
生存書房(古書店)
GALLERY
茨城県土浦市のウォーターフロントにたたずむ「生存書房」は、古書と新刊を並べて扱う一風変わった書店だ。土浦港を望む港橋のそばに建つ二階建ての建物群のうち一番右に位置し、社会・歴史・科学技術・平和をテーマに選ばれた本が棚を埋める。店名から漂う一種の切迫感は、ここが単なる古本屋ではなく、時代と向き合う読書空間であることを示している。
選書の軸 ― 社会・歴史・科学技術・平和
扱う本のジャンルは明確だ。岩波新書・岩波ブックレット・みすず書房・中公新書・平凡社といった論考系出版社の本が中心で、沖縄・パレスチナ・韓国・イスラエルなど地域性と時事性を帯びたテーマが目立つ。山本義隆氏の『近代日本一五〇年』『リニア中央新幹線をめぐって』『核燃料サイクルという迷宮』が揃うほか、清水亮『軍都を歩く 基地と住民の地域生活史』や同著者の『「軍都」を生きる 霞ヶ浦の生活史 1919-1968』、志賀賢治『広島平和記念資料館は問いかける』なども常備書として手厚く置かれている。「常備すべき本なのに在庫が切れていた」と補充を知らせるブログの言葉には、棚への責任感が滲む。
新刊・ZINEの入荷とブログの読み物性
古書専門ではなく新刊も積極的に入荷する点が生存書房の特徴のひとつだ。真鍋祐子『韓国について知っておきたい30のこと』(平凡社)の入荷に際しては、同書と早尾貴紀『イスラエルについて知っておきたい30のこと』(同)の奥付で「構成」クレジットの担当者それぞれの名前や、二冊に共通する装幀者(漆原悠一さん)に言及するなど、一冊の本の背景まで丁寧に解説する店主の紹介は読み物としても楽しめる。沖縄から届くフリーペーパーZINE『うみかじ』や、2026年3月の沖縄県庁前緊急スタンディング参加者によるアンソロジー『ペンラZINE』も取り扱っており、主流の流通に乗りにくい声を棚に取り込んでいる。
読書会という場の提供
書店としての機能にとどまらず、読書会の場としても機能している。セオドア・M・ポーター著/藤垣裕子訳『数値と客観性 科学と社会における信頼の獲得』(みすず書房)を全4回に分けて読む読書会が2026年7月から10月にかけて開催され、参加者を募集している。各回ごとにテキストの範囲が明示され、日曜の午前中に2時間かけて進む形式は、一冊を腰を据えて読み通したい人に向いている。また、つくば市での反戦集会・デモの告知を店のブログで積極的に行うなど、本の外側の活動とも緩やかにつながっている。
アクセスと利用案内
土浦駅の西口・東口どちらからも徒歩5分程度。西口からはJRの線路をくぐる高架下の道を進み、東口からは土浦港が右手に見える港橋まで来ると店が視界に入る。建物は二階建てが三棟並んでおり、生存書房は向かって一番右側。段差があると困る場合は、段差解消スロープを用意しており、店先の呼び鈴などで伝えればすぐに設置してもらえる。在庫は日々入れ替わるため、目当ての本がある場合はあらかじめ電話やSNS(@seizonshobo)で確認しておくと確実だ。
アクセス
土浦駅西口から徒歩5分程度 土浦駅東口から徒歩5分程度
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