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金沢・旬の食材カレンダー|加能ガニから加賀野菜まで日本海の四季を味わう
金沢の一年は「11月6日」から動き出す
金沢の食を語るうえで、四季を均等に区切るのはあまり意味がありません。なぜなら、この街の食卓には誰もが心待ちにする一日があるからです。それが11月6日のズワイガニ漁の解禁。前夜のうちに港を出た船が日付の変わる0時から漁を始め、翌7日には近江町市場の鮮魚店に活きのいいカニが並びます。地元の人が「今年もこの季節が来た」と口にする、いわば金沢の食のお正月です。
このページでは、その冬のピークを起点に、日本海の魚介と加賀の野菜が移り変わる金沢の旬を月ごとに追っていきます。観光のベストシーズンを問われれば、味覚という一点では迷わず晩秋から冬と答えますが、春の桜鯛、夏の岩牡蠣やどじょうなど、季節ごとに金沢にしかない味があります。
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冬(11月〜2月)── 日本海の王者がそろう
金沢の冬は、北陸の海が最もにぎわう季節です。
加能ガニと香箱ガニ
石川県で水揚げされたズワイガニのオスは、合併した漁協が「加賀」と「能登」から一字ずつ取って名付けた加能ガニというブランド名で呼ばれます。漁期は11月6日からおおむね翌年3月20日まで。甲羅の幅が一定以上で身入りのよいものには、産地証明の水色のタグが付けられます。
そして金沢の人がそれ以上に愛するのが、ズワイガニのメス、香箱ガニ(こうばこがに)です。漁期は11月6日から12月29日までと約2か月足らずと短く、この限られた期間にしか味わえません。小ぶりですが、内子(卵巣)と外子(卵)、そしてカニ味噌がぎゅっと詰まっており、地元では身も卵もほぐして甲羅に盛り直したものを酢醤油でいただくのが定番。観光客向けの豪快なオスよりも、玄人好みの香箱ガニにこそ金沢の人の本音が表れている、とよく言われます。
寒ブリ
12月上旬、「ブリ起こし」と呼ばれる雷鳴が北陸の空にとどろくころ、脂をたっぷりまとった寒ブリが回遊してきます。旬はおおむね12月中旬から2月下旬。金沢ではブリは出世魚で、成長につれてコゾクラ→フクラギ→ガンド→ブリと呼び名が変わり、それぞれの段階で味わいも値段も違うのが面白いところです。ぶり大根や照り焼きはもちろん、脂ののった寒ブリの刺身は冬の食卓の主役になります。
甘エビ・のどぐろ・タラ
正式名をホッコクアカエビという甘エビは、おおむね10月から3月が旬。とろりとした甘みは産卵を控えた晩秋から初冬にとくに濃くなります。喉の奥が黒いことから名の付いた高級魚のどぐろ(アカムツ)は脂が豊かで、日本海の深場で漁獲される金沢を代表する魚。タラやハタハタ、アンコウも冬の鍋を彩ります。
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冬の食卓を支える加賀野菜
金沢の旬は海の幸だけではありません。加賀野菜と総称される昔ながらの伝統野菜が、冬の郷土料理を支えています。
- 源助だいこん — 旬はおおむね10月下旬から翌1月下旬。ずんぐりと太く、煮崩れしにくいうえに味がよく染みるため、金沢おでんの大根として欠かせません。
- 五郎島金時(さつまいも) — 砂丘地で育つ加賀野菜のさつまいも。掘りたての秋よりも、貯蔵して甘みが凝縮する冬から春にかけてが本領で、ねっとりと甘くなります。
こうした加賀野菜は、鴨やすだれ麩を煮て薬味にわさびを添える金沢の代表的な加賀料理「治部煮(じぶに)」や、れんこんをすりおろして蒸す「蓮蒸し」にも使われ、雪の季節の食卓を温めます。
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春(3月〜5月)── 海が色づく
冬の王者が去ると、金沢の海は華やかな春の魚に入れ替わります。
産卵期を迎えて身が美しい桜色になる真鯛は桜鯛と呼ばれ、おおむね2月下旬から4月ごろが旬。脂がのって祝い事の膳にも映えます。
北陸の春の風物詩ホタルイカも出回ります。海岸に打ち上げられる「身投げ」や定置網漁で全国に名をはせるのは隣県・富山湾ですが、石川の沖でも春先に水揚げされ、ボイルや沖漬けが近江町市場の店先に並びます。酢味噌でいただくと、もちっとした食感と独特の甘みが春の到来を告げます。カレイ類やサヨリも、この季節に味がのる魚です。
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夏(6月〜8月)── 能登の海と金沢の川
金沢の夏は、海と川の両方に旬があります。
能登の岩牡蠣
冬が旬の真牡蠣と違い、岩牡蠣は夏が本番。能登半島の岩場で海女や漁師が潜って採る天然ものが中心で、水揚げはおおむね6月から9月、身入りのピークは盛夏です。手のひらほどの大きな殻にミルクのように濃厚な身が詰まり、キリッと冷やして生でいただく一皿は夏の金沢のごちそうです。
どじょうの蒲焼き
金沢で「蒲焼き」といえば、うなぎよりどじょうを指すことが少なくありません。旬は7月上旬から8月下旬で、夏のスタミナ食として地元に深く根付いた郷土の味です。土用の丑のころには、近江町市場のどじょう・うなぎを扱う店先に行列ができます。開いて串に刺し、香ばしく炭火で焼いたどじょうの蒲焼きは、金沢ならではの夏の風物詩。市場で買って自宅で味わうという家庭の習慣も残っています。
夏の加賀野菜
加賀野菜の中でも金時草(きんじそう)は夏の野菜。旬はおおむね6月下旬から11月中旬で、葉の裏が鮮やかな赤紫色をしており、ゆでると独特のぬめりが出ます。酢の物やおひたしにすると、暑い時季にさっぱりといただけます。加賀太きゅうりや打木赤皮甘栗かぼちゃも、この季節の加賀野菜です。
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秋(9月〜11月)── 加賀れんこんと冬への橋渡し
秋は、加賀野菜が最も充実する季節です。
金沢を代表する加賀野菜加賀れんこんは、一般的なれんこんより澱粉質が多く、すりおろすと強い粘りが出るのが特徴。出荷期間はおおむね8月から翌5月と長いものの、新れんこんが出始め、味が深まるのは秋です。泥が付いたまま鮮度を保つ「クワ掘り」と、水で泥を流しながら掘る「水掘り」の二通りの収穫法があり、もっちりとシャキッとが同居する食感は、はす蒸しや天ぷらで真価を発揮します。
そして秋が深まると、冒頭に戻ります。11月6日のカニ解禁とともに源助だいこんが出回り、金沢の食卓はふたたび冬の装いへ。旬がぐるりと一周するこの循環こそ、金沢で食を楽しむいちばんの醍醐味です。
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旬を味わうためのメモ
- 近江町市場は金沢の台所として約300年の歴史を持つ市場で、鮮魚店・青果店・惣菜店が軒を連ねます。その日の旬を一望できるので、何が今おいしいのかを知る手がかりになります。
- 価格はその年の漁況や天候で大きく動きます。とくに香箱ガニやのどぐろは人気が高く相場も上下しやすいので、市場や店で「今日のおすすめ」を尋ねるのが確実です。
- カニやどじょうのように漁期や旬がはっきり区切られた食材は、その時期を外すと味わえないものも。旅程に合わせて、その季節ならではの一品を狙ってみてください。
日本海の荒波が育てた魚介と、加賀の土が育てた野菜。金沢の旬は、海と里の両方から季節を教えてくれます。
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