学び
松本のリノベーション住宅|長野県で古い家を蘇らせる
松本は、長野県を代表する城下町として歴史的な建築物が数多く残るエリアです。近年、この街で築30年〜50年以上の古民家や中古戸建てをリノベーションして住む人が増えています。都市部での新築マンション購入が難しくなった背景もありますが、それ以上に「古い家が持つ味わいを活かしながら、現代の暮らしに合った空間をつくりたい」という価値観の変化が大きな要因です。松本のリノベーション住宅は、コストパフォーマンスの高さと唯一無二の住空間を両立できる選択肢として、移住者・Uターン者・二拠点生活者から注目を集めています。
松本のリノベーション市場の現状
松本市内では、1980年代以前に建てられた木造住宅が多数現存しており、空き家バンクへの登録件数も年々増加しています。長野県全体の空き家率は約19%(2023年住宅・土地統計調査)と全国平均を上回っており、松本市内でも松本駅から徒歩20〜30分圏内に手付かずの古民家や築古の戸建てが点在しています。
こうした物件の売買価格は、築40年以上の木造戸建てで100万〜400万円台が中心。土地の価値が主体となるケースも多く、建物自体はほぼ無償に近い形で取得できる物件も存在します。リノベーション工事費を加えても総額700万〜1,500万円程度で、都市部の新築マンションには到底及ばないコストで広い住空間を手に入れられるのが最大の魅力です。
リノベーションの種類と費用感
松本でのリノベーションは、大きく3つのスタイルに分けられます。
フルリノベーションは、建物の骨格(構造体)以外をすべて新しくする工事です。断熱改修・耐震補強・設備の全面更新を含み、費用は50〜100万円/坪が目安。30坪の古民家なら1,500万〜3,000万円規模になりますが、耐震性と断熱性が新築同等レベルまで引き上げられ、長野県の厳しい冬でも快適に暮らせる住宅になります。
スケルトンリノベーションは、間取り変更を伴う大規模改修で、費用は600万〜1,500万円程度。古い間取りを現代のライフスタイルに合わせて再構成しつつ、梁・柱・土壁など古民家らしい素材はあえて露出させてデザインに活かすスタイルが人気です。
部分リノベーションは、水回り(キッチン・浴室・トイレ)と断熱・耐震の最低限の改修にとどめるプランで、費用は200万〜600万円程度。居住しながら少しずつ手を加えていく「育てるリノベーション」として、DIY好きな移住者に支持されています。
松本市の補助金・支援制度を活用する
松本市および長野県では、移住・定住の促進を目的としたリノベーション支援制度が充実しています。代表的なものを挙げます。
長野県の空き家活用補助金では、空き家バンク登録物件を購入・改修する場合に最大100万円の補助が受けられます(条件あり)。松本市の移住促進住宅改修補助金は、市外から転入する世帯が対象で、工事費の一部(上限50万円)を補助。国の住宅省エネ化補助(子育てエコホーム支援事業等)も活用でき、断熱改修や省エネ設備の導入に対してポイントや補助金が支給されます。
これらを組み合わせると、実質的なリノベーション費用を100万〜200万円程度圧縮できるケースもあります。申請窓口はそれぞれ異なるため、松本市の移住相談センター「松本暮らし推進室」に早めに相談し、適用可能な制度を確認することをおすすめします。
松本ならではのリノベーションデザイン
松本には「松本民芸家具」に代表される、シンプルで質実剛健なデザイン文化が根付いています。リノベーションにもこの美意識が反映されており、地元の工務店や設計事務所が手がける物件には、信州の木材(唐松・杉)を構造材や内装材に用いたものが多く見られます。
古民家の天井を抜いて現れる黒光りした大黒柱や、土間と板の間が続く伝統的な間取りを活かしながら、アイランドキッチンや床暖房を組み込む設計は、松本の工務店が得意とするスタイルです。北アルプスを望む大開口の窓を設けてトリプルガラスを採用し、眺望と断熱性を両立させた事例も増えています。移住者に人気の中町通り・縄手通り周辺の町家を改修した店舗兼住宅は、週末に観光客が訪れる「暮らしを見せる家」として機能しているケースもあります。
リノベーション物件の探し方と工務店選び
物件探しは、松本市の空き家バンク(まつもと暮らし応援ポータル)が第一の窓口です。登録物件には写真・築年数・権利関係が整理されており、現地見学の申し込みもウェブから可能です。地元不動産会社では「リノベーション向き」の物件を把握している担当者も多く、希望条件(構造・広さ・エリア・予算)を具体的に伝えると効率よく候補を絞り込めます。
工務店・設計事務所選びは、リノベーションの成否を左右する最重要ポイントです。松本市内には古民家再生を専門とする工務店が複数あり、実績写真や施工事例を必ず確認しましょう。見積もりは最低3社から取り、工事内容の詳細(断熱仕様・耐震等級・使用材料)を比較することが大切です。また、「リノベーション住宅推進協議会(リノベ協)」の認定事業者であれば、一定の品質基準をクリアしていることの目安になります。
松本でリノベーション生活を始めるステップ
松本でのリノベーション住まいを実現するためのロードマップを整理します。
Step1 / 現地調査(1〜3ヶ月):まず松本暮らし推進室の無料相談を利用し、エリアの特性や補助制度を把握します。週末に現地を訪れて冬の寒さ・夏の過ごしやすさを体感することも欠かせません。
Step2 / 物件取得(1〜6ヶ月):空き家バンクや不動産会社で候補物件をリストアップし、構造調査(インスペクション)を実施。基礎・柱・屋根の状態を確認し、工事費の概算を算出します。
Step3 / 設計・申請(2〜4ヶ月):設計事務所や工務店と間取りを確定させ、補助金の申請を並行して進めます。建築確認申請が必要な工事の場合は期間を長めに見込んでください。
Step4 / 工事・完成(3〜8ヶ月):規模によって工期は大きく異なります。工事中は定期的に現場を訪れ、仕上がりを確認しながら進めましょう。
古い家が持つ記憶を受け継ぎながら、自分たちの暮らしに合わせてカスタマイズできるリノベーション住宅は、松本という地で暮らす喜びをより深いものにしてくれます。北アルプスの麓で、自分だけの「住まい」をつくる一歩を踏み出してみてください。
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