。なかでも知られるのが、蔵王エコーラインを上る「蔵王坊平(ぼうだいら)」のコース。上山市(かみのやまし)のリナワールド付近を起点に蔵王刈田(かった)リフト駐車場までを結ぶ全長約二十四・九キロメートル、平均勾配五・七パーセント、標高差は実に千四百メートル超という、全国屈指のヒルクライムです。ゴール周辺は標高千五百メートルを超える高地で、稜線をなす刈田峠は標高約千六百メートル。初夏には開通直後の「雪の回廊」を、秋には燃えるような紅葉を眺めながら登れます。
このコースの起点となる坊平高原は上山市側にあたり、山形市街地からは車で向かっても距離があるため、所在と所要を踏まえて計画したいところです。一方、山形市内にも蔵王温泉という高原の温泉地があり、市街地から一気に標高を上げる登りごたえのある山岳路でつながっています。いずれも本格装備が前提の中・上級者向けで、所要は半日以上を見込みたいコースです。
走る前に知っておきたいこと
山形は雪国です。蔵王エコーラインをはじめとする山岳路は、例年十一月初旬から翌四月下旬ごろまで冬期通行止めとなり、ヒルクライムは初夏から晩秋までの季節限定。市街地や河川敷は除雪されますが、冬の路面凍結には注意が必要です。山岳路は天候の急変や、規定雨量・降雪での緊急通行止めもあるため、出発前に必ず道路情報を確認しましょう。電動アシストの「ベニちゃり」は市街地と盆地の散策向き、果樹園めぐりや山岳ロングはスポーツ車が安心、と用途で乗り分けるのが、山形を走りこなすコツです。
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