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金沢発の絶景ローカル線|車窓から眺める石川県の原風景
観光・体験
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金沢発の絶景ローカル線|車窓から眺める石川県の原風景

鉄道旅の真髄は、車窓を流れる風景をゆったりと眺めながら、土地の空気を全身で感じるところにあります。金沢を起点とするローカル線は、白山の霊峰や犀川・浅野川の清流、そして能登半島の雄大な海岸線をつないで走る、鉄道ファンのみならず多くの旅行者を魅了する絶景路線群です。「弁当忘れても傘忘れるな」と地元で語り継がれる日本海側気候のもと、春夏秋冬それぞれに全く異なる表情を見せる車窓風景は、何度訪れても飽きることがありません。北陸新幹線で東京から約2時間30分、小松空港から車で約40分という好アクセスで金沢に降り立ったら、そこからさらにローカル線に乗り継ぐ小さな冒険へと踏み出しましょう。

金沢を起点とする2つのローカル線

石川県ローカル線旅の起点として外せないのが、北陸鉄道が運行する2路線です。

浅野川線は、金沢駅北口に隣接する北鉄金沢駅から内灘駅までの約13kmを走る路線です。城下町の古い街並みを抜けると、やがて河北潟に面した開けた田園地帯へ。終点の内灘は日本海に面した砂丘エリアで、全国有数の長さを誇る内灘砂丘へのアクセス駅としても知られています。所要時間は約25分、運賃は片道460円(2024年現在)と気軽に乗れるのが魅力です。

石川線は、野々市工大前駅から鶴来駅までを結ぶ約13kmの路線で、沿線には白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)の門前町として栄えた鶴来が待っています。白山を遠望しながら走る田園区間は、地元カメラマンも通う撮影スポット。秋には稲穂の黄金色が白山の残雪と重なり、絵葉書のような風景が車窓いっぱいに広がります。

のと鉄道:能登半島を走る海と山の絶景ルート

金沢からIRいしかわ鉄道とJR七尾線を乗り継いで七尾駅へ向かい、そこから乗り換えるのがのと鉄道七尾線(七尾〜穴水、約33km)です。能登半島の付け根を走るこの路線は、七尾湾の静かな内海を右手に眺めながら北上する区間が圧巻。特に能登中島〜西岸間では、湾に張り出すように海岸沿いを走るため、晴れた日には穏やかな海面が車窓に映し込まれます。

2024年1月の能登半島地震で一部区間が被災しましたが、復旧工事が進み地域の足として再び動き始めています。沿線の人々にとって生活路線であるこの鉄道に乗ること自体が、地域復興への小さな貢献にもなります。穴水駅近くには牡蠣の養殖いかだが浮かぶ入り江があり、旬の11〜3月には駅前の食堂で七尾湾産の牡蠣を手軽に味わえます。

車窓絶景を最大限に楽しむコツ

絶景を存分に堪能するなら、乗車前の座席選びが重要です。浅野川線では進行方向左側の座席が浅野川沿いの眺めを楽しめ、のと鉄道では七尾から穴水方面へ向かう場合、進行方向右側が七尾湾側になります。始発駅から乗れば好みの席をゆっくり確保できるので、乗り過ごしを心配せず写真撮影に集中できます。

撮影機材はスマートフォンで十分ですが、走行中は手ぶれしやすいため窓ガラスに軽くレンズを近づけるのがコツ。ローカル線は速度が遅く、トンネルも少ないため初心者でも美しい写真が撮れます。車内が空いている平日午前の便は、光が柔らかく映り込みも少ない撮影の好機です。

途中下車で出会う沿線の素顔

ローカル線旅の醍醐味は、ガイドブックに載らない小さな発見にあります。鶴来駅で下車すれば、白山比咩神社まで徒歩約20分。全国に約2,700社ある白山神社の総本宮で、境内の杉並木は厳かな雰囲気を醸します。参道沿いには地酒の直売所が点在し、白山の伏流水で仕込まれた地酒を試飲できる蔵元も見学可能です。

のと鉄道の能登中島駅では、かつて実際に使われていた郵便車「オユ10形」が静態保存されており、鉄道マニアには見逃せないスポット。駅前の「なかじま猿田彦温泉いやしの湯」では、列車の合間に日帰り入浴(500円程度)でゆったりと過ごせます。次の列車まで1〜2時間あることが多いので、駅周辺をのんびり散歩すれば観光地化されていない石川の素顔に出会えるでしょう。

実用ガイド:きっぷと旅の準備

北陸鉄道では「1日フリーきっぷ」(浅野川線・石川線共通:大人1,000円程度)が販売されており、途中下車を繰り返す場合に特にお得です。のと鉄道にも「のりおり号」などの企画乗車券があるので、七尾駅の窓口で確認しましょう。ICカードは北陸鉄道では一部利用可能ですが、のと鉄道では現金のみの対応となる駅もあるため、千円札を複数枚用意しておくと安心です。

ローカル線は1〜2時間に1本という便が基本。出発前に必ず時刻表をスマートフォンに保存し、特に帰りの最終便の時間は二重チェックを。金沢駅の「金沢観光案内所」では各社の時刻表や沿線マップを無料で入手できます。軽めのリュックにカメラ、折りたたみ傘、飲み物と地元の駅前商店で買ったおにぎりを詰めれば、のんびりとしたローカル線旅の準備は万全です。車窓に流れる石川県原風景が、旅の記憶に深く刻まれるはずです。

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Written by

伊藤 健一

歴史ライター

仙台ローカル

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