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松本・高松の民芸&工芸品専門店めぐり|「本物の手仕事」に出会う買い物ガイド
「本物の手仕事」という言葉が、観光地の土産物屋で使い古されてしまった感がある。しかし、長野県松本市と香川県高松市には、その言葉が本当の意味を持つ場所がある。松本民芸家具の職人工房、信州クラフトフェアの出店作家の店、高松の漆器職人が直接販売する工房ショップ、讃岐の丸亀うちわを代々作り続ける家族経営の店……。量産化された「民芸風」商品ではなく、本物の「民芸・工芸品」を買い求めるための旅がある。
松本の民芸・工芸品エリア
松本市は「民芸の街」として知られる。柳宗悦が提唱した民芸運動——名もなき職人が作った日用品の美を称揚する思想——が、昭和の時代から松本に深く根付いた。
松本民芸館周辺: 松本民芸館(開智小学校跡地近く)は、民芸運動の精神を今に伝える博物館であると同時に、周辺に民芸品を扱うショップが集まるエリアだ。松本民芸館の建物自体が工芸品のようで、見学後に気分が高まった状態で周辺の店を巡れる。
松本民芸家具(取扱店): 松本民芸家具は、椅子・テーブル・食器棚など「使える家具」を丁寧な手仕事で作り続けるブランドだ。松本市内の正規取扱店では、実際に座って試せる展示品が並ぶ。職人が手加工した木の温もりは、大量生産家具とは次元が違う。価格は椅子1脚10〜30万円が相場だが、一生使えるものへの投資として捉えると納得感がある。
縄手通り・松本クラフトフェア: 縄手通りは女鳥羽川沿いの商店街で、ガラス工芸・陶芸・木工・皮革の個人工房・セレクトショップが並ぶ。特に5月下旬に開催される「クラフトフェアまつもと」(日本最大級のクラフト展示販売会)の時期に合わせて訪れると、全国から200以上の作家が出展し、直接作家と話しながら一点物を購入できる。
信州ガラス工房: 長野県内には吹きガラス体験ができる工房が多く、松本市周辺にもいくつかある。工房見学と体験後に、作家のオリジナル作品を購入できる。同じデザインでも一つとして同じ形がないガラス器は、世界で一つだけの土産になる。
松本城・中町通り: 白壁の土蔵が並ぶ中町通りは江戸〜明治時代の商人街の面影を残す。漆器・陶芸・和雑貨の専門店が連なり、散策しながら店に入れる。「松本てまり」(鮮やかな絹糸で作る伝統玩具)など、松本固有の工芸品を扱う店もある。
高松の讃岐工芸品エリア
高松は四国の玄関口であると同時に、香川県の伝統工芸の集積地だ。讃岐漆器・丸亀うちわ・和三盆糖の菓子型など、独自の工芸文化が発展した。
讃岐漆器(高松漆芸): 高松の漆器は「讃岐漆器」として国の伝統的工芸品に指定されている。特徴は彫刻が施された「蒟醤(きんま)」技法——漆を何層も塗り重ね、彫刻し、色漆を埋め込む繊細な技法だ。高松市内の漆器専門店では、小皿・椀・菓子器などを購入できる。一枚の小皿で数万円するものもあるが、職人が1ヶ月以上かけて仕上げた作品だと思えば驚かない。
丸亀うちわ(高松・丸亀周辺): 香川県はうちわ生産量日本一。「丸亀うちわ」として有名で、全国生産の約9割を香川が担う。高松・丸亀の工房では、職人が作るオーダーうちわや、絵付け体験ができる店が複数ある。柄の素材(竹・木)や紙の素材・絵柄を選んでオリジナルうちわを作れる。観光用の安価なものから、職人手作りの高品質品まで幅広い。
高松丸亀町商店街(アーケード): 日本最長クラスの商店街・高松丸亀町商店街は、工芸品・和雑貨の専門店が点在する。アーケードなので雨でも快適に散策できるのがありがたい。和菓子・干物・地元食品のほか、讃岐かがり手まり(讃岐の伝統手芸)の専門店もある。
香川の和三盆: 和三盆糖は香川・徳島産の高級砂糖で、茶道の干菓子(ひがし)の材料として使われる。高松の老舗和菓子店では、木型を使った干菓子の実演見学と購入ができる。一口大の鯛・松・椿などの繊細な形の干菓子は、最高の手土産になる。
工芸品購入のコツ
直営店・工房直販を選ぶ: 松本・高松ともに、作家・職人が直接販売する「工房ショップ」が存在する。流通を経ない分、価格は若干高くなる場合もあるが、作家から作品の背景を直接聞けるのは替えがたい体験だ。
使い方を確認する: 民芸・工芸品は「飾るもの」ではなく「使うもの」だ。購入前に「これはどのように使うのが正しいですか?」と聞くと、手入れ方法・使用上の注意(食洗機不可、電子レンジ不可など)を教えてもらえる。
一点物の見分け方: 量産品との違いは「手の跡」に出る。ガラス器なら気泡・微妙な歪み、陶器なら釉薬の流れ・色ムラ、漆器なら研ぎ目のわずかな不均一さ。これらは欠点ではなく、手仕事の証拠だ。
包み・箱の扱い: 高品質な工芸品は専用の木箱や紙箱に入って販売されることが多い。箱ごと持ち帰ることで、贈り物や長期保管の際に価値を保てる。
松本と高松は「民芸・工芸品を本気で求める旅人」にとって、日本でも屈指の目的地だ。職人が一つ一つ作り上げた品を手にするとき、旅の記憶はそこに刻まれる。量産されたお土産では絶対に得られない、「本物と出会った喜び」がある。
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