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安楽寺
※写真はイメージです。

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四国八十八ヶ所巡礼において、最初に宿坊として迎えてくれるのが徳島県板野郡上板町に位置する「温泉山 安楽寺」だ。第六番札所でありながら、遍路旅で最初に泊まれる宿坊として400年の歴史を誇るこの寺は、弘法大師みずからが霊泉を発見し、万病に効くその力から「温泉山」と名づけたと伝わる。境内に流れる時間は、現代においても巡礼者を静かに包み込む。

弘法大師が発見した霊泉と「温泉山」の由来

弘法大師(空海)がこの地を訪れた際、湧き出る霊泉を発見。病魔を除く「薬師如来様」と深い縁を持つ土地だと見定め、お堂を築いたことが安楽寺の起こりとされる。寺の山号「温泉山」はこの霊泉に由来し、以来400年以上にわたって遍路者がその湯で旅の疲れと業を洗い流してきた。大浴場「弘法の湯」はこの霊泉を引き継ぐ施設として、宿泊者が利用できる(2026年6月現在、工事に伴う利用制限あり)。

精進料理ではない宿坊食——遍路を支える栄養哲学

宿坊と聞けば精進料理を思い浮かべる人も多いが、安楽寺はあえてお肉やお魚を含む食事を提供している。理由は明快で、四国八十八ヶ所を歩き続けるお遍路さんに必要な体力をつけてもらうためだ。2食付プランでは夕食と朝食の両方が含まれ、栄養バランスを意識した膳が遍路の翌日への英気を養う。軽朝食付プランは出張や観光利用にも対応しており、信仰目的以外の宿泊者にも門戸を開いている。

多彩な宿泊プランと現代のお遍路スタイル

近年人気を集めるキャンピングカー遍路にも対応しており、車中泊プランでは「弘法の湯」の入浴や夜のお勤めへの参加が可能。追加料金で食事を楽しむこともできる。参拝と宿泊のスタイルが多様化する中で、安楽寺は伝統的な宿坊の役割を守りながら柔軟に応えている。

朝の勤行と宿坊だからこそ得られる体験

宿泊者は朝の勤行に参加でき、出発前に本堂で朝の参拝を行うことも可能だ。読経の声と線香の煙が満ちる早朝の境内は、通過するだけでは決して得られない時間を与えてくれる。「あいのてら」と名づけられた体験プランでは勾玉作り体験などが用意されており、精神的な巡礼体験に加えて手仕事を通じた記憶も持ち帰れる。

境内の見どころ

御本尊「薬師如来様」が安置される本堂のほか、仏師・松本明慶作の仏像が収められた大師堂と多宝塔が境内に立つ。金剛宝拝殿には弘法大師様御一代記が展示され、空海の生涯を辿ることができる。境内に根を張る「厄除けのさか松」は、参拝者が厄を落とすために手を合わせる名物。護摩祈祷や星祭祈祷などの御祈祷、永代供養を含むご先祖供養も受け付けており、参拝・宿泊にとどまらない縁の結び方が多岐にわたる。

季節の授与品と寺の個性

夏限定の「宵大師の御朱印」や干支にちなんだ年限定御朱印、弘法大師御誕生1250年記念の特別御朱印帳など、時季や節目ごとに授与品が用意されてきた。2023年11月には藍染めで装飾された客室「青龍の間」が1室限定で新設されるなど、伝統の中に新しい試みを重ねている点も安楽寺の魅力だ。400年の歴史を持ちながら、訪れるたびに何か新しい発見がある——そんな宿坊が、四国遍路の始まりの地で巡礼者を待っている。

アクセス

JR高徳線「板野駅」下車→徳島バス「鍛冶屋原行き」で「東原バス停」下車→徒歩約7分 高松自動車道「板野I.C」から県道12号→県道139号経由

営業時間

24時間営業

料金目安

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