メインコンテンツへスキップ
SOROU.JP日本全国情報ポータルサイト
宍道湖と中海、ふたつの汽水湖を巡る松江サイクリングガイド
観光・体験
5分で読める

宍道湖と中海、ふたつの汽水湖を巡る松江サイクリングガイド

汽水湖の風を切る、松江のサイクリング

松江は宍道湖と中海というふたつの汽水湖に挟まれた「水の都」です。城下町を歩いて巡るのも松江らしさですが、自転車ならその二つの湖をまるごと体で味わえます。湖岸はアップダウンが少なく平坦な道が続き、初めての人でも長い距離を気持ちよく走れるのが、この街の地形の恵み。海水と淡水が混じり合う水面の色、対岸にかすむ島根半島の山並み、そして全国に名高い宍道湖の夕日——ペダルをこぐほどに、徒歩では届かない松江の広さが見えてきます。レンタサイクルや電動アシスト車も借りやすく、湖一周のロングライドから半島の海岸線まで、走り方は自在です。

王道は宍道湖一周(約45km・平坦と夕日のコース)

まず挑みたいのが宍道湖の一周です。湖の周囲はおよそ45km、松江市街を起点に湖岸の道をぐるりと回ると、休憩を含めても半日ほどで走り切れます。急なアップダウンがほとんどなく、初めてのロングライドにうってつけ。北岸には松江市菅田町から出雲市側へ延びる「宍道湖湖北自転車道」が整備され、車を気にせず湖面を眺めながら走れる区間もあります。湖面に点々と浮かぶ小舟は、漁獲量日本一を誇るヤマトシジミのシジミ漁。全国の四割以上をこの汽水湖が産み出しており、走りながら望む朝のシジミ漁は宍道湖ならではの一枚です。

このコースの主役は、なんといっても夕日です。宍道湖に浮かぶ唯一の島・嫁ヶ島(よめがしま)に日が沈む光景は「日本の夕陽百選」に選ばれた絶景。歩いて眺めるだけならどこでも語られますが、自転車なら話が違います。午後遅くに走り出し、平坦な湖岸路で西へ向かって光を追いかけ、日没の30分ほど前に湖南側の夕日スポットへ滑り込む——刻一刻と色を変える空と水面を、自分の脚で組み立てた一日の終わりとして味わえるのが、サイクリストだけの特権です。風の弱い夕方は、水面が鏡のように茜色を映します。

中海を回って大根島と「ベタ踏み坂」へ

もう少し走り応えが欲しい人には、もうひとつの汽水湖・中海の周遊コースがあります。中海は松江市から安来市、鳥取県の米子市・境港市へとまたがる大きな湖で、一周はおよそ70km。基本は平坦ですが、途中の江島大橋でぐっとひと登りするのがハイライトです。

湖に浮かぶ大根島(松江市八束町)は、牡丹の生産量が全国一を誇る花の島。数少ない高麗人参の産地でもあり、約12,000坪の池泉回遊式庭園「由志園」では四季の花と日本庭園を楽しめます。そして島と鳥取県の境港市側を結ぶのが、テレビCMで一躍有名になった江島大橋、通称「ベタ踏み坂」。全長は約1,446m、最高地点は水面から約45mで、勾配は島根県側が6.1%、鳥取県側が5.1%です。望遠レンズの圧縮効果であの絶壁のように写りますが、実際の勾配は見た目ほど急ではなく、ゆっくりこげば自転車でも越えられます。橋の上から見渡す中海と、晴れた日に望む大山の眺めは、登った人だけのごほうびです。

半島の先へ、美保関の海岸線

島根半島の東の端まで足を延ばすなら、美保関(松江市美保関町)の海岸サイクリングがおすすめです。複雑に入り組んだリアス式海岸沿いに、青石畳通りの古い港町と入り江が連なります。港のそばには全国のえびす様の総本宮・美保神社が鎮座し、出雲大社との「両参り」でも知られる縁結びの社。岬の先端・地蔵崎に立つ美保関灯台は、明治31年(1898年)築の石造灯台で、2022年に国の重要文化財に指定された名建築。松江市街からは距離があり(車でおよそ50分)、自走はやや健脚向きですが、美保関地区で電動アシスト自転車を借りれば灯台まで気軽に上がれます。日本海の潮風と汽水湖の風を一日で味わえる、欲張りなコースです。

縁結び街道で出雲大社まで

時間に余裕があれば、松江から出雲大社(出雲市)まで走る「縁結び街道」のロングライドも。松江しんじ湖温泉駅あたりを起点に宍道湖の北岸から平野を抜け、おおむね50kmで大社へ至ります。コースの多くが一畑電車の沿線なので、疲れたら自転車を電車に積める「レール&サイクル」を使い、片道だけ輪行する手もあります。行きは自転車、帰りは電車という組み立てなら、初心者でも安心して縁結びの旅を完走できます。

レンタサイクルと走り方のメモ

手ぶらで来ても大丈夫です。松江しんじ湖温泉駅では普通自転車や電動アシスト車を、JR松江駅周辺ではクロスバイクやロードバイクを借りられます(料金・在庫・営業は変動するため事前確認を)。湖一周の本格ライドは整備されたスポーツ車が安心、街なかと夕日見物だけなら電動アシストが楽です。汽水湖の岸は風が強い日もあるので、向かい風を計算して時計回り・反時計回りを選ぶと快適。そして何より、夕日の時間から逆算して走り出すのがおすすめです。平坦な松江の湖岸は、光を追いかけるサイクリングのために用意されたような道なのですから。

シェアする

Written by

松本 海斗

トラベルエディター

日本刀×日本文化体験

観光スポットと刀剣文化をつなぐ多言語展開。